アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

場に合う選曲、場を作る選曲(のだめ六巻)

2012年08月17日 | ピアノ
エルガーのバイオリンソナタって、のだめの漫画読む前に知ってました?

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結構マイナーな曲だと思うんですよね。バイオリンソナタっていっても、ベートーベン(特にスプリングとか)、ブラームス(雨の歌とか)、あるいはフランクとかね。バイオリンを弾かない人でも知ってるソナタがいろいろあるけれど、エルガーね…

威風堂々のイメージしか持たないで聞いたらびっくりです(^^;;
#ちなみに、こんな曲→エルガー バイオリンソナタop82

暗かっこいい曲でしょ。私は、前にフランクのソナタを聞きたくて買ったCDに「ついでに」入っていたので聞いたことがあったのですが、たまたまってことがなければ音楽ファンでも知らなくて不思議はない曲。それが、のだめ六巻で、千秋とのだめが三善家に泊まっているときに弾かれる曲としてとってもしっくり来るんです。

三善のおじさんはこの演奏を聞いて
「鳥肌が…久しぶりに聞く生の音だからか?…いや…あのふたり…」
結局、千秋はやっぱり音楽やらなきゃ、と傾いていくシーンです。

「飛行機に乗れない。外国行けないまま音楽を続けていてどうなる?」と不安に揺れる千秋の心情にピタリと寄り添う、のだめのピアノ(ふだんは逆に、千秋が合わせてるんですけど)。

のだめ作品では、場面に合う曲を選んで聞かせることによって…といっても、漫画では音は出ませんから頭の中で想像するだけですけど、場の雰囲気を明確に作り上げ、ストーリーをひっぱっていきます。

たとえば、のだめ九巻で、九州まで追いかけてきてのだめの実家に止まっている千秋がショパンプレリュードの21番を弾いてるところとか。これがなぜか21番。ほかにもっと有名なのいっぱいあるのに、21番。気楽に弾き流している千秋と、その後姿に萌えて「真っ白なショパン…」とはぁはぁしているのだめ(笑)。なんか、納得しちゃうんですよね。

上記の二つはいずれもプライベートな演奏シーンですが、コンクールで、あるいはコンサートで選ばれる曲もそれぞれ非常にうまくて、

・自分(たち)が今できることは何で
・お客さんに何を聞かせたいのか

がよく伝わるようなチョイスがされています。コンサートに来たお客さんが、どう引き込まれて、どう感じてくれるのか。そこには明確な演出というのがあるわけです。もちろん、リアルのコンサートでも同じこと。

翻って、私たちが「発表会」に出るときというのは、もちろん一曲入魂、全力で選曲をしますが、考えることは、まぁ~自分の都合というか、何が弾けるか何が弾きたいかですよね。いろんな人の演奏を次々、通しで聞いてるお客さんがそのいくつもの曲から何を受け取るかなんて、おかまいなし(^^;; いやもう、そんな余裕ないわけですけど。

「発表会」と「コンサート」の一番の違いは、単に弾く側の都合で曲を並べているか、場に合う選曲、場を作る選曲がなされているかということなのだと思います。最近、音楽の星座などのイベントに参加するとき、個々の参加者が「発表会」的気分で選曲をしていようとも、聞いている人からみてなるべく「コンサート」といえる状況になるようにプログラム順などが非常に工夫されているのを何度か体験するうちに、ようやく気づきました。

もちろん、主催者側が「発表会」と思っていたら(例:ヤマハ発表会)個人の工夫の余地は少ないですけど、短い自分の時間枠内だけでも、「演出」ということを考えるようになれたら、それはすごい進歩なんじゃないかと思うのです(私にとっては遠い…)。

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タッチの差で決まったピアノ対決、クロちゃんと竹山

2012年08月16日 | ピアノ
別のものを探していてたまたま見た動画なんだけど、カンニング竹山VS安田大サーカスのクロちゃんで10日間練習してピアノ対決するという企画があったらしい。

   にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ←10日間完成「戦場のメリークリスマス」!?

