【HUNTER・11.29】:表面化した独裁町長の自己顕示欲|田川市・郡ごみ処理施設 “しじみ”だらけの現状
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・11.29】:表面化した独裁町長の自己顕示欲|田川市・郡ごみ処理施設 “しじみ”だらけの現状
独裁者の自己顕示欲が形となって現れるとこうなる、という典型だ。
■他自治体のシンボルキャラを圧する「大しじみ」
田川市・郡の8市町村で構成する「田川郡東部環境衛生施設組合」が整備を進めてきたごみ処理施設と最終処分場の建屋に、これでもかと言わんばかりに描かれているのは、組合長である永原譲二氏が町長を務める大任町のシンボルキャラクター「しじみの大ちゃん」。8市町村のシンボルキャラと並んで配された小さめな“しじみ”とは別に、他を圧する大きさの“大しじみ”がこれ見よがしに10か所以上も描かれている。建屋の煙突状の部分にも、それぞれ二つずつ4面に“大しじみ”(*下の写真)。別棟の道路側などにも、大任町を含む8自治体の小さなシンボルキャラの上に“大しじみ”といった具合だ。
驚いたことに、ごみ処理施設から少し進んだ場所に整備されている最終処分場の建屋にも、同様の悪目立ち“大しじみ”(*下の写真)が描かれていた。「大任町が一番偉い」という主張を、こうした形で示したとしか思えない趣味の悪さだ。
ごみ処理施設の建設費は約220億円、最終処分場の整備には最終的に約50億円の公費が投入される。つまり、約270億円かけて造られる二つのごみ処理関連施設の壁面に、たくさんの“大しじみ”を張り付けたことになる。喜ぶ大任町民がいるとは思えないが……。
ちなみに、大任町には「田川郡東部環境衛生施設組合」のし尿処理施設「田川地区クリーンセンター」(し尿処理場)もあるが、3年前に稼働した同センターの建屋には各自治体のシンボルキャラは見当たらない(*下の写真)。
■必要なのは不透明行政の“浄化”
来年稼働する予定のごみ処理施設と最終処分場を利用して自己顕示欲を表面化させた格好の永原氏だが、肝心なことは裏にしまったままだ。これまで報じてきた通り、同氏は大任町内で整備が進められてきた「ごみ処理3施設」建設費の詳細を明かそうとせず、一方的な自己主張を繰り広げてきた。
3施設の建設費を大幅に削減したと自慢し、都合よく作り上げた事業過程や契約金額を周知させるためのパンフレットまで作成。それを田川地域の全戸に配布した(*下の写真)。しかし、事業費の詳しい内訳は一切説明されておらず、建設費の妥当性を検証するための重要な資料となる事業ごとの『積算書』については、「日本中探してもない」などとうそぶいた。
実は、永原氏の「積算書はない」という主張は真っ赤なウソ。ハンターや複数自治体の議員団が福岡県への情報公開請求によって、大任町が県に提出したた計492ページに及ぶし尿処理施設建設工事の「積算書」が確認されている。積算書には「大任町汚泥再生処理センター建設工事 設計内訳明細書」のタイトルがあり、種別の工事費や部材すべての金額と積算根拠が記載されていた(*下の画像は、その一部)。県の担当課は、「会計検査院が大任町で事業の検査を行った際に、情報に基づき同町に提出を命じたもの。積算書であると認められる」と明言している。
永原氏は、この文書が積算書であることを頑として認めないが、そもそも「積算書」のない公共工事などあるわけがない。工事費が妥当であるか否かを判断するための材料なしに、公金支出を行う行政機関など、それこそ“日本中探しても”見つかるまい。
不透明な公共工事の実態を追及された永原氏やその取り巻きらが強弁の材料に使ってきたのが、「大任町が迷惑施設を受け入れた」という主張。ごみ処理施設の設置を喜んで引き受ける自治体が少ないのは事実で大任町に対するリスペクトは大事だろうが、それと公共工事についての説明責任とは別の話だ。
ごみ処理3施設を整備するための事業費は、本体工事と付帯工事を合わせ軽く400億円を超えるものとみられている。事業費の原資はすべて税金であり、これを負担しているのは日本全国の納税者だ。納税者や各自治体の議員が巨大公共事業の妥当性を検証することを拒む永原氏の姿勢――「契約事務を含め工事の管理についても大任町が委任されたのだから町外の者は口を出すな」――は通らない。納税者であれば、誰であれごみ処理施設工事についての説明を求めることができるし、行政機関である田川郡東部環境衛生施設組合は説明責任を果たす義務がある。
しかし、田川郡東部環境衛生施設組合は「情報公開制度」を設けておらず、施設整備事業の詳しい内容や契約までの過程は藪の中だ。稼働後たった3年しか経っていない「し尿処理場=クリーンセンター」には、毎年多額の修理費用が計上されており、関係者からは「古いプラントを導入して『安くさせた』と言っているだけではないのか」といった疑念の声まで上がる状況となっている。表面化させなければならないのは、独裁者の自己顕示欲ではなく、ごみ処理施設の詳しい事業過程なのである。
ところで、大任町のホームページには「しじみの大ちゃんのプロ―フィール」が掲載されている。下の画像がそれだ。
《しじみ1個が一日でコップ一杯の水を浄化する」ことから、大任町のイメージキャラクターとして生まれる。》とその生立ちが記されているが、浄化しなければならないのは『町政』だろう。(中願寺純則)
元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【話題・地方自治・福岡県田川市・郡の8市町村で構成する「田川郡東部環境衛生施設組合」が整備を進めてきたごみ処理施設と最終処分場】 2024年11月29日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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