路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【週刊誌からみた「ニッポンの後退」・10.08】:ジャニーズ事務所のメディア支配…出発点はメリーによる弟ジャニーの「病」隠し

2023-10-09 07:44:50 | 【魂の殺人と呼ばれ、繰り返される性暴力の現状・ジャニーズ事務所が抱える性加害の闇

【週刊誌からみた「ニッポンの後退」・10.08】:ジャニーズ事務所のメディア支配…出発点はメリーによる弟ジャニーの「病」隠し

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【週刊誌からみた「ニッポンの後退」・10.08】:ジャニーズ事務所のメディア支配…出発点はメリーによる弟ジャニーの「病」隠し

 メリー喜多川(2021年没、享年93)が生きていたら、どう対処したのだろうかと考えてみた。

 彼女は早くから弟の「病」を知っていた。その病が、アイドルになる少年たちを見いだす「異能」に結びついていることも。

 メリーは、弟がジュニアたちを欲望のまま次々に襲うのを見て見ぬふりをし、徹底的に隠蔽しようと心に決めた。姉の弟への“偏愛”がすべての始まりだった。

<picture>メリー喜多川氏が存命なら違っていたのか…(C)日刊ゲンダイ</picture>

  メリー喜多川氏が存命なら違っていたのか…(C)日刊ゲンダイ

 前にも書いた通り、週刊現代の記者が「(弟の)ジャニー喜多川さんにはスターになる素質を見分ける“独特の力”があるそうですね」とメリーに聞くと、いきなりドアを閉め、「私がここで脱いで警察を呼べばどうなると思う」と、凄まじい形相で記者を睨んだ。1981年4月のことだった。

 ジャニーが見いだした少年たちは次々に日本を代表する人気アイドルになり、ジャニーズは帝国といわれるまでになったが、メリーの心は晴れなかったと思う。

 弟のジュニアたちへの性加害が明るみに出れば、帝国は崩壊する。メリーがもくろんだのは、この国の主要メディアを支配することだった。

 テレビ、出版、スポーツ紙は赤子の手をひねるがごとくだった。彼らは目の前でジャニー喜多川が少年たちに性加害をしていても、見て見ぬふりをしてきたに違いない。新聞は事件化しない限り書かないから放っておけばいい。

 2回目の会見に欠席したジュリーが手紙を寄せ、井ノ原快彦が代読した。その中に、こうあった。

 「ジャニーが裁判で負けた文春を訴えた裁判のとき(04年に性的虐待行為があったと高裁で確定=筆者注)もメリーから『ジャニーは無実だからこちらから裁判を起こした。もしも有罪なら私たちから騒ぎ立てるはずがない。本人も最後まで無実だと言い切っている。負けてしまったのは弁護士のせい』と聞かされておりました」

 弟の病は娘にも話さない。メリーなら、そうしたかもしれない。弟を守るために鉄の鎧(よろい)を着て生きてきたメリーが、生涯で一番ホッとしたのは、弟のジャニーが亡くなった時(19年)ではなかったか。

 朝日新聞が発行してきた週刊朝日(19年7月22日号)は表紙に「追悼ジャニーさん、ありがとう! YOU、やっちゃいなよ」と大書した。人間の評価は「棺(かん)を蓋(おお)いて事定まる」ならば、弟は日本一の名プロデューサーとして名が残る。そう思ったに違いない。

 英国のBBCがジャニーの性加害問題のドキュメンタリーをやろうが、元ジャニーズの人間が、ジャニーから性加害を受けたと実名告白しても、メリーなら無視したまま、少しも動じなかっただろう。

 だが、新聞もこの問題をようやく取り上げ、CMにジャニーズの人間を使わない企業が次々に現れ、これまで逆らったことのないNHKまでが紅白に出さないと明言する事態になった。万事休す。メリーならどうしただろう。