双方、ピアノ経験まったくなし。10日間の猛練習後、同じ曲「戦メリ」でガチンコ対決する。ただし指導者が違う。

ま、とりあえず見てみて→「ピアノ演奏対決 ~ カンニング竹山VS安田大サーカスのクロちゃん

二人とも、未経験から10日間でよくぞここまで、というくらいよく弾けてると思う。それで、この動画では、結局どっちが勝ったのかの部分が含まれていないけれど…

ピアノ好きな人なら、聞いただけでわかるよね。勝ったのはクロちゃん。

竹山もきちんと弾けてると思うけど。というか、むしろこっちのほうが「きちんと」弾けてるか? 変な「間」も少なくて(^^;;

でも、服部先生のコメントにもあるように、クロちゃんのは、「不思議な間」とか、ちょっとぎこちないところも含めて、なんか引き込まれる演奏なんです。竹山の演奏も、最初わりといいかな?? と思ったけど、テーマに入ったところでベタッと味がなくなってしまって、んーこりゃ違う、やっぱり。

この二人の決定的な差というのがどこにあったかというと、むろん素質というのもあるのだろうけど、まず指導者の実力が違う。謎のピアノマンは、自分で弾くのはなかなかうまくてちゃんと魅力ある演奏をするし、作曲もできるそうだけど、指導経験があるわけではないしね。

…しかも…

10日間の指導環境の差がスゴイ。クロちゃんは、広々した部屋に置かれたグランドピアノで練習し、竹山は(この動画で見る限りでは)電気店に置かれたデジピとか、段ボール板に描かれた鍵盤とか(^^;; で練習しているんだから。

曲のゆっくりパートで見るとその差歴然。クロちゃんは、手つきとか動作とかこなれてなくて弾き方はちょっと変だけど、音に気持ちをこめるやり方をつかんでいる。音のひとつひとつが、ちゃんと表情を持っている。編曲も、ペダルの使い方も、現状の技量を最大限に引き出すように、完璧指導されてるってこともあるけれど。

ただ叩くタッチになってしまっている竹山は勝負にならない(竹山が悪いわけではないと思うが)。

つまり、「タッチの差(僅差)」という意味ではなくて「タッチの差(音色)」。これは大きな差で、審査員のコメントも、クロちゃんに対しては「音世界ができている」など、迷いなくほめているけれど、竹山に対しては、いっしょうけんめい言葉を選んでいる。ハネケン「10日間でここまで技巧を自分のものにされたことに敬意を表します」

ところで、クロちゃんのピアノを弾く動作は独特で、体の揺れとかにはずいぶん無駄も多いと感じられる。ここで思い出されるのが先日の記事で触れた「オーバーアクション」だけど、この場合、クロちゃんの「オーバーアクション」をとがめたい人はさすがにいないだろう。

現状の技量の範囲内で、クロちゃんなりの感性を音に伝えるためには、この動作があることがかなりのプラスになって、うまくフレーズ感が作れているような気がします。

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ハノン、ツェルニーをやらないとどうなるかというと

2012年08月15日 | ピアノ
…私のようになります(^^;;

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小さいころ、ピアノを習っていました。確かバイエルから入って、それが終わったらブルグミュラー25番やって、それが終わったらツェルニー30番に入ったんです。それで、7個やってピアノやめました。

それにしても、思うんですけど、ブルグ25番とツェルニーが同一線上(?)に乗ってるのがどうも解せませんね。軸が違いすぎるような。でも当時はわりとスタンダードな進行というものが厳として存在していて、違う先生に習っている子との間であってさえ、「どこまで進んだ?」なんて会話が成立し得たような記憶があります。

私が、練習するの嫌になってやめたことと、ツェルニーさんは、関係あるのかもしれませんが、なにしろ昔のこととて覚えていません。別に嫌になってから強制されたことはなくて、私が嫌だと言い出したら瞬殺で(笑)やめさせてくれたもので、トラウマとかは一切ないです。そしてハノンは、開いたこともない…

それからはるか年月が経って、ヤマハの個人レッスンでピアノを再開したときには、映画音楽から始まって、「次これ弾きます」といって持っていくだけ。基礎練習をするように指示されたことはなく、というか私が拒否るだろうと思ったからなのかもしれませんが、大人が30分のレッスンでやってて、基礎練習を丁寧に指導してたら曲を弾く時間がなくなっちゃいますしね。

