【社説①・12.06】:自民と企業献金 温存を画策する無反省
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.06】:自民と企業献金 温存を画策する無反省
自民党は年内成立を目指す政治資金規正法の再改正案に、企業・団体献金の禁止を盛り込まなかった。存廃の議論を第三者機関に委ねるとするが、企業・団体献金を温存するため結論を先送りする意図は明らかだ。衆院選で惨敗してもなお、裏金事件を全く反省していないのではないか。
立憲民主党の野田佳彦代表は5日の衆院予算委員会で企業・団体献金の禁止を政治改革の「本丸」に位置付け、賛同するよう迫ったが、石破茂首相は「禁止よりも公開が自民党の一貫した立場だ」とはねつけた=写真。
営利を目的とする企業・団体が政治献金の見返りを求めるのは当然だ。政策をゆがめる恐れがあるからこそ、政治資金は公費助成と個人献金に移行すべきだというのが30年前の「平成の政治改革」の結論ではなかったか。
企業・団体献金の透明性が向上すれば、問題が解消されるというのは、論点のすり替えだ。
首相は若手議員として議論に加わっていたのに、政党助成制度の導入に伴い、企業・団体献金を禁止することになった経緯について「そういう事実はない」と発言したことは極めて不誠実だ。
1994年、政治改革を巡る細川護熙首相とのトップ会談で自民党総裁として合意した河野洋平元衆院議長は「公費助成が実現したら企業献金は廃止しなければ絶対におかしい」と語っている。
当事者だった当時の総裁の証言を、後の総裁が完全否定するとは驚きだ。企業・団体献金の全面禁止を巡る議論は尽くされている。第三者機関の検討を待たず、積年の課題を実行に移すべきだ。
自民党の再改正案は、使途公開が不要な政策活動費を廃止するとしつつ、一部は非公表にできるようにしている。不透明な資金を新たに生むことは容認できない。
衆院政治改革特別委員会は与野党からの改正法案提出を受けて、来週にも審議に入る。
政治資金を巡る腐敗に「ノー」を突きつけた衆院選での民意を重く受け止め、与野党は徹底的な議論と幅広い合意形成により、抜本的な改革を早期に実現すべきだ。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月06日 07:45:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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