【ジャニーズ事務所】:ジュリー氏「速やかに納税」で被害者補償の原資どうなる 専門家は相続税を払うタイミングが肝だと指摘【WBS】
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ジャニーズ事務所】:ジュリー氏「速やかに納税」で被害者補償の原資どうなる 専門家は相続税を払うタイミングが肝だと指摘【WBS】
ジャニーズ事務所が2日、会見を開き、ジャニーズの名前を消滅させることや、新会社を設立する方針などを明らかにしました。企業統治の専門家などは今回の発表をどう評価したのでしょうか。 ジャニー喜多川氏による性加害問題で2度目の会見を開いたジャニーズ事務所。
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事業承継税制で“免除”された相続税を支払うとした藤島ジュリー景子氏(テレビ東京)
「現在のジャニーズ事務所は社名を変更いたします。タレントマネジメントおよび育成の業務からは、完全に撤退させていただきます」(ジャニーズ事務所社長の東山紀之氏)と、これまでの方針を一転し、事務所の名称を変更します。
「故・喜多川氏と完全に決別する決意を示すため、社名を10月17日付で『SMILE-UP.(スマイルアップ)』と変更していきます」(東山氏)
名前を変えたスマイルアップは、被害者の補償業務に専念。社長は引き続き東山紀之氏が務め、前社長の藤島ジュリー景子氏は、100%株主として会社にとどまります。補償の役割を終えたら、廃業するとしています。
一方、マネジメント業務については、1カ月以内に別の会社を設立し、希望する所属タレントと個別にエージェント契約を結びます。こちらも社長は東山氏。副社長には井ノ原快彦氏が就任します。この会社の社名はファンクラブの公募で決めます。
「ジャニーズ事務所を解体し、被害者に真摯に向き合いながら、最後まで補償を行い、新しい会社でファンの方々と一緒に新しい未来を切り開いていく。これが私たちのビジョンです」(東山氏)
また、被害者への補償については、事務所が設置した被害者救済委員会に478人の申し出があり、そのうち325人が補償を求めていると明らかにしました。来月から補償を始める予定です
「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の石丸志門副代表は「まだふわっとしている印象。どこの財源を使って補償に充てていくのか考えないといけないフェーズに入っていると思う」と話します。
今回の会見で注目されていたのが、再発防止に向けたガバナンス=企業統治の強化策です。
「ガバナンス、コンプライアンス体制を構築しながら、さらなる改善や見直しを図ってまいりたいと思っています」(東山氏)
ジャニーズ事務所は、「子どもの保護と安全を確保することを約束する」としたグループ人権方針を公表。法令順守を担うチーフコンプライアンスオフィサーに弁護士を就任させたほか、これまで開催していなかった取締役会を原則1カ月に一度開くことなどを発表しました。
会見を見た牛島総合法律事務所の牛島信弁護士は「ずいぶん進歩したと思います。『この会社はもはや事業活動をしません。補償に専念します』と宣言したことはとても重要だ」と話します。
牛島弁護士は、ジュリー氏が100%株主でも、会社を切り離すため問題は生じないとみています。ただし、再発防止に向けては、社外取締役が取締役会の過半数を占めることが不可欠だと指摘します。
「頭から『社外取締役過半数です』と言うべきだったと思う。喜多川氏がやってきたことは、大犯罪。独立した社外取締役という世の中に対する保証装置がなければ、認めるわけにはいかないんじゃないか」(牛島弁護士)
その上で、独立社外取締役には「利害関係のない人」が適任と話します。
もう一つ注目されていたのが、前社長ジュリー氏の代表権や100%保有する株式の扱いでした。
ジャニー喜多川氏と姉のメリー喜多川氏が50%ずつ保有していた株式を相続したジュリー氏。このとき、事業承継税制という制度の特例措置で、相続税の納税が猶予されていました。この制度では、条件を満たせば相続税が“免除”となります。
本来は、中小企業などが税負担を軽くして、事業承継をしやすくする制度です。その条件は、中小企業であることや、ジュリー氏が会社の代表者であり続けることなどです。
藤島氏は会見で代読された手紙の中で「相続したジャニーズ事務所を維持するため、事業承継税制を活用しましたが、私は代表権を返上することでこれをやめて、速やかに納めるべき税金を全てお支払いし、会社を終わらせる」と代表の座を降り、現時点では数百億円にも上ると言われる相続税を支払うと表明したのです。
ただ、ジャニーズ性加害問題当事者の会の石丸副代表は「清算ということは会社の資産はほとんどなくなると思う。何を原資に被害者救済にあたるのという疑問も残る」と話します。
事業承継などに詳しい岸田康雄税理士は「(タレントマネジメントという)稼ぐ商売がすっぽり抜けて稼げない会社になると思う。おそらく一気に業績は悪くなって、会社の資産がどんどん小さくなっていく」と話します。
岸田氏は、相続税を払うタイミングが肝だと指摘。事務所が持っている現金や土地などの資産売却で補償を進めた後、相続税の計算に用いる資産額や株式評価額などが安くなったところで相続税を支払う流れになると予測しています。
「会社の株価が下がった時点で廃業となれば、何百億円という株価でなく、廃業時の株価は安いので相続税計算し直すと『数千万円でいい』という話にすると思う。頑張って補償をしたらどんどん税金が安くなる。最終的にジュリーさんは払える金額のタイミングで廃業するはず」(岸田氏)
今回の会見に対し、テレビ東京ホールディングスは以下のようにコメントを出しています。
「ジャニーズ事務所の発表内容は、経営ガバナンス強化や、被害者救済の早期実施などを求めたテレビ東京ホールディングスの申し入れに沿った内容であり、解体的な出直しに向けて一定の前進はあったと受け止めている。ただ、発表内容については不明確な事項が多いため、ジャニーズ事務所に事実関係を確認したうえで、今後の当社の方針を決めたいと考えている」
※ワールドビジネスサテライト
元稿:テレ東BIZ 主要ニュース 芸能 【話題・故ジャニー喜多川氏による性加害問題】 2023年10月04日 10:09:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。