 私は、メリーは一人で会見に臨んだと思う。そこで、自分が弟の性加害を知りながら長い間隠蔽してきたことを認め、自らも同罪だと深く謝罪する。何百人ともいわれる被害者たちには私財と事務所の資産を売却して、最大限の補償と心のケアをする。残ったお金は性加害を起こさない活動をしているNPOなどに全額寄付する。数カ月のうちにジャニーズ事務所は廃業。独立できないタレントたちは他の芸能事務所に引き取ってもらうよう、自分が責任をもって対処する。

 メリーなら別会社などつくらず、即刻、自らの手で汚れちまったジャニーという名を永遠に葬ったはずだ。 (文中敬称略)

(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース 芸能 【芸能ニュース・連載・「週刊誌からみた「ニッポンの後退」」】  2023年10月08日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【週刊誌からみた「ニッポンの後退」・09.03】:ジュリー社長はもともと辞めたがっていた…再発防止特別チームの「勧告」は口実を与えただけ

2023-10-09 07:44:20 | 【魂の殺人と呼ばれ、繰り返される性暴力の現状・ジャニーズ事務所が抱える性加害の闇

【週刊誌からみた「ニッポンの後退」・09.03】:ジュリー社長はもともと辞めたがっていた…再発防止特別チームの「勧告」は口実を与えただけ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【週刊誌からみた「ニッポンの後退」・09.03】:ジュリー社長はもともと辞めたがっていた…再発防止特別チームの「勧告」は口実を与えただけ

 「私がここで全部脱いで、襲われたと警察に電話すれば、あなたは逮捕されるわよ!」

 週刊現代の記者だった朝倉喬司を部屋に招き入れた“女帝”メリー喜多川は、取材の趣旨を聞くと、こう大声を上げた。

<picture>ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長(提供)ジャニーズ事務所</picture>

  ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長(提供)ジャニーズ事務所

 1981年春のことであった。その当時から、メリーの弟・ジャニー喜多川の性癖は噂になっていた。私と朝倉は、その真偽を確かめようと、別の口実でジャニー喜多川に取材を申し込んだが断られた。しかし、メリーが会ってくれるという。勇躍、朝倉が会いに行って、「弟さんは、スターになる素質を見分ける“独特の力”があるそうですね」と切り出した途端のことだった。

 彼女は、弟が「病気」であることを知りながら、徹底的にジャニーを守り通すと心に決めていたのだ。

 さて、ジャニーズ事務所が設置した「再発防止特別チーム」の座長、前検事総長で弁護士の林真琴も、報告書の中で、メリー喜多川は1960年代前半には弟の性嗜好異常を知り、少年たちへの性的虐待が続いていることも知りながら、放置・隠蔽したことが被害の拡大を招いた最大の要因であるとしている。

 特別チームは、メリーの長女であるジュリー社長も、取締役就任時ごろには、叔父の性的虐待疑惑を認識していたにもかかわらず、調査もせずに任務を怠ったと、「ジュリー社長の辞任を求める」と結論付けている。

 多くのメディアは、よくぞそこまで踏み込んだと驚愕し、大見出しをつけているが、何のことはない。私にいわせれば、ジャニーズ事務所側の「意向」に沿っただけである。

 なぜなら、ジュリー社長はこれまでも、社長を辞任したいと周囲に漏らしていたと報じられている。したがって、この提言は辞任するためのいい口実になるからだ。

 特別チームは、ジャニー喜多川が少年たちに「性器弄び」「口腔性交」「肛門性交を強要」していたことは事実だと認定。被害者に謝罪し、すみやかに「救済措置制度」を構築すべきだとも提言している。

 被害者は200人ともそれ以上になるともいわれている。だが、年商1000億円、資産も1000億円といわれるジャニーズ事務所だから、屋台骨を揺るがすほどの負担にはならないのではないか。

 もちろん、これだけ悪名が世界中に知れ渡った事務所から逃げ出すアイドルは、これからも次々に出てくる。その上、汚れちまった事務所に入ろうというジュニアは激減するはずだ。帝国崩壊は間違いない。

 私は、特別チームがメディアの責任にもっと厳しく言及しなかったのは不満だ。テレビ局やスポーツ紙との癒着、大新聞の沈黙がジャニー喜多川を増長させ、性被害を拡大してしまったことは間違いない。これを機に、そこにこそメスを入れなければならないはずだが、そういう論調はほとんど見られないのはなぜか。

