路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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《社説①・12.29》:公益通報者保護 事業者任せにせぬ制度に

2024-12-29 09:31:55 | 【22年改正公益通報者保護法・組織内部の通報が困難な時、報道機関等外部へ通報可】

《社説①・12.29》:公益通報者保護 事業者任せにせぬ制度に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.29》:公益通報者保護 事業者任せにせぬ制度に 

 組織の不正を正そうと思っても、これで安心して通報できるのかはおぼつかない。

 「公益通報者保護法」について、消費者庁の有識者検討会が法改正に向けた報告書をまとめた。

 内部告発を「公益」とする法の趣旨を徹底させ、対応を強化する方向だ。法が禁じる通報者への解雇、降格、減給、配置転換、嫌がらせなどの「不利益な取り扱い」が後を絶たないためである。

 このうち、内部告発したことを理由として解雇、懲戒処分を行った事業者には刑事罰を科すべきだとした。重罰化によって、不利益な取り扱いを抑止しようという意図は理解できる。

 ただ、抜け穴は多そうだ。解雇にしなくても、一人部屋に置き続けたり、生産性のない仕事ばかりをさせたりして退職に追い込むことはできてしまう。

 懲戒処分ではない降格や減給、配置転換などは、「違法行為の範囲や定義についてさらに検討が必要」として罰則の対象から外した。これにも言い逃れの懸念がつきまとう。人事評価だと言えば、事実上の報復対応が可能になってしまうからだ。

 さらに、事業者が通報者を特定する“犯人捜し”(探索行為)への対応も、禁止規定は設けるべきだとしつつ罰則を見送った。

 案件によっては通報者の協力が必要な場合が考えられ、すべてを違法とひとくくりにしにくいのは確かだ。仮に罰則を設けたところで、事業者の解釈一つで正当な調査だとも言えてしまう。

 そもそも、何が公益通報なのかを事業者が判断できてしまう問題も積み残された。

 兵庫県知事のパワハラ疑惑などを県幹部が外部に訴えた問題で、知事は告発文書を「うそ八百」と断じ、幹部を懲戒処分とした。鹿児島県警は組織の不祥事情報を報道関係者に送った幹部を守秘義務違反とし、逮捕までした。

 こうした例に見られる危うさは検討会でも指摘されたが、具体的な提案にはなっていない。

 共通するのは、事業者任せでは通報者は守れない現実だ。組織内に公益通報の窓口を設ける義務規定(従業者300人以下は努力義務)も含め、現状では内部告発をためらわせる要素が多い。

 組織の不正を正すことは本来、組織にとっても有益なはずだ。その原点を社会で共有しながら、通報者を徹底して守り、通報の妥当性を第三者的に評価できる何らかの仕組みが要る。議論を深め、実効性のある制度に育てたい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月29日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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