間に別の話がいろいろ挟まりましたが、
「ミスタッチを恐れるな」(ウィリアム・ウェストニー)
という本の話に戻ります。
←練習法がどうとかより、まず練習時間を取ろうよって問題はある
この本のオビにはこうあります:
-----------
「一度もまちがえないように、ゆっくりしたテンポで練習しなさい」
…その教え方、本当に正しいですか?
-----------
この「ゆっくりテンポから練習」というのはわりと一般的に流布している考え方だと思うのですが、
要するにミスして弾くとそのミスを学習してしまうというか、間違った動きが手に染みついてしまってまたいつでもそのように間違えるようになる、ということです。
一度も間違わないようなゆっくりしたテンポから丁寧に練習することで、手や頭にミスの癖がつくことを避けて、いわば
「キレイなままで」
練習することができるというわけですね。
癖というか、なんかおんなじように間違えちゃうってことありますから、それを無批判に繰り返してもその間違った動きが身についちゃうだけで、それはマズそうですよね。説得力ある練習法だと思います。
でも、この本は、タイトルでこの考え方に真っ向から異議を唱えているのです。何がいけないのでしょうか。
無理ないテンポでまず練習すること自体は別によいとして、そこで「一度も間違えちゃいけない」というような枷を自分にはめることがおそらくは問題です。ミスは絶対に起こしてはならない大惨事であるかのような扱いに、緊張する、恐れる、過剰なコントロール、生気のない演奏。
もし、話がスキーの初心者、自転車に乗ろうとする子どもについてであれば、転びながら上手になっていくのはみんな了解してます。転んじゃったからもう転ぶ癖が染み付いて、いくら練習しても転び続けるだけだとは誰もいいません。離乳食を自分のスプーンで口に運び始めた子が、最初はだらだらべちゃべちゃこぼしてますが、そんなことをしたら何年でもべちゃべちゃこぼすのでしょうか? そんなことはなく、速やかに学習していって上手に食べられるようになりますね。こぼさせちゃいかんという人はいません。
そこでこの本は、集中して、でもリラックスして、生き生きと「ミスを恐れずに」弾いてみて、どこでミスが起こるかを手掛かりに、考察や修正を行い、弾けるようになったら、繰り返し練習して定着させる。しっくりくるようになったら、さて次の個所、という練習方法を勧めているのです。
この考え方についてどう思いますか?
見た目、ものすごく真逆なような、それでいてどっちもそれなりに説得力があるような、不思議な感覚があるのですが…
実は、見た目ほど違わないような気がするんです。
「ミスを恐れない派」とはいっても、あまり出鱈目に弾けちゃうようでは、いくら正直なミスでも分析しようがありませんから、実はだいたい弾けてちょっとミスする程度を想定してると思うんです。つまり、無理のないテンポと範囲で区切って、弾いてみる…ちょっとミスする…改善する…定着させる…そして次。
「ミスを混ぜたらいかん派」とはいっても、メトロノームを超ゆっくりにしたのにやっぱり間違えたりとか(爆)あるよね? 私は、この本を読む前、たとえばラフマ二台のロマンスを練習したときのように、難しすぎる曲をなんとか手に当てる時には、超ゆっくりからメトロノームを使って、しっくり弾けるようになったら次、という方法をとり、主観的には「ミスを混ぜたらいかん派」の説にきちんと従って練習しているつもりではあったのですが、実際のところ…
けっこうミスしてました(^^;;
弾いてみる…ミスする…修正する…何度も弾く…しっくりくる…次へ(次の個所もしくは一段テンポアップ)。
なんだおんなじじゃん(笑)
つまり根がいいかげんな人が「一度もまちがえないように、ゆっくりしたテンポで練習しなさい」という練習方法を採用すると(採用したつもりになると)実はあまりミスを恐れないで弾いていて、萎縮もしないし、なんかこの本の著者が推奨する方法にかなり近いのです。練習時間もたいして取れないから、この本でいうように、疲れていない状態でリラックスして練習するという条件も満たしていましたしね。
「ミスを混ぜちゃいけない」「染み付く」
ということを、真面目に、ストイックに、あまりにも長時間練習できちゃう人は「萎縮する」というようなマイナス面も取り込んでしまうのかもしれない。そして、そういうタイプの人のほうがピアノうまくなって、音大に行ったり先生になったりするものだから、この本の著者としてはそういう人のほうがたくさん目について気になるのかもしれないな、と思った次第です。
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「はじめての中学受験 第一志望合格のためにやってよかった5つのこと~アンダンテのだんだんと中受日記完結編」ダイヤモンド社
←またろうがイラストを描いた本(^^)
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「発達障害グレーゾーン まったり息子の成長日記」ダイヤモンド社
(今回もイラストはまたろう)
「ミスタッチを恐れるな」(ウィリアム・ウェストニー)
という本の話に戻ります。
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この本のオビにはこうあります:
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「一度もまちがえないように、ゆっくりしたテンポで練習しなさい」
…その教え方、本当に正しいですか?