 イギリスでは国民的人気司会者のジミー・サヴィルが死んだ後、彼が未成年者への強姦や性的虐待を繰り返していた「性犯罪者」であることが判明した。それを機に、芸能人による性的虐待への大規模な捜査が始まり、多くの大物芸能人たちが逮捕された。ジャニー喜多川の性的虐待が“確定”した今こそ、セクハラが横行する芸能界というドブを浄化しなければ、被害に遭う若者は後を絶たない。 (文中敬称略) (元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長) 

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース 芸能・エンタメ 【芸能ニュース・連載・「週刊誌からみた「ニッポンの後退」」】  2023年09月03日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【解説委員室から】:闘い続けて半世紀 泉房穂前明石市長に聞く“ケンカ政治学”

2023-10-09 00:08:00 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【解説委員室から】:闘い続けて半世紀 泉房穂前明石市長に聞く“ケンカ政治学”

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【解説委員室から】:闘い続けて半世紀 泉房穂前明石市長に聞く“ケンカ政治学”

 子育て政策で成果を出しながら、任期中は暴言が批判を浴びた泉房穂・前兵庫県明石市長。10歳で政治家を志す決意をしたという泉氏は、過去半世紀の間、何と闘ってきたのだろうか。新著『日本が滅びる前に 明石モデルがひらく国家の未来』(集英社新書)が9月20日発売されたのを機にインタビューに応じた泉氏が、抵抗勢力や大手マスコミとの闘い、勢いを増す大阪発祥の政党「維新」そして18年ぶり優勝の阪神タイガースについて語った。(時事通信解説委員 樋口卓也)

インタビューに応じる元兵庫県明石市長の泉房雄氏=15日、東京【時事通信社】

インタビューに応じる元兵庫県明石市長の泉房雄氏=15日、東京【時事通信社】

【目次】
 ◇10歳で社会の理不尽さを痛感
 ◇できないと思い込んでいるだけ
 ◇転機は阪神優勝とともに
【動画】泉房穂・前兵庫県明石市長、大いに語る

 ◆10歳で社会の理不尽さを痛感

衆議院議員時代、民主党に所属した泉房穂氏=2004年3月、東京・国会【時事通信社】

衆議院議員時代、民主党に所属した泉房穂氏=2004年3月、東京・国会【時事通信社】

 明石市と言えば、日本標準時の子午線を通る「時のまち」。だしに漬けて食べるタコが入ったふわふわの「明石焼き」でも有名だ。

 2011年に市長に就任した泉氏は3期12年で、「所得制限なしの五つの無料化」を柱とする子育て政策を推進した。(1)18歳までの医療費(2)第二子以降の保育料(3)おむつ定期便(0歳児見守り訪問)(4)中学校給食費(5)公共施設の遊び場―を無料化。子育て世帯の流入が増え、就任前の10年に1.48だった合計特殊出生率は20年には1.62にまで伸び、全国平均(1.33)を大きく上回った。この「明石モデル」と呼ばれる子育て充実策を採り入れる自治体も増えてきた。

 児童相談所に一時保護した子どもの通学や親との面会などを調整する専門の課を設けるなど、「全国初」の取り組みも多い。歯に衣(きぬ)着せぬ発言で知られ、X(旧ツイッター)のフォロワーは50万人を超える。

 泉氏は1963年、明石市に生まれた。東大教育学部を卒業後、NHKやテレビ朝日のディレクターを務めた後、2003年の衆院議員選挙で当選。05年に落選したが、11年4月の明石市長選で当選した。

明石市長1期目の泉房穂氏(中央)、広島県三原市の五藤康之市長(当時、左から2人目)の訪問を受け、名物のタコをアピールした=2012年6月、兵庫県明石市【時事通信社】

明石市長1期目の泉房穂氏(中央)、広島県三原市の五藤康之市長(当時、左から2人目)の訪問を受け、名物のタコをアピールした=2012年6月、兵庫県明石市【時事通信社】

