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パリ「反テロと表現の自由」のデモに中東・アフリカ諸国首脳はなぜ来たか(六辻彰二氏)

2015年01月15日 | 政治

★ メルマガのニュースのリンクにあったので、UPしました。資料のひとつとしてご覧ください。

パリ「反テロと表現の自由」のデモに中東・アフリカ諸国首脳はなぜ来たか
六辻彰二 | 国際政治学者
2015年1月15日 1時11分


1月11日、7日に発生したシャルリー・エブド紙へのテロに抗議するデモがフランス各地で行われました。このうちパリでは、370万人が参加するという史上最大規模のものが行われ、各国首脳がデモの最前列付近で腕を組んで進む姿は、AFP通信で大々的に伝えられました。

このデモは「テロに反対する」という要素と、「報道・表現の自由を守る」という二つの要素があったように思います。フランスの政治評論家のオリビエ・ラバネロ氏によると、「(9.11後の)米国人は自分たちの身の安全を守るために団結したが、フランス人は自由などの価値観を守るために街頭に出た」。

ただし、フランスの一般市民の感覚はともかく、少なくとも各国の政府首脳は、単純に「報道・表現の自由を守るために宗教や民族を超えた連帯を示す」ためにデモに参加したとはいえません。ここで注目すべきは、40ヵ国以上から集まった、各国首脳のデモ参加者です。英紙ガーディアンによると、閣僚以上(閣僚、首相、大統領、君主)のクラスがデモに参加した国は、下記の通りです。

【ヨーロッパ】
フランス、ドイツ、英国、イタリア、スペイン、ルーマニア、オランダ、ギリシャ、アイルランド、デンマーク、ポーランド、ベルギー、ポルトガル、チェコ、スロバニア、ラトビア、ブルガリア、ハンガリー、クロアチア、ルクセンブルグ、マルタ、スロベニア、スウェーデン、フィンランド、スイス、ノルウェー、オーストリア、コソボ

【北米】
米国、カナダ

【旧ソ連圏】
ウクライナ、アルバニア、ジョージア、ロシア

【中東】
トルコ、イスラエル、ヨルダン、パレスチナ暫定自治政府、UAE、カタール、バーレーン

【アフリカ(北アフリカ含む)】
マリ、ガボン、ニジェール、ベニン、チュニジア、アルジェリア

【国際機構】 ヨーロッパ委員会、EU議会、EU理事会、NATO

欧米諸国が多いのは、当然かもしれませんが、ここには中東やアフリカの各国の首脳も、必ずしも数は多くないものの、参加しています。ヨルダンに至っては、国王夫妻がそろって参加しています。

しかし、ここには表現の自由や報道の自由が制限されている国も少なくありません。
「国境なき記者団」は毎年、各国の報道の自由度を評価しています。

2013年度の評価によると、今回首脳クラスが参加した中東、アフリカ各国のうち、最高評価の「よい状況」はゼロ、2番目の「満足できる状況」はニジェールのみ。
それ以外は、最低評価の「とても深刻な状況」はゼロですが、3番目の「目立って問題がある(UAE、カタール、バーレーン、イスラエル、マリ、ベニン、ガボン)」、4番目の「困難な状況」(トルコ、ヨルダン、パレスチナ、アルジェリア、チュニジア)」となっています。
このうち、イスラエルやパレスチナでは紛争のため報道が困難という状況があるにせよ、ほとんどの国では多かれ少なかれ、報道が制限されているのです。
つまり、自分の国で報道の自由や表現の自由を制約している張本人たちが、このデモに参加していたことになります。


中東からの参加者たち

先ほどの参加者の一覧を眺めると、そこからは様々な利害関係をうかがうことができます。
中東諸国について取り上げると、ここに参加した国にほぼ共通しているのは、「表現の自由」や「報道の自由」ではなく、欧米諸国と外交的に近い関係にあることです。

このうち、UAE、カタール、バーレーンはいわゆる湾岸諸国で、いずれも実質的には専制君主国家といえますが、その豊富な石油の輸出により、伝統的に欧米諸国と友好関係にあります(中東各国と外部の国の関係図はこちら)。

