【余禄】:「丁」の字には「よほろ」の訓がある…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:「丁」の字には「よほろ」の訓がある…
「丁」の字には「よほろ」の訓がある。膝の裏のくぼみのことで健脚の意味を持った。古代中国から律令制を導入した際、課役を担う健康な成年男子を指す丁にこの読みを当てたらしい。大宝律令では21歳から60歳が「正丁(せいてい)」とされた。丁年は成年と同じ意味である
▲江戸時代は「15歳で一人前」だったが、法規はなかった。明治政府は徴兵や課税など近代制度整備に基準が不可欠と気づき、1876年4月1日に「満二十年を以(もっ)て丁年と相定め候(そうろう)」と太政官布告を出した。旧民法に引き継がれた「20歳成人」の始まりである
▲それから146年。きょうから成人年齢が18歳に引き下げられる。15年前に国民投票の投票年齢を18歳以上と定めて以来の懸案だったが、公選法改正で18歳投票は実現した。明治政府が参考にした欧米諸国も大半が18歳に引き下げているから時代の流れだろう
▲といっても酒やたばこは20歳以上のままだし、刑事事件では少年の扱いを受ける。大きな変化は親の同意なしに契約が可能になることである。10代の起業家が増えるなら頼もしいが、高校生が詐欺まがい商法の餌食になる危険性も出てくる
▲成人の生徒たちにどう対応するか。コロナ禍でてんてこ舞いの学校には新たな課題が加わった。センバツを終えた球児たちも夏には成年、未成年の「混成チーム」で甲子園を目指す
▲権利だけでなく義務も負う新成人たちである。つまずかないように手助けし、温かく見守っていくことが社会全体の利益につながる。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2022年04月01日 02:04:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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