 「子供のときから、誰からも応援をもらわんと、腹くくって生きてきた」。インタビューで泉氏はこう語った。政治家を志したのは10歳のときだったという。きっかけは、生まれつき障害を持った四つ下の弟に毎日付き添って学校に通った原体験だ。当初、市は遠く離れた養護学校への就学を求めたが、両親の必死の訴えが実り泉氏と同じ地元小学校に通えるようになった。しかし漁師の両親は共働きで弟の送迎は無理。泉少年が二人分の教材をランドセルに詰め、ゆっくりしか歩けない弟の手を引く。雨の日も風の日も歩いて通う泉兄弟に、周囲は冷たい目を向けるばかりだったという。

 新著では当時の心境をこう記す。「小学校5年生にして世の理不尽さを嫌というほど味わい、こう思うようになりました。『冷たい社会をやさしい社会に変えたい』『私のように苦しむ人をこれ以上増やしてはいけない』」。泉氏は10歳にして冷たい世間と“闘って”いた。

 ◆できないと思い込んでいるだけ

地方分権シンポジウムに参加した兵庫県明石市長時代の泉房穂氏(右)=2014年8月、東京・銀座【時事通信社】

地方分権シンポジウムに参加した兵庫県明石市長時代の泉房穂氏(右)=2014年8月、東京・銀座【時事通信社】

 インタビューで、泉氏は子育て政策の充実について「本来国がやるべきことをやらないから、明石市がやっただけ」と語る。岸田文雄首相が「異次元」と胸を張る少子化対策についても、泉氏からすれば、「今の状態こそ異次元。異次元に子どもに冷たい予算配分をしてきたから子どもの貧困が増え、子育て世帯が2人目、3人目をちゅうちょする」と批判。「できないと思い込んでいるだけ。明石でできたことは他自治体でもできる。国もがんばってほしい」と激(げき)を飛ばす。

 47歳で念願かなって市長になった泉氏が改革に着手しようとすると、各方面から「羽交い締め」に遭った。明石に限らないが、現状に安住する抵抗勢力はいる。「お上意識」「横並び意識」「前例踏襲」が庁内にはびこっていたという。泉氏は、市長が持つ方針決定権、予算編成権、人事権をフル活用しながら政策を実現していく。

 自らを「せっかちな性格」と評する泉氏の言動は、職員や議員との対立を招いた。19年2月、難航していたJR明石駅前の用地買収交渉で担当幹部に暴言を吐いたことが報道され、「パワハラだった」と認めて辞職。直後の出直し市長選に出馬して再選された後もあつれきは続く。22年10月は、自身への問責決議案が市議会本会議で採決される前に公明党と自民党の市議に対して暴言を浴びせた。この責任を取る形で、3期目の任期満了をもって政界引退を表明した。

記者会見で頭を下げる兵庫県明石市の泉房穂市長(当時)=2019年2月、兵庫・明石市役所【時事通信社】

記者会見で頭を下げる兵庫県明石市の泉房穂市長(当時)=2019年2月、兵庫・明石市役所【時事通信社】

 当時を振り返り、泉氏はインタビューで一連の「さまざまな言動」について、「(発言を部分的に切り取った)報道は一面的だ」としつつ、「今となってはどうこう思わない。(3期12年)精いっぱいやった」と、市長職に未練はないと強調する。一方で、「派閥重視」といった永田町目線での解説に終始する内閣改造の報道ぶりなど、国民目線ではない大手マスコミの姿勢に触れ、「ホンマにひどいんは政治家や官僚やない、マスコミや」と語り、大手メディア批判のボルテージは上がりっぱなしだった。

 県政や国政を含めた政治家引退を公言し、これからどうするのか。インタビューでは「横展開、縦展開、未来展開」と話した。横展開は、少子化対策の「明石モデル」を他自治体にも広げていくことだ。縦展開は、国にも政策転換を訴えていくこと。新著では「私が総理大臣なら何をするか」をテーマとした章があり、「(増税せず)こども予算を倍増」「大統領制を導入」「中央省庁の解体・再編」が挙げられている。未来展開は「子どもの政治塾」だ。政治とは可能性であり、未来だということが分かる志の高い子どもを応援するという。

