【社説②・11.18】:旧ソ連圏の選挙 ロシアの介入非難する
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.18】:旧ソ連圏の選挙 ロシアの介入非難する
ロシアの侵攻が続くウクライナに隣接する東欧モルドバとコーカサス地方のジョージアで重要な選挙や投票が行われた。ともに旧ソ連の構成国。領土内に親ロ派分離独立勢力が支配する地域を抱え、ロシアは偽情報拡散や選挙買収、水面下での介入をしたとされる。民主主義の根幹である選挙の公正性に対する攻撃であり、ロシアを厳しく非難する。
モルドバ大統領選では早期の欧州連合(EU)加盟を掲げる親欧米のサンドゥ大統領が再選したが、親ロシア派が支持する元検事総長との決選投票になる予想外の苦戦。国民投票もEU加盟賛成が世論調査に反し、僅差の過半数だった。法的拘束力はないものの民意が明確に示されたことは重要だ。
EU加盟阻止を狙うロシアは、交流サイト(SNS)などで偽情報やプロパガンダを拡散させ、親ロ派を通じた影響力工作などを活発化。約1億ユーロ(約162億円)の巨額資金を投入して有権者に対する選挙買収を行った。
ジョージア議会選ではロシアと関係が深い大富豪イワニシビリ氏が創設したロシアに融和的な与党「ジョージアの夢」が勝利した。2012年の選挙で親欧米派から政権を奪取した後、イワニシビリ氏が実力者として君臨し、長期政権を維持する。外国の支援に頼る非政府組織(NGO)などを規制する「外国代理人法」を成立させるなど権威主義的傾向を強める。
今回の選挙でも多数の不正投票や水面下でのロシアの介入が指摘され、親欧米派のズラビシビリ大統領は選挙結果を認めていない。
ジョージアとモルドバは22年3月にEU加盟を申請したが、民主的選挙が行われなければ加盟は難しい。欧州はEUを中心に、巧妙化するロシアの工作活動にさまざまな対策を講じてきたが、不十分だったと言わざるを得ない。
モルドバでは来年、議会選挙も予定される。国際社会はEUを中心に連携をさらに強化し、ロシアによる選挙介入を阻止しなければならない。日本も傍観せず、民主主義を目指す国家の歩みを強力に支援したい。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年11月18日 07:19:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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