【社説②・12.03】:国会代表質問 企業献金禁止に決着を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.03】:国会代表質問 企業献金禁止に決着を
衆院はきのう、石破茂首相の所信表明演説への代表質問を行い、立憲民主党の野田佳彦代表がまず自民党の裏金事件を受けた政治改革についてただした。
焦点となっている企業・団体献金について、首相は「自民党としては不適切だとは考えていない」と述べ、野党が求める全面禁止を否定した。
企業・団体献金は、平成の政治改革で禁止の方向を確認したはずである。それはリクルート事件をはじめさまざまな不祥事を踏まえ、腐敗や癒着につながりかねないと判断したからだ。
政治とカネの問題はそれから30年たった今もなくなっていない。政治の怠慢により、これ以上先送りするのは許されない。
今国会は、政治の信頼回復が最優先課題である。首相は抜本改革から逃げてはならない。
首相は「避けねばならないのは献金で政策がゆがめられることだ。これは個人献金も企業献金も違いはない」と述べた。
だが自民党の政治資金団体への昨年分の企業・団体献金は24億円に上る。資金力のある大企業や業界団体が政策要望をしながら巨額献金を続ける構図が、本当に政府・与党の意思決定に影響しないと言い切れるか。
国民民主党は企業・団体献金について立場を明確にしていないが、野党は一致して禁止を求めるべきだ。
政治資金を監査する第三者機関の設置について首相は「国会設置が基本だ」と指摘した。
議員から独立性の乏しい組織が強制力のある調査を含め、適切な判断を下せるかは疑問だ。
実効性ある厳正な組織のあり方を検討しなければならない。
裏金議員の政治倫理審査会への出席については、前向き姿勢を示す参院だけでなく、衆院側にも「必要な説明責任を果たすよう促している」と述べた。
裏金は実態解明がいまだに進んでいないことが最大の問題である。政倫審のみならず、旧安倍派幹部の証人喚問を含め、あらゆる手だてを尽くすべきだ。
首相は、自らが連携を模索する国民民主党が求めた所得税の非課税枠「年収103万円の壁」の引き上げに関し、あらためて意欲を示した。一方で立憲民主党が要求した選択的夫婦別姓制度は「国民の意見が分かれている」などと慎重に答えた。
所信表明では「幅広い合意形成を図る」と述べたが、結局与党にとって都合の良い意見を聞いているだけではないか。
大切なのは民意がどこにあるかを見極めることだ。さまざまな意見を丁寧に聞き、困難な課題にも取り組まねばならない。
元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月03日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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