 ◆転機は阪神優勝とともに

自身の政治姿勢について語る前兵庫県明石市長の泉房穂氏(右)=15日、東京【時事通信社】

自身の政治姿勢について語る前兵庫県明石市長の泉房穂氏(右)=15日、東京【時事通信社】

 関西から広がり全国的に勢いを増す日本維新の会のことも聞いた。維新躍進の背景として、子ども・教育予算への重点化という公約と、実際に維新出身の首長が同予算を増やしたことが評価されているという。子どもの医療費が安くなったとか、塾代が助かったとか、政治が変わると生活が変わる実感があるのが強み。本音で話す関西の方がドラスチックに変わりやすく、「一種の政治の地殻変動的なものが始まった」と話す。

 ただ現状では、自公与党で飽き足らず、野党第1党の立憲民主党にも期待できない層が消極的に選択しているにすぎず、「どこまで(支持が)広がるかは不透明だ」とみる。「維新に強い政治理念や哲学があるとは思えない」からだ。江戸時代からある明石焼きを明治維新後にまねた大阪のタコ焼きがブレークしたように、「維新」も明石市の教育無償化などをまねているだけというのが、泉氏の分析だ。一方で「タコ焼きも好き」と、フォローすることも忘れない。 

 インタビューは、ちょうどプロ野球・阪神タイガースの18年ぶりセ・リーグ優勝の翌日に行われた。虎ファンの泉氏は、岡田監督の采配に市長のリーダーシップに近いものを感じる。「アレ」(優勝)という形での「明確な目標設定」と、レギュラー起用や選手交代という「人事」が巧みだという。

泉房穂氏の新著『日本が滅びる前に』(集英社新書)

泉房穂氏の新著『日本が滅びる前に』(集英社新書)

 阪神優勝は泉氏の人生の転機と重なる。1985年に阪神が日本一になった当時、学生運動家だった泉氏は大学に退学届を出し実家で「悶々(もんもん)としていた」。「弱かった阪神ががんばれるんや、もう一回人生がんばってみるか」と思い直し、恩師の判断で退学届が受理されないままだったことから復学できた。2003年のセ・リーグ優勝時は衆院議員になった。

 つい最近もX発言が物議を醸したばかり。新著の最終章は「今年還暦を迎えましたが、ゆっくりするのは死んでからでいい。本気でそう思っています」と締めくくられている。政界引退を宣言したものの、まだまだ泉氏は暴れそうだ。 (2023年9月24日掲載)

 (訂正注記)1枚目写真説明「2004年3月、東京・国会」を「15日、東京」、5段落目「11年5月」を「11年4月」、10段落目「あれつき」を「あつれき」にそれぞれ訂正しました。

  ■【解説委員室から】バックナンバー

 元稿:時事通信社 JIJI.com 社説・解説・論説・コラム・連載 【解説委員室から】  2023年09月24日  09:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【解説委員室から】:人事好き、二兎追った岸田首相 派閥に配慮、世論も意識-内閣改造・党人事

2023-10-09 00:07:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【解説委員室から】:人事好き、二兎追った岸田首相 派閥に配慮、世論も意識-内閣改造・党人事

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【解説委員室から】:人事好き、二兎追った岸田首相 派閥に配慮、世論も意識-内閣改造・党人事

 岸田文雄首相(自民党総裁、66)は13日、内閣改造・党役員人事を断行した。来年9月の総裁再選を目指し、対抗馬の芽を摘みつつ各派に配慮。同時に、歴代最多タイの女性5人を入閣させ、刷新もアピールした。「人事好き」とされる首相は、党内基盤の安定と世論対策という「二兎(にと)を追う」ことに腐心したようだ。(年齢は13日現在、時事通信解説委員長 高橋正光)

