【政界地獄耳・09.19】:自民だけでは政治倫理を確立できない
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・09.19】:自民だけでは政治倫理を確立できない
★今年7月23日、衆院の全党と会派の議員約140人が参加した超党派の第2回「政治改革の柱として衆議院選挙制度の抜本改革を実現する超党派議員連盟」が開かれた。いささか古い話だが、総裁選でも争点にすらならない。83年の総選挙でも政治倫理問題が最大の争点となり、時の首相・中曽根康弘は「倫理、リンリと、まるで鈴虫が鳴いているようだと」と一蹴し同年の流行語大賞に輝いた。30年前、中選挙区から小選挙区に制度を変える時も背景には政治とカネがあった。89年から93年にかけ宇野、海部、宮沢の3内閣が倒れ、細川内閣の時に新選挙制度「小選挙区比例代表並立制」が成立した。
★つまり、自民党は政治倫理を確立したためしがなく、政治とカネに決別したこともない。本気で改める気がない。それをなくそうと小選挙区で2大政党制に誘導したものの、今は政党乱立時代だ。政治の信頼回復には幅広い民意を政治に反映させる必要がある。小選挙区制では当選者が1人で対立候補が落選すれば、僅差であろうとも死に票が増える。小選挙区制の弱点でもある。また、一度選挙区で勝つと、その構図のまま定着してしまい、変化が起こりにくい。さて議連には総裁選候補者の元幹事長・石破茂、元官房長官・加藤勝信が顧問として入っている。議連は現行制度の問題点を共有し、新制度に向け見直しを共有している。30年前に制度は変えたが、政治資金規正法が中途半端に終わった反省も重要だろう。議論は腐敗防止法にまで進むことを期待したい。
★政治の劣化が制度だけで防げるとは思わないが、人材発掘、育成、政策機能を政党が責任を持つ仕組みを作る、1党の独裁的な政権維持によるなれ合いや腐敗の温床にならないための方策などを各党の議員が知恵を出す。無論、議論は数年かかり、実施できるのは2回か3回後の総選挙だろうから、7年から10年後の制度かもしれない。だが、総裁選の候補者を見ていると自民党単独ではこの議論をリードできまい。誰になろうが議論が進むことを願う。(K)※敬称略
◆政界地獄耳
政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】 2024年09月19日 08:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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