都市徘徊blog

徒然まちあるき日記

落合の妙正寺川

2006-01-17 | 新宿区  

 杉並区の妙正寺公園内から流れてくる妙正寺川は、西武新宿線下落合駅周辺では、三面コンクリートで深く直線的になっている。これは洪水対策のためであり、都市河川の宿命なのだろう。確かに大雨が降ると普段は川底が見えるこの川も、上端部すれすれまで濁流で一杯になってしまう。昔はしばしば洪水が起こったわけだし、昨年も中野区内では集中豪雨で護岸が崩れたりしている。主に関東大震災以降の都市の拡大、郊外化の過程で、もともと氾濫原だった所までもが、宅地化したことによって、大雨の際の水の行き場が無くなって洪水が発生する。川沿いを元のように氾濫原にしてしまえば洪水も起こらないが、なかなかそうはいかない。杉並区内の善福寺川などでは河川周辺の住宅を減らして公園化したりしている。中野区内の妙正寺川では川沿いに人工的な遊水池(一時調整池)を長い時間をかけて作ったりした。野球場の地下に巨大な空間が用意されていることを知り、地方出身者の私などは、そこまでするかーとかなり驚いたものだ。

 さて、写真は下落合駅から妙正寺川沿いに東へ歩いた所の、ややぐったりする景色。右は妙正寺川、一方、左側のゴムシートのカーテンの方から流れてくるのは、落合下水処理場から放水された処理水。なんだか人工河川ここに極まれりという感じ。臭いの問題とか、洪水の問題があるのは承知なのだが、もう少し川の景色というものがなんとかならんのかなーと思う。神田川も妙正寺川も最近は水質が良くなってきて、早稲田のあたりでは鮎も見られるというが、水はきれいかも知れないが、景色はちっともきれいではない。こういう風景を見て育ちたくない。

 ぐったりついでにもう一枚。こちらは同所から下流方向。下水処理場からの放水と合流した妙正寺川は、その直後、ここから暗渠になってしまう。そしてしばらくは新目白通りの下を流れ、1kmほど下流の、明治通りと新目白通りの高戸橋交差点で、外に出ると同時に神田川と合流する。ウィキペディアによると、当初の合流点(落合の語源となった場所)は、この2枚の写真の場所に近い下落合1-12あたりだったが、現在は河川改修で下流になったのだそうだ。落合の名の由来である、川が落ち合う場所が落合には無くなってしまい、代わりに妙な合流点ができてしまっている。暗渠入口のゴムシートの方はかなり破けてしまっていて、汚らしく無惨。ゴムシートカーテンの向こうに流れゆく川の景色は、大学生時代に電車の中から見て以来、強烈に記憶に残り続けている。

 そういえば渋谷川の川底から撮った写真を、作品として発表されている方がたしかおられた。都市河川は、都市の問題をはらみつつ、それでも美しく見える瞬間があるのかも知れない。しかしこちらはちょっと無理かも。

#海・川・池 
コメント
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