麻生太郎副総裁と面会後、自民党本部を出る岸田文雄首相=9月11日、東京・永田町【時事通信社】

麻生太郎副総裁と面会後、自民党本部を出る岸田文雄首相=9月11日、東京・永田町【時事通信社】

 ◆骨格維持、待機組を処遇

 党役員人事で首相は、第2派閥・麻生派を率いる麻生太郎副総裁(82)、第3派閥・茂木派会長の茂木敏充幹事長(67)、最大派閥・安倍派の萩生田光一政調会長(60)をそれぞれ再任し、最小派閥・森山派領袖(りょうしゅう)の森山裕選対委員長(78)を総務会長に横滑りさせた。後任に茂木派の小渕優子元経産相(49)を充て、安倍派の高木毅国対委員長(67)も留任した。

 19人の閣僚人事では、安倍派の松野博一官房長官(61)、同派の西村康稔経産相(60)、麻生派の鈴木俊一財務相(70)ら重用閣僚が続投。2021年の総裁選でそれぞれ首相と戦った麻生派の河野太郎デジタル相(60)、無派閥の高市早苗経済安保相(62)も再任した。政権の骨格を維持した形だ。

 幹事長ポストを巡って、首相は、「ポスト岸田」への意欲を隠さず、首相官邸との調整なしに政策を唱えるなどスタンドプレーが目立った茂木氏への警戒感を募らせていたとされる。幹事長再任に当たり首相は、再選支持の言質を取ったようだ。

記者会見する自民党の小渕優子選対委員長=9月13日、東京・永田町の同党本部【時事通信社】

記者会見する自民党の小渕優子選対委員長=9月13日、東京・永田町の同党本部【時事通信社】

 そもそも、党4役のうち、一つの派閥が2ポストを握るのは極めて異例。茂木氏に批判的で、茂木派の参院議員に影響力があった青木幹雄元参院議員会長(今年6月死去)は、小渕氏の後見役だった。小渕氏の選対委員長への起用には、茂木氏をけん制する首相の狙いも透けて見える。

 さらには、小渕氏の父・小渕恵三氏の首相時代に、公明党は自民党との連立に参加している。衆院小選挙区の「10増10減」に伴う候補者調整をめぐる自公両党の対立は、表向き解消したとはいえ、しこりが残るのは避けられそうもない。小渕氏の人事は、首相の公明党重視のメッセージとも取れる。ちなみに、首相は、国交相ポストの公明党からの奪還を求める自民党内の意見に耳を貸さず、斉藤鉄夫氏を再任、公明に配慮している。

 また、河野、高市両氏も、閣僚として政権の一翼を担いながら、総裁選に「反岸田」を掲げて出馬しても、党内外の理解は得にくい。首相には、2人を閣内封じ込め、総裁選出馬の芽を摘む狙いもあるだろう。

 一方、首相は、政権に距離を置く非主流派の二階派を含め、森山派を除く各派の入閣待機組から最低1人を登用。初入閣は11人となった。

 ◆安倍派5人衆、全員留任

自民党の臨時総務会を終え、撮影に応じる(左から)小渕優子選対委員長、森山裕総務会長、麻生太郎副総裁、岸田文雄総裁(首相)、茂木敏充幹事長、萩生田光一政調会長=9月13日、東京・永田町の同党本部【時事通信社】

自民党の臨時総務会を終え、撮影に応じる(左から)小渕優子選対委員長、森山裕総務会長、麻生太郎副総裁、岸田文雄総裁(首相)、茂木敏充幹事長、萩生田光一政調会長=9月13日、東京・永田町の同党本部【時事通信社】

 各派の中でも、最大派閥・安倍派に対する配慮はきめ細やかだ。同派は、安倍晋三元首相の死去から1年以上たったが、会長は不在。8月に、塩谷立氏を座長にし、ベテラン15人から成る「常任幹事会」が派の方針を決める、新たな集団指導体制をスタートさせた。この中で、強い発言力があるのが、萩生田、西村、松野、高木各氏と世耕弘成参院幹事長のいわゆる「5人衆」だ。

 今回の内閣改造・党役員人事で、総裁に人事権のない世耕氏(参院幹事長は参院議員の選挙で選出)を含め、5人全員が同じ役職にとどまった。また、同派からの入閣は引き続き4人で、うち二人は入閣待機組で、同派の要望を受け入れた。

