【政界地獄耳・10.20】:邦人退避の「政府チャーター機」1人3万円の根拠
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・10.20】:邦人退避の「政府チャーター機」1人3万円の根拠
★パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルによる戦闘から現地邦人を退避させるため、政府はチャーター機をドバイまで飛ばすことにしたが、1人3万円の請求があったという。官房長官・松野博一は「航空券を購入して定期商用便で出国している邦人も多くいることを踏まえ、総合的判断として運賃を負担いただくこととした」としたが、同時期に韓国政府はイスラエルから自国民をソウルに避難させた際、同時に51人の日本人も無料で輸送していたために、大きな話題となった。
パレスチナ・ガザ地区でイスラエル人の車が燃やされた(7日)
ガザ地区中部のトンネルの入り口に立つハマス戦闘員。人質はこうした地下施設で拘束されているとみられている(今年7月撮影)
★松野の説明を担保するのは20年の「政府チャーター機の利用に係る費用の負担に関する質問に対する答弁書」が根拠だ。政府は「商用便を利用する他の邦人旅行者との公平性の確保等の観点から、本人又はその家族の航空費等の本人等に関わる経費について、本人等に負担してもらうこととしている」。だが今年4月にアフリカ北東部スーダンから自衛隊機で邦人を退避させた際は無償だった。また外務省の「23年度予算の概要」には「平時・緊急時双方に機敏に対応する領事体制の強化 邦人退避・邦人保護体制の強化」があり「邦人退避のためのチャーター機手配の拡充」「在外邦人退避のためのチャーター機手配等のための経費」として約1・8億円が計上されている。
★この際、他国の状況や3万円が高いか安いか、妥当な金額かは問題ではない。そもそも日本のチャーター機はドバイまでしか行かないので民間の日本への直行便を選ぶのは当然だろう。となると、どのレベル判断で政府のチャーター便を出すことが決まったのか。民間チャーター機による邦人退避は外務省の退避勧告が1つの目安になる。官房長官が「公平性の確保の観点から」と言えば言うほど国民は自民党女性局のパリ研修には税金は使われていないと胸を張った議員たちの態度と比較してしまう。長官の説明の仕方も大いに関係しているのではないか。(K)※敬称略
◆政界地獄耳
政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】 2023年10月20日 07:16:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。