高度成長期時代、日本の企業の間で”ニッパチ”世代という言葉がよくきかれた。”ニッパチ”とは昭和28年の事で、この年、入社した大卒同期入社組のことを言う。昭和28年4月、日本の社会では戦後の学制改革で、旧制と新制の大学卒業の学生が同時に卒業したため、未曾有の就職難であった。これを突破して入社しただけに、各企業とも”金の卵”ともてはやされ、事実、中核の戦力であった。
僕もその一人、昭和23年旧制の予科に入学したが、学制改革で卒業時は4年制の新制であった。僕より1学年上の世代で、22年に旧制高校(大学予科)に入学した世代は、高校3年、大学(本科)3年、合計6年だっため、卒業時が同じになった。この”ニッパチ”組も今や齢重ねて幾星霜、88歳、米寿を迎えた。
昨日、その”ニッパチ”同期会の解散式を会社二階の喫茶店で催した。64年前の入社時時には38人いた同期だったが出席者は9人。すでに他界された者が20人、名簿に載っている18人のうち、12人に連絡を取ったが、欠席は3人だけ。幹事を仰せつかっている僕から見れば予想外の出席率だった。
加齢と共に皆身体のどこかにガタがきており、食事制限者も出てきているので、会場も喫茶店にし、注文も支払いも各自払いにしたが、その配慮は不必要であった。乾杯で一人がビールを注文したら、全員がビール。なんのことはない、ビール.パーティになってしまった。結局、同期会は一応解散することになったが、来年も希望者だけで集まりは持つ事になった。