 そもそも、5人衆を中心とした集団指導体制は、同派に影響力を残す森喜朗元首相の意向。派内に抜きんでた実力者がおらず、誰が会長になっても、派が分裂しかねない事情がある。首相の立場からすれば、5人衆のポストを変更すれば、力の均衡が崩れ、不満が出るかもしれない。入閣待機組を処遇し、5人衆のポストをいじらないのが、同派内から不満が出ない最善の方法と言え、不満がなければ、総裁選で同派の全面的な支持が期待できる。

 ◆女性最多、上川外相が目玉

 首相は各派に配慮する一方、若手の抜てきなどにより、女性を2人から、過去最多タイの5人に増やし、刷新感の演出を狙った。このうち、初入閣は加藤鮎子少子化担当相(44)、自見英子地方創生相(47)、土屋品子復興相(71)の3人。女性閣僚の目玉は、上川陽子外相(70)と加藤氏の抜てきだ。

記者団の取材に応じる上川陽子元法相=9月13日、国会内【時事通信社】

記者団の取材に応じる上川陽子元法相=9月13日、国会内【時事通信社】

 上川氏は岸田派所属で、法相を3回務めるなどした衆院当選7回のベテラン。女性の外相は、小泉純一郎政権の川口順子氏以来で、今回最大のサプライズ人事でもある。岸田派の次期会長候補である林芳正氏から、外相を引き継いだ。

 また、加藤少子化担当相は谷垣グループ所属の衆院当選3回。父は宏池会(岸田派)会長を務めた加藤紘一元幹事長で、二人の息子の子育て中だ。加藤氏を含め、初入閣の女性3人は、父親が国会議員の二世議員でもある。

 報道各社の世論調査で、岸田内閣の支持率は、不支持率を下回っており、政権に逆風が吹いている。止まらぬ物価高、マイナンバーをめぐるトラブル、秋本真利衆院議員(自民党を離党)の受託収賄容疑での逮捕や、「観光旅行」との批判を浴びた松川るい参院議員ら党女性局のフランス研修といった「不祥事」などが、原因とみられる。 

 首相は女性の積極的な登用で政権のイメージアップを狙ったとみられるが、内閣支持率の回復につながるのか。今週末に行われる見通しの一部報道機関の世論調査に、注目が集まる。

 ◆「中継ぎ投手」、辞任4閣僚の後任

 昨年8月の内閣改造後、山際大志郎経済再生相、葉梨康弘法相、寺田稔総務相、秋葉賢也復興相(いずれも当時)が不祥事や失言で事実上更迭された。今回の改造で首相が各派に配慮しつつ、女性の登用を進めた結果、4閣僚の後任は、だれも再任されなかった。

フィリピンのディオクノ財務相らによる表敬で、記念撮影に臨む木原誠二官房副長官(左)と岸田文雄首相=8月28日、首相官邸【時事通信社】

フィリピンのディオクノ財務相らによる表敬で、記念撮影に臨む木原誠二官房副長官(左)と岸田文雄首相=8月28日、首相官邸【時事通信社】

 不祥事の尻拭いをした末、在任1年も満たずに退任。プロ野球に例えれば、中継ぎ投手の役割をきっちりこなし、ストッパーにつないだ形だ。

 今回の人事で、首相の最側近である木原誠二官房副長官が退任した。木原氏は、公明党や同党の支持母体である創価学会幹部と、首相官邸との連絡の窓口。首相と山口那津男代表は今月4日、東京での選挙協力を復活させる合意文書に署名、関係を完全修復したが、学会幹部と木原氏が水面下で調整、党首レベルに上げたようだ。

 また、木原氏は、日本維新会の遠藤敬国対委員長と懇意。昨年の臨時国会で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者を救済する新法が、維新など野党の賛成を得て成立しており、木原氏と遠藤氏のパイプが生きた結果でもある。木原氏の退任で、官邸内に公明・学会や維新とのパイプ役が不在となれば、政権運営に影響が出る可能性もある。

