路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説・11.04】:同性婚訴訟/国会は「違憲」を直視せよ

2024-11-05 06:00:10 | 【人権・生存権・同性婚・人種差別・被差別部落・ハンセン病患者・強制隔離】

【社説・11.04】:同性婚訴訟/国会は「違憲」を直視せよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.04】:同性婚訴訟/国会は「違憲」を直視せよ 

 同性婚訴訟の控訴審判決で東京高裁は、同性の婚姻を認めない民法などの規定を「違憲」と断じた。3月の札幌高裁に続く違憲判断だ。

 全国5地裁で起こされた計6件の同種訴訟のうち一、二審合わせて8例目の判決で、違憲は4件、違憲状態は3件、合憲が1件となった。いずれも賠償請求は退けたが、同性カップルの権利を保障する司法の流れは定着しつつある。国会は最高裁の統一判断を待つまでもなく、立法措置に向けた議論を始めるべきだ。

 東京高裁判決は、婚姻制度で同性同士を男女と区別するのは「不合理で、性的指向による差別的な取り扱い」と認め、法の下の平等を定めた憲法14条と、婚姻や家族に関する法律は個人の尊厳に立脚するとした24条2項に違反すると判断した。

 判決は、まず婚姻の意義を説く。人生の伴侶と定めた相手と法的身分関係をつくることで安定、充実した社会生活を送る基盤になるとし、同性カップルの婚姻も重要な法的利益として尊重されるべきだと強調した。生殖の能力や意思は婚姻の要件とされておらず、カップルに子が生まれないとしても、法的関係を区別する合理的根拠はないと明言した。

 「婚姻は両性の合意のみに基づき成立する」と定めた24条1項についての判断は示さなかった。だが、判決の中で「両性」の文言があるからといって同性婚を認めないのは憲法の趣旨とは解せない、と指摘している。より当事者に寄り添い、丁寧に検討を重ねた経緯が読み取れる。

 特筆すべきは、同性婚を可能にする制度の具体的な在り方に言及した点だ。民法と戸籍法を改正して同性婚を認めるか、婚姻とは別の制度を新設するか、複数の方法を想定した上で、男女が婚姻によって得られる権利と異なれば違憲の問題が生じると警告した。男女と同じ婚姻制度の利用を重視する原告側の主張に沿って、立法の道筋を示したと言える。

 踏み込んだ判断の背景には、社会の変化への認識がある。各種調査で同性婚を認める人が反対する人を上回り、パートナーシップ制度を導入する自治体は440を超えた。同性婚を認める国も増えている。判決は「社会的受容度は相当高まっている」との見解を示した。

 国会が動かなければ、こうした現状と法制度とのずれは広がるばかりだ。東京高裁は具体的な制度構築を国会の裁量に委ねる一方で、「(裁量は)立法措置をとらない根拠にはならない」とくぎを刺した。

 衆院選で、自民党は公約に明記しなかったが、立憲民主党などは同性婚に前向きだ。与野党の政策協議が欠かせない新国会は、議論に踏み出す場にふさわしい。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月04日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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