これらの国は、近年では安全保障面でも欧米諸国と緊密な関係をもっており、米国によるシリア国内でのイスラーム国の空爆に同行しています。
これらは、米国がテロ支援国家と名指しするシーア派のイランやシリアとは、宗派が異なることもあって対立することが多く、シリア内戦に流入したスンニ派民兵に支援を行っていました。
その状況下でイスラーム国が拡大したわけですから、これら各国にしてみれば「飼い犬に噛まれた」状態にあります。
スンニ派湾岸諸国がイスラーム国への対応で欧米諸国と熱心に連携するのは、その失態も一つの要因といえるでしょう。その一方で、これら各国では多かれ少なかれ、ジャーナリストの活動が規制されており、例えばUAEでは2014年、緊張関係にあったエジプトのジャーナリストがいきなり国内で逮捕されています。

王家が預言者ムハンマドの子孫であるヨルダンも、伝統的に欧米諸国と友好関係にあります。
ただし、湾岸諸国と異なり大産油国でなく、経済的に必ずしも余裕があるわけでない一方、シリア、レバノン、パレスチナ、イラクといった不安定な情勢の国に囲まれており、欧米諸国からの支援が欠かせない立場です。

その意味で、欧米諸国主導による対テロ戦争にも、大きな協力はできないまでも、少なくとも対立することは稀です。
その一方で、湾岸諸国と異なり、議会選挙は一応行われていますが、2013年にはムスリム同胞団を念頭に「宗教に基づく政党」が規制の対象となるなど、国王による専制的な支配が継続しています。
また、例えば2014年にはイラク政府に批判的なイラク人ジャーナリスト13人が「テロ容疑」で逮捕されています。

パレスチナの土地を巡って対立するイスラエルとパレスチナ暫定自治政府から、揃って最高責任者が出席したことは、注目を集めました。
ただし、これら両者はいずれも欧米諸国から支援を受けている点で共通します。
その意味では、揃って出席したことは、不思議ではありません。

最後に、トルコはNATO加盟国で、冷戦期から欧米諸国と同盟関係にあります。
しかし、2000年代初頭から、貧困層の支持を集めたムスリム同胞団系の組織が政権を握って以来、欧米諸国とは外交的に摩擦が絶えません。
特にエルドアン大統領がネット検閲を強化していることは、欧米諸国で頻繁に批判されています。
その一方で、ムスリム同胞団系の現トルコ政府にとっては、アル・カイダから分派したイスラーム国はやはり脅威であるため、イラクなどでの空爆に参加しています。

アフリカからの参加者たち

北アフリカを含むアフリカから出席した首脳も、国内で表現の自由が保障されているか否かに関わらず、欧米諸国と友好的な国の責任者である点で共通します。
それに加えて、アフリカからの出席国はかつてフランスの植民地だったところばかりです。
フランスにとってアフリカは「大国」としての足場です。今回、首脳クラスが参加した国は、やはり国内で表現の自由が保障されているか否かに関わらず、特に対テロ戦争の文脈でフランスとの関係を重視している国ばかりです。

アルジェリアは、2013年1月に日本人を含む犠牲者を出した、イスラーム・マグレブのアル・カイダ(AQIM)系の組織によるイナメナスでのテロ事件が発生した土地で、アフリカおける対テロ戦争の一つの主戦場です。
対テロ戦争での協力だけでなく、アルジェリアは大規模な天然ガス輸出国で、その点でも欧米諸国と深い関係があります。
その一方で、この国では一応選挙が行われているものの、1990年代から事実上の軍事政権が権力の座にあり、2014年4月には大統領選挙の取材が妨害されているとして、国境なき記者団が同国政府に抗議しています。
とはいえ、安全保障や経済的な関係だけでなく、今回のテロ事件の犯人がアルジェリア系移民で、アフリカのなかでもフランスに数多くの移民を送り出していることもあり、アルジェリア政府にとっては今回のデモに知らん顔もできなかったといえるでしょう。

