★ 今朝、新聞を見てショックを受けた。
敬愛するロシアのメッツオ・ソプラノ、エレーナ・オブラスツオーヴァが12日に亡くなった。
学生時代のことだった。
イタリアでバスティアニー二やテバルディの師であるカンポ・ガリアーニに師事し、当地の歌劇場で活躍され、帰国されたテノーレの先生にレッスンを受けていた時、ふと先生にオブラスツオーヴァの話をした。
そのころはまだオブラスツオーヴァの名前は日本に知られておらず、私はいつものように月刊誌「音楽の友」の立ち読みで、ヨーロッパで聴いた人の記事では、「ロシアのマリア・カラス」と絶賛されているという。
カラヤンは「驚異の歌手」と賛美。
ぜひエレーナ・オブラスツオーヴァを聴いてみたいと思っていた。
マリア・カラスのような、と言われているのだったら、かなり個性的な歌手に違いないと思った。
先生はかつてバルセロナでオブラスツオーヴァと出会った、しかも国際コンクールで、「男のように力強く歌う」驚異の大迫力で、先生夫妻は「素晴らしいね」と。
緻密な歌唱技巧を持つ先生ご自身は2位だったのだが、断然一位の無名の歌手オブラスツオーヴァを聴いてコンクールだったことも忘れ、自分の歌のことも忘れ・・・すっかり魅了されたという。
やがて世界の名歌手として、最高峰のひとりと讃えられた。
これはムソルグスキーのオペラ「ホヴァンシチナ」で女占い師のマルファが歌うアリア。
歴史モノで、ピョートル大帝が即位前のこと、異母姉ソフィアとの争いでガリーツイン公がソフィアの側に付き、権力を得ようとしていた。
そこへ女占い師のマルファが呼ばれ、占うと「ガリーツイン公よ、あなたを待つのは流刑と破滅です」
ロシアの歴史を知ったりして、ロシアオペラは興味深い。
しかもオブラスツオーヴァの声は偉大だった。
Elena Obraztsova - Khovanshchina - Marfa's Aria
・・・ムソルグスキー作曲「ホヴァンシチナ」からマルファの予言のアリア(ロシア語)
また、わがブログにもコメントに来られるイタリア・ドイツ・フランスで活躍中の若きバリトン、Kenさまが学生時代に師事なさった。
ロシアオペラや歌曲も歌われて絶賛されているKenさまの歌が素晴らしいのもオブラスツオーヴァの弟子、きっと今頃はショックを受けていらっしゃることだろう。
エレーナ・オブラスツオーヴァは享年75歳、ご冥福を祈ります。