「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

            エジプトのネット市民革命

2011-02-13 07:21:43 | Weblog
エジプトのムバラク大統領がついに辞任し、家族を連れてシナイ半島の保養地へ逃げ出した。1月25日以来エジプト各地で繰り広げられてきた政治デモもこれでようやく終息に向かいそうだ。今回の騒動は”市民革命”と呼ばれているが、たしかにテレビの画面などでみると、デモ参加者の中には子どもを肩車した若いお父さんや、ラクダまで登場してかってのクーデターや革命とは違う。

45年前、僕はジャカルタでスカルノ大統領追い落としの政変を取材している。1965年9月30日の共産党によるクーデター未遂事件にスカルノが関与していたとして、この時も連日各地で激しいデモが展開され中国大使館が焼き討ちされたりした。デモは翌66年3月11日、スカルノが大統領の権限をスハルト戦略軍司令官(当時)に委譲するまで5か月間も続いた。しかし、この時のデモの主体はKAMI(大学生連合)kappi(高校生連合)で、一般市民の参加はほとんどなかった。

当時、僕が取材したスクラップ帖に、バンドンのkappiの短波放送局を取材した記事と写真がある。当時、大学生や高校生にとってデモ参加や政治集会を呼びかけるには、地域の短波放送が有力な手段であった。半世紀後のエジプトでは、ネットがムバラク追い落としの市民の武器だったという。ムバラク政権は強権により、市民のネットにもかなり規制をかけていたが、これをかいくぐっての革命であった。

小沢一郎氏が新聞、テレビなどのマスコミに不信を抱き、ネットによる動画の記者会見を多用しているが、さすが時代を先読みしているな、と僕は変なところで感心した。しかし、その逆もあることを小沢氏はご存知なのだろうか。