それでまぁ、そのように、ハノンもチェルニーもまったくやってないと(正確にいえば30番のうち7までしかやっていないと)、選曲がたいへん狭まります。

リストの超絶技巧系はいうに及ばず、ショパンもスケルツォやエチュードは論外、ワルツ、ノクターン、マズルカ、プレリュードあたりの一部のみ(平たくいってゆっくり系)が選択肢になります。

それで、漠然とですが「曲の難易度順」というのがあるとしますね。ピアノ教師は、それを頭において、「こんなのを弾いてみたら」と推薦したりするわけです。ところが…

その先生の頭の中にある難易度順というのが、なんだかこう、指が動く動かないということについての限界をまったく斟酌しない順序で並んでいるらしく(曲のとらえやすさ、音楽的な難しさ?)、私があの曲やこの曲をまぁまぁに弾いたから、このくらいの曲は弾けるはず…と考えるところに、ずら~っと、「速い系」の曲が混じっているんです。

だから、私が、清水の舞台から飛び降りるくらいの気持ちで、軍隊ポロネーズを持っていこうとしますと、先生は「そんなつまんない曲やめなさい」といって「英雄のほうがいいわよ♪」とカロヤカに言うとか(-_-;; もうわけわかんないんですけど。八年も教えてくれてたのに、私が未だに「子犬のワルツ」「シューベルト即興曲」とか弾きたくても弾けないことはわかってなかった様子です(先生の基準でいうと、たとえばフォーレのノクターン一番だったら「子犬のワルツ」よりはるかに難しいはず)。

幼いころから指の訓練を積んできた先生にとっては、「指は好きなだけ動く」が前提で、でもそのうえで曲の難易度というのはあるんですがね。とにかく、私の弾ける弾けないとはえらく違う軸みたいでした。

今日の電車で、「ピアニストという蛮族がいる」(中村紘子)という本を読んでいたのですが、その中に「一般論として、ピアノ演奏における基本技術というものは、だいたい十二歳くらいから十五、六歳が一つの山場となる。」とありました。これは、ピアニストになる場合の話であって、別に大人になってから趣味ピアノを始めてもかまわないのですが、やっぱり、「ばりばり」弾けるかどうかというのは、そのくらいまでに「お指の体操」をしっかりやっていたかどうかにかかってくるような気が(周囲の人々を見ていると)します。もちろん、ピアノのうまい下手というものは、「ばりばり」弾けるかどうかだけではありませんが。

それで、では大人になってから、というか四十より五十が近くなってから(^^;; いまさら基礎練習をした場合、しないのと比べてどのくらい「技術的」に改善するのかというのは、私にはさっぱりわかりません。あんまりそんな実例も聞きませんし。

今後、「技術的向上」を目指して今と違うなんらかの手を打つのか?? それとも、選曲範囲が現状のままでも、とにかく一生弾ききれない数のピアノ曲は存在するんだからそれでよしとするのか?? はなひめの受験が済んだころ、一度そのようなことを検討してみたいと…ちょっと思っています。


(2019年9月2日に補足の記事を書きました「「ハノン、ツェルニーをやらないとどうなるかというと」後日談」


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具体的イメージつきの演奏ってありなの?(のだめ三巻)

2012年08月13日 | ピアノ
「のだめ」の話の続きです。

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落ちこぼれの寄せ集め? 峰くんをコンマスとするSオケを率いて四苦八苦している千秋。
「だからなんでそんな世界なんだー!!」とブチ切れるシーンがあります。

峰「せっかく歴史の勉強までしてナポレオンの雄姿を表現しようとしているのに!!」
千秋「音で表現しろ! 音で! 勝手に物語やイメージをつけるな!!」

ここで切れたのは、峰たちがバイオリンを上に向ける妙なパフォーマンスをしたからですが。ま、そこまではしないにしても、バイオリンやピアノを弾くときに、オーバーアクションな人と、おとなーしく弾いてる人がいますね。手をそこまで高く上げる必要あンのか!? とか。ランランの演奏動画があそこまで人気出たのも、百面相とか派手系のアクションが関係ないとはいえないし。

このあと、悩んでいる千秋を尻目に、のだめがピアノで同じ曲(ベト3)を弾いています。「いかずち~!」とか「大雨~!」「どっきゅーん!」「足音足音♪」「泥棒泥棒♪」とか、なんか勝手なイメージとストーリーが展開されているらしいです。

めちゃくちゃではあるんだけど。「湧きあがる はしゃぎまわる せまってくる 純粋で 計算のない 個性…」。そこで、千秋は気づきます。「あ…そうだ あいつらみんな「のだめ」なのか…」

ところで、ここでののだめのピアノは、「オーバーアクション」という意味ではありません。頭に浮かべているイメージが具体的で勝手な世界なのです。こういう演奏というのは、ありなのでしょうか??