 こうした状況下にある首相が総裁再選を目指すに当たり、二つの選択肢がある。一つは、総裁選までに衆院を解散、勝利することで「国民の信任」を得て、総裁選を無風で乗り切る方法。ただ、自公で過半数を確保できても、議席を大幅に減らせば、責任を問われかねないリスクがある。

 もう一つは、解散せずに総裁選に臨み、国会議員の支持を徹底的に固め、「数の力」で再選をつかむ方法だ。衆院議員の任期満了は25年10月末。この場合、約1年以内には行われる衆院選を控え、「党の顔」を選ぶ総裁選になる。

 首相にとって、最大のプラス材料は、有力な「ポスト岸田」候補が不在なこと。現職の利点を生かし、有力な対抗馬の芽を摘み、派閥の支持を取り付けるなどして党内の支持を徹底的に固めれば、政権に多少の逆風が吹いていても、再選にこぎつけることができる。

 首相が今回の人事で、茂木、河野、高市の各氏の動きを封じつつ、各派に配慮したのは、こうした計算からだろう。首相に距離を置くある閣僚経験者は「各派を怒らさなければ、再選できると考えているのだろう」と指摘する。

首相官邸に到着した河野太郎デジタル相=9月13日【EPA時事】

首相官邸に到着した河野太郎デジタル相=9月13日【EPA時事】

 もっとも、岸田政権の前途は多難。マイナンバーをめぐるトラブルが11月末までの総点検で、収束するかは見通せない。年末の24年度予算編成で、防衛費増額のための増税の詳細設計を詰める必要がある。次元の異なる少子化対策の内容をまとめ、財源の明示も迫られている。来年1月召集の通常国会は、防衛費増額のための関連法案の審議で、与野党が激しく対立するのは必至だ。

 内閣支持率がさらに下がり、政権が「死に体」となれば、総裁選で派閥を通じての締め付けが効かなくなる可能性もある。国民の意識に近いとされる党員投票では、首相の対抗馬に大量の票が流れるかもしれない。

 また、解散が遅れれば、次期衆院選での野党第1党を目指す維新の、小選挙区での候補者擁立作業が進む。こうした事情から、自民党内には「首相は年内解散を模索している」(中堅)との見方は根強くある。首相が世論を意識して、女性を積極的に登用したのは、年内解散をにらんでの判断と見るのが自然だ。

 ◆早ければ11月解散、12月選挙

 首相は13日の記者会見で、月内に関係閣僚に対し、経済対策の骨格を明示し、対策の検討を指示。10月中に対策をまとめ、しかるべき時期に対策を盛り込んだ23年度補正予算案を決定する方針を明らかにした。早ければ、11月上旬に補正予算案を提出、審議が順調に進めば、11月中旬には成立可能とみられる。

2021年10月14日以来の衆議院解散はあるか?【時事通信社】

2021年10月14日以来の衆議院解散はあるか?【時事通信社】

 内閣改造を経た岸田政権の「人気度」を占う上で、各社の世論調査とともに、参考材料となるのが、10月22日投開票の衆院長崎4区と参院徳島・高知選挙区の補選だ。自民党議員の死去、辞職に伴うもの。自民党が2勝すれば、政権は勢いづき、党内で「解散風」が強まり、一つでも取りこぼせば、政権に痛手で、解散にブレーキがかかるかもしれない。選挙結果は、首相の解散判断に影響を与える可能性もありそうだ。(2023年9月13日掲載)

 元稿:時事通信社 JIJI.com 社説・解説・論説・コラム・連載 【解説委員室から】  2023年09月13日  21:20:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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 ◆出来事

  ▼日本国憲法が前日の貴族院に続き衆院で可決、成立(1946)▼米英両国がアフガニスタンのタリバン政権に対する攻撃開始(2001)

 ◆誕生日

  ▼坂田利夫(41年=芸人)▼氷室京介(60年=ミュージシャン)▼叶恭子(62年=タレント)▼渡辺久美子(65年=声優)▼石田燿子(73年=歌手)▼森慎太郎(78年=どぶろっく)▼生田斗真(84年=俳優)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今日は?】  2023年10月07日  00:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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