【卓上四季・11.02】:ほたるこい
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季・11.02】:ほたるこい
幼いころ、歌った記憶がある人は多いだろう。わらべ歌の「ほたるこい」。<ほう ほう ほたる こい>という呼びかけで始まる。素朴でひなびたメロディーが郷愁を誘う
▼季節外れもはなはだしいのだが、この歌が永田町かいわいで盛んに聞こえたらしい。歌いかけられたのは国民民主党の玉木雄一郎代表だ。歌いかける方は二手に分かれていた。与党側と野党側である
▼どちらのコーラスも懸命であった。<あっちのみずは にがいぞ/こっちのみずは あまいぞ>。衆院選で与党が過半数を割り込むなか、躍進した国民民主の存在感は高まるばかりだ。ラブコールの熱量もぐんと上がる。請われる方は強い
▼焦点の人のハートを射止めたのは与党の側だった。このままだったら予算や法律を通すのも思い通りに進まない。税制改正や経済対策を求める国民民主を取り込み、政権運営の難局をしのぐ―。「部分連合」にはそんな思惑が透けて見える
▼玉木さんは得意満面の様子だ。政局の中心にいるし、なにせ「手取りを増やす」という公約実現のチャンスなのだから
▼ただし、総選挙には政権を批判する野党の立場で臨んだことをお忘れなく。過去の別の政党の例を振り返れば、野党と与党の中間を進む「ゆ党」の道は険しい。甘そうに見えた水が苦かった。そうならないとも限らない。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】 2024年11月02日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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