「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

”触らぬ神に祟りなし ”政府は中東の政治に深入りするな

2015-02-02 05:56:31 | Weblog
「イスラム国」による後藤健二さん殺害の動画メッセージの中で”日本人はどこにいても殺される。日本人の悪夢が始まった”と脅してきた。卑劣極まる残酷な手口である。人間とは思えぬ連中である。安倍総理は”テロリストを絶対に許せない。その罪を償わせるため、国際社会と連携していく”と強調している。その通りであるが、日本には”触らぬ神に祟りなし”という俗諺もある。現在のお中東の混乱の原因がどこにあるのか調べて”適当”なお付き合いにとどめておいたほうが得策だ。

後藤さん殺害明らかになった日、シリアの首都ダマスカスの中心の市場で、レバノン人シーア派の観光客を乗たたバスが爆破され29人が死傷した。「イスラム国」の犯行かどうか不明だがテロ行為のようである。僕は半世紀前の1962年、新聞社の取材でレバノンンから陸路シリア入りしたことがあるが、当時シリアはエジプトと合邦し「アラブ連合共和国」を形成、アラブ統一を旗印にするナセリズムの下で治安は安定していた。

現在の中東の政治的混乱は、元はといえば第一次世界大戦後の英仏両国による戦後処理の誤りによる国境策定からきている。「イスラム国」がシリア、イラクの国境線にまたがって勢力を誇示しているのはこのためだが、最近の直接の原因は2003年から始まった米国のブッシュ政権によるイラク戦争にある。曲がりなりにも安定していたフセイン政権を倒して、混乱を増長した。そして、これに続くシリアの内戦であり、各地の”アラブの春”現象である。

わが国は過去の歴史においてアラブとは”負”の遺産はないが、逆に石油エネルギ―については新参者でありギャップもある。このため中東市域の国々とは友好関係を保たなければならないが、あえて”火中の栗を拾う”必要はない。適当なほどほどのお付き合いでよいのである。安倍総理の今回の歴訪はその意味では、政治問題にコミットし過ぎたように思えるのだが。