《余録・01.08》:今年は日本の「ラジオ放送100年」の節目…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・01.08》:今年は日本の「ラジオ放送100年」の節目…
今年は日本の「ラジオ放送100年」の節目。世界初のラジオ商業放送はそれより5年早く米ペンシルベニア州の「鉄の都」ピッツバーグで始まった。電機メーカーが受信機の販売拡大を狙い、大統領選開票速報を放送した
▲その後、ニューヨークに建設された高層ビル群「ロックフェラーセンター」に誕生した劇場は「ラジオシティー・ミュージックホール」と名付けられた。ラジオが最先端だった時代。今なら「AI(人工知能)シティー」か
▲バブル時代の1989年、三菱地所がロックフェラーセンターを保有する企業の51%の株を取得すると「米国の威信を買収」と報じられた。ソニーのコロンビア映画買収も重なり、日本企業の米国進出への反発が広がった
▲バイデン米大統領は87年に大統領選予備選に初参戦。トランプ次期大統領は88年にニューヨークの名門プラザホテルを買収して名を上げた。当時のジャパンバッシング(日本たたき)を肌で知る世代だ
▲日本製鉄のUSスチール買収を「安全保障上の脅威」と中止させたバイデン氏の決断にも80年代の記憶の影響があるのではないか。20世紀初頭、ピッツバーグに誕生した世界最大の企業は長く米国の威信の象徴だった
▲同盟国の企業買収を中国と同様に扱うのは道理に合わない。日鉄側が大統領命令を無効と提訴したのは当然だ。次期政権の判断見直しにも期待したいが、トランプ氏は「高関税で偉大な企業を再生させる」という考えらしい。バイデン氏と五十歩百歩である。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2025年01月08日 02:07:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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