拙Siteに記載している「旧東海道を歩く 静岡編」に続いて、「旧東海道を歩く 東京編」を開始。やはり最初は日本橋から。今更掲載するまでもない有名な景色かも知れないが、起点なのでこれは外せない。
Photo 2005.6.12
高速道路が石橋の上空を覆う、1963年の高速建設以来、40年以上あちこちで言われ続けてきた問題な景観。数年前から高速道路の移設の可能性を検討する会などが活動していたが、ここへ来て小泉首相の一声で状況は変わりつつある。
3000~6000億円掛かるとも言われ、そこまでする必要はないんじゃないかと言う向きもある。しかし他の場所はともかく、日本橋は江戸期の五街道の起点であり、日本国道路元標がある歴史的な場所。1911年に架橋された現在の石橋も重要文化財で、とにかく日本を代表する道路史跡で、オーソドックスな東京名所の一つであることは間違いない。だが一方で、日本橋は景観的に残念な名所No.1?でもある。
生まれてこの方日本橋の上空が開けている景色を見たことがないので、私はやはり高速道路のない日本橋を見てみたい。川沿いの建物を建て替えて、橋のすぐ隣の場所に高架で高速を通す案も検討されているらしいが、これは橋周辺の景観を根本的に良くすることにはならないだろう。この路線自体を廃止するわけにはいかないだろうから、やはり地下化しかないかもしれない。地下にもインフラやら地下鉄やら多くの埋設物があるので、事業費は掛かるのだろうが、ここは一から新規に高速を造るつもりで考えるべきかと思う。
負の景観遺産として残すべきだという方もおられるようだが、日本橋の景観は広島やアウシュビッツのような人の生死に関わるような負の遺産ではない。また江戸期からの日本橋の歴史を考えると、上空が塞がれた歴史は40年程度と相対的に短く、今ならまだリセットできる。美しくない景観は記録の中に留めるだけにしたい。
お隣の韓国ではソウルの中心部を走る都市高速が廃止され、暗渠になっていた川の流れが復活した。廃止しても交通面でそれほど問題がないことが、調査で明らかになったこと、老朽化も進んでいたことなど、日本とは状況が多少異なるが、やはりその気になればできる、その気にならなければ当然できない、ということなのだろう。だとすれば今回の小泉首相の発言は、人気取りなどとは言われているが、40年来の懸案の解決に一歩を踏み出したという意味で、この件に関してはやはり英断と言っても良いのではないだろうか。
ソウルの場合、現在のソウル市長になってから構想が具体化され、延長6kmの高速の解体と河川修復に約420億円を投じ、3年という短期間で事業が完成している。日本橋の方は10年後の2016年の完成を目指すと言われる。日本のペースだと、現在の日本橋が100周年を迎える2011年には間に合わないのかな。昔はここの上空に高速があって邪魔だったんだよ、と言える日が来るのが待ち遠しい。
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