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この「ゆっくりテンポから練習」というのはわりと一般的に流布している考え方だと思うのですが、
要するにミスして弾くとそのミスを学習してしまうというか、間違った動きが手に染みついてしまってまたいつでもそのように間違えるようになる、ということです。
一度も間違わないようなゆっくりしたテンポから丁寧に練習することで、手や頭にミスの癖がつくことを避けて、いわば
「キレイなままで」
練習することができるというわけですね。
癖というか、なんかおんなじように間違えちゃうってことありますから、それを無批判に繰り返してもその間違った動きが身についちゃうだけで、それはマズそうですよね。説得力ある練習法だと思います。
でも、この本は、タイトルでこの考え方に真っ向から異議を唱えているのです。何がいけないのでしょうか。
無理ないテンポでまず練習すること自体は別によいとして、そこで「一度も間違えちゃいけない」というような枷を自分にはめることがおそらくは問題です。ミスは絶対に起こしてはならない大惨事であるかのような扱いに、緊張する、恐れる、過剰なコントロール、生気のない演奏。
もし、話がスキーの初心者、自転車に乗ろうとする子どもについてであれば、転びながら上手になっていくのはみんな了解してます。転んじゃったからもう転ぶ癖が染み付いて、いくら練習しても転び続けるだけだとは誰もいいません。離乳食を自分のスプーンで口に運び始めた子が、最初はだらだらべちゃべちゃこぼしてますが、そんなことをしたら何年でもべちゃべちゃこぼすのでしょうか? そんなことはなく、速やかに学習していって上手に食べられるようになりますね。こぼさせちゃいかんという人はいません。
そこでこの本は、集中して、でもリラックスして、生き生きと「ミスを恐れずに」弾いてみて、どこでミスが起こるかを手掛かりに、考察や修正を行い、弾けるようになったら、繰り返し練習して定着させる。しっくりくるようになったら、さて次の個所、という練習方法を勧めているのです。
この考え方についてどう思いますか?
見た目、ものすごく真逆なような、それでいてどっちもそれなりに説得力があるような、不思議な感覚があるのですが…
実は、見た目ほど違わないような気がするんです。
「ミスを恐れない派」とはいっても、あまり出鱈目に弾けちゃうようでは、いくら正直なミスでも分析しようがありませんから、実はだいたい弾けてちょっとミスする程度を想定してると思うんです。つまり、無理のないテンポと範囲で区切って、弾いてみる…ちょっとミスする…改善する…定着させる…そして次。
「ミスを混ぜたらいかん派」とはいっても、メトロノームを超ゆっくりにしたのにやっぱり間違えたりとか(爆)あるよね? 私は、この本を読む前、たとえばラフマ二台のロマンスを練習したときのように、難しすぎる曲をなんとか手に当てる時には、超ゆっくりからメトロノームを使って、しっくり弾けるようになったら次、という方法をとり、主観的には「ミスを混ぜたらいかん派」の説にきちんと従って練習しているつもりではあったのですが、実際のところ…
けっこうミスしてました(^^;;
弾いてみる…ミスする…修正する…何度も弾く…しっくりくる…次へ(次の個所もしくは一段テンポアップ)。
なんだおんなじじゃん(笑)
つまり根がいいかげんな人が「一度もまちがえないように、ゆっくりしたテンポで練習しなさい」という練習方法を採用すると(採用したつもりになると)実はあまりミスを恐れないで弾いていて、萎縮もしないし、なんかこの本の著者が推奨する方法にかなり近いのです。練習時間もたいして取れないから、この本でいうように、疲れていない状態でリラックスして練習するという条件も満たしていましたしね。
「ミスを混ぜちゃいけない」「染み付く」
ということを、真面目に、ストイックに、あまりにも長時間練習できちゃう人は「萎縮する」というようなマイナス面も取り込んでしまうのかもしれない。そして、そういうタイプの人のほうがピアノうまくなって、音大に行ったり先生になったりするものだから、この本の著者としてはそういう人のほうがたくさん目について気になるのかもしれないな、と思った次第です。
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(今回もイラストはまたろう)