【政界地獄耳】:責任はどこにあるのか 東京五輪に「おもてなし」などない/05.31
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳】:責任はどこにあるのか 東京五輪に「おもてなし」などない/05.31
★国際オリンピック委員会(IOC)がアスリートファーストなどではなく、拝金主義だという一例がまた1つ増えた。先月27日にスイスのジュネーブで開かれたIOCのオンラインフォーラムが参加選手らを対象に開かれ、オリンピック(五輪)期間中にコロナウイルスに感染するのは自己責任という書類にサインを求めることになった。既にプレーブックにも「自己責任での参加」が書き込まれているという。確かに責任はどこにもないかもしれないが、そのリスクを負う場合には主催者が大会自体を安全が保てないとして中止するなどの責任が生じるのではないか。
★アスリートにサインを求めなければ参加できないというならば、各国の五輪組織委員会や種目別の競技団体はアスリートや関係者からワクチン接種が進んでいない日本に行くのはリスクだと言われても「自分で決めろ」と言われるだけだ。日本政府は安心安全の大会と言い続けているが「怖いもの知らずだけ来るがいい」と言っているに等しい。それならば、飲食店も映画館も国民も自分のコロナ対策は自分で決めさせてほしいと言いたくなるはずだ。自己責任は自分で十分注意していいと思うなら進めということならば、政府が言う「緊急事態宣言中の五輪開催は可能」とか「問題ない」と同様の扱いをしたらどうか。
★首相・菅義偉はワクチンさえ接種できれば五輪開催の賛同も増えると考えているようだが、今以上にスムーズに接種作業が進んだとしても五輪までに一般国民への接種は行き渡らない。結局誰も悪くない、誰にも責任がないという状態を保ちながら、なし崩しに安全論を言うのだろう。福島第1原発の時と似てきた。既にIOC幹部や日本政府に五輪是非の議論はない。強行するならそれなりの科学的な説明と責任を明確にすべきだ。もう東京五輪に「おもてなし」などない。(K)※敬称略
◆政界地獄耳
政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】 2021年05月31日 07:53:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。