《社説①》:ウクライナ侵攻 「中立化」の新提案 停戦へ露は攻撃の中止を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:ウクライナ侵攻 「中立化」の新提案 停戦へ露は攻撃の中止を
ロシアによる侵攻を巡る停戦協議で、ウクライナ政府代表団が「中立化」を条件付きで受け入れる新提案をした。
これまで目指してきた北大西洋条約機構(NATO)への加盟を断念し、「中立国」になる。代わりに米露や周辺国がウクライナの安全を担保する。
双方の停戦協議はこの間、4回行われてきたが、ようやく歩み寄りへ向けた具体的な内容が明らかになった。
ウクライナの中立化とNATO非加盟は、プーチン露大統領が侵攻前から要求していたものだ。ロシア側の政府代表団は「持ち帰って検討する」と述べたが、受け入れを真剣に検討すべきだ。
侵攻が2カ月目に入り、ロシアは追い込まれている。米欧日が発動した包括的な制裁で、ロシア経済は大きな打撃を受けている。
戦況もロシア軍にとって厳しさを増している。
侵攻の狙いは当初、短期決戦による首都キエフの陥落とみられていたが、ウクライナ軍の激しい反撃を受け、困難になっている。多数のロシア兵を失い、戦費もかさんでいる。
苦戦が続く中、作戦の変更を迫られ、軍部隊の投入を首都周辺からウクライナ東部に集中せざるを得なくなった。
露国防省は、キエフ周辺に展開する軍の活動を大幅に削減すると表明した。だが、米国防総省は「撤収ではなく部隊の再配置だ」と、懐疑的な見方を崩していない。
ロシア軍の攻撃により、各地で集合住宅や商業施設、病院などが破壊された。国連は、激戦地のマリウポリだけでも「数千人が死亡した可能性がある」とみている。約400万人が国外に逃れて難民となっている。
第二次大戦後、欧州で最大といわれる人道危機に一日も早く終止符を打たねばならない。
米英仏独伊の5カ国首脳は「ロシアが停戦と軍の撤収を実現するまで圧力をかけ続ける」ことで一致した。ジョンソン英首相は、プーチン政権の真意について「言葉ではなく、行動で判断すべきだ」と強調した。
恒久的な停戦の合意に向けて、ロシアは今すぐ、すべての攻撃を中止すべきだ。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2022年03月31日 02:16:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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