千秋はたぶん、やっぱり「なし」だとは思っているようですが、Sオケからいい音を引き出すには「のだめ」系ということに気がついて、土壇場で方針変更。
「はじめにコンマスがやろうとしてた…ナポレオン? まぁアホっぽいけどそういうイメージも大切にしてみようと思う…今回は」「あのままじゃダメだけど オレなりに考えてきたから やってみようか」
そして、Sオケコンサートを大成功に導きます。

そういえば、ヤマハでピアノを習っていたとき、私がやたら平板な演奏をしていると、先生がいろいろ語りを入れてくれたことがありました。モーツァルトだったら「劇」調の、お姫様が囚われて王子様は助けにいったんだけど途中で横道に反れてアレアレ…とか。民族調の音楽だったら、どんな酒場にどんなおばさんとおじさんがいてどんな歌をうたっているとか踊っているとか。

そこまで具体的だとやっぱり邪道かもしれないですが、先生はとにかく、平板な演奏よりは何かあるほうがいいといいたかったのだと思います。また、こんなことも言ってました。先生自身はよく植物のイメージを使うとか。「植物のつるがからみながら伸びていくイメージで」

あるいは、しぶかう先生が「音楽の流れを手で描(えが)く 」という記事で書いていた、手を叩いたり、弧を描いたりしてその音楽のノリをイメージする方法。

曲線か、植物か、人物か、動作か、なんであれ、音楽のフレーズ感やグルーヴ感、あるいは音色を無理なく作るために工夫されているものだと思います。工夫のない演奏よりはある演奏。つまらない演奏よりはけれん味のある演奏を!?

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ギロック「聖体行列」…いやダンジョン!?

2012年08月12日 | ピアノ
しぶかう先生のところで見てもらったもう一曲は「聖体行列」。

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聖体行列って何なのかって、ぐぐってみたらば、要するにパンをイエス・キリストに見立てて「その聖体を奉持して町の中を練り歩く」ということらしいですが。ノリがよくわかりません。マッチングの広告で「整体」のスクールとかが出てきてしまうのはご愛嬌(^^;;

曲の雰囲気からいうと、重々しい厳粛な感じでしょうか。標語は「Largo; Maestoso」となっています。ゆっくりで音符の数も少なめですが、案外あなどれないというか、ちょちょいと弾くとなんか様にならない感じです。

様にならなかった理由のひとつは、前の曲でも指摘がありましたとおり、様式感の問題。すぱっと入ってすぱっと切る、入りと出を改善するとややましに。

この曲ならではの難しい部分というと、たとえばココ:

冒頭部分は、右手で二つの音を弾いていくときに、音符についてる「棒」が上にだけ向いているんだけど、ここに来ると上と下に向いている。つまりここは、さっき(和音っぽい)と違って複数声部に分かれているということを意味する。

それで、右手の中の下パートだけ弾いてみたり、左手だけ弾いてみたり、そうやって別々に味わってみてから合わせると…各声部を別々に意識することができて、結果的に不思議と立体的に聞こえるのだ。

…これは、レッスンのときに何度か体験しているのに、結局自分ひとりで弾いているときにはその作業を丁寧にすることができず、混沌としたまま練習してしまうんです。なんで「きちんと」できないんですかねぇ??

それと、しぶかう先生がこだわったポイントはココの左手:

マットで、ひびきのない音で「ズン・ズン」と。

なんかこうやって弾いていると、ほらあんな感じ…ゲームのダンジョンにいて。暗い地下を進んでいくときの音楽。

「ギロックって、バロック風だったりしてもなんかどこか、ゲームっぽかったり、ジャズっぽかったりして、やっぱりちょっと違うんですよね~」としぶかう先生。すっかり伝染しちゃって、ゲームのイメージが離れなくなってしまいましたが。

「聖体行列」だか「ダンジョン」だか。家に帰ってから、アップライトの生ピアノ録音です

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