「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

           学校選抜制度の弊害

2011-02-27 07:26:23 | Weblog
先日、NHKの首都圏ニュースで埼玉県三郷市で再来年から学校選抜制度を廃止すると報道していた。学校選抜制度というのは公立小中校で学区を越えて保護者が自由に子どもを好きな学校へ通学できるものだ。10年ほど前から東京の品川区で始まった制度だが、僕は当初からこれに反対であった。

文部科学省の調査によると、全国の小学校で14・9%、中学校で15・6%がこの制度を実施しているが、最近は東京の江東区や前橋市などその弊害から制度を廃止する動きが出始めてきた。NHKの報道によると、三郷市の場合は学校選抜制を導入してから、市内の学校間の生徒数にばらつきが出てきて、生徒数が大幅に減った学校によってはクラブ活動も出来なくなって学校運営にも支障が出てきたという。

学校選抜制の弊害について一般的に指摘されているのは、このほか学校間の無意味な競争が激しくなり、教師にかかるストレスが強くなること。Wikipediaによると、東京の先生の間には、品川区への転勤を嫌がり”シナ流し”という言葉さえあるという。品川区は学校選抜制と同時に小中一貫校に力を入れたり、品川区だけで教員を募集するなど独自な教育を実施している。

僕は68年前、品川区の明治時代からあった伝統ある小学校を卒業しているが、品川区のこの教育制度のあおりで校舎はなくなり、ついには校名まで奪われてしまった。僕の母親の先祖は江戸時代からの旧家で、本家はまだこの地に住んでいるが、法事などで集まり話を聞くと学校選抜制の結果、土地の住民間の連帯も失われてきたと嘆いていた。東京でもこうである。地方の中小都市ではなおさらであろう。