「アラブの春」の起点となったチュニジアでは、昨年10月の議会選挙で、2011年2月に抗議デモの広がりの中で失脚したベン・アリ政権の関係者が多い「チュニジアの呼びかけ運動」党が第一党になりました。
入れ替わりにイスラーム政党ナハダは一時の勢いを失い、過激派の台頭も懸念されています。
つまり、かつての「独裁者」に近い人物が多い現政権にとって、ベン・アリ政権と友好関係にあったフランスとの関係強化は、最優先事項といえるでしょう。

ガボンのアリ・ボンゴ大統領は、2009年6月に父親のオマール・ボンゴ前大統領が死亡し、同年10月にから現在の地位にあります。
つまり、父親から権力を事実上継承したのであり、この時点で決して民主的でないことがうかがえます。
国境なき記者団からは、報道の自由に「目立って問題がある」と評価されています。
ガボンはアフリカ有数の産油国でしたが、無理な生産増加がたたり、既に生産量は下降気味で、景気がよかった頃に無計画に行った借り入れの返済負担が、近い将来重荷になることが目に見えている状態にあります。
対テロ戦争への関与は薄く、いわばフランス主導の歴史的なイベントに出席して「人種や宗教を超えた連帯」のイメージ化に貢献することによって、財政状況への協力を求めることが、ボンゴ大統領の目的とみられます。

ベニン(目立って問題がある)、マリ(目立って問題がある)、ニジェール(満足できる状況)は、報道の自由という点では必ずしも一致しませんが、いずれも典型的な貧困国で、アフリカでも拡大するイスラーム過激派との対決に不安を抱えている点で共通します。
なかでもマリは、アルジェリアでのテロ事件の際に注目された国です。
ここにはアルジェリアを追われたAQIMメンバーが一時潜伏し、それが引き金となって、2012年には国家分裂の危機に陥りました。

この際、イスラーム過激派を含む反政府勢力を掃討するために派遣されたのはフランス軍でした。
現マリ政府にとって、フランスはいわば軍事的な後ろ盾であるわけです。
今回の抗議デモで、マリのケイタ大統領がオランド大統領の隣のポジションを得たことは、この観点から不思議でありません。

翻って、対テロ戦争で協力的で、報道の自由が制限されながらも、欧米諸国への発言力がそれなりに担保される国のなかには、今回のデモに微温的な反応を示す国もありました。
やはり旧フランス領のチャドは、イスラーム国などと比べて欧米諸国の関与が手薄なフランス主導の「対テロ戦争・アフリカ戦線」に、大規模な産油国であることの財政的余裕を背景として、最も部隊を多く提供し、事実上フランスにとってアフリカでの屈指の軍事的パートナーとなっています。
しかし、今回のデモに熱心だったとはいえません。チャド政府も、一応選挙が行われていても、事実上の軍事政権に近いもので、2013年6月には国境なき記者団が首都ンジャメナに入るのを禁じました。
必ずしも報道の自由に熱心でないだけでなく、国際的な関心が集まりにくい地域での対テロ戦争に関する協力を通じてフランスへの発言力が担保されることが、チャド政府首脳の不参加という判断に至ったものとみられます。


「原理は政策から導き出される」

このように見てきた場合、中東やアフリカからは、必ずしも報道の自由や表現の自由を尊重しているとはいえない国の政府首脳が集まったことが分かります。
そこには、「対テロ戦争」を最大公約数的な共通項があるにせよ、各国それぞれの立場や利益があるといえます。
少なくとも、字義通りの意味で、「人種や宗教を超えて報道・表現の自由を訴える」ためにパリに集まったとはいえません。

当然のごとく、ホスト国のフランス政府も他の欧米各国の政府も、それを認識していることでしょう。
むしろ、フランスをはじめとする欧米諸国の政府にとって重要なことは、これら欧米諸国以外からも数多くの首脳が参加したことにより、「報道の自由」や「表現の自由」という、いわば「普遍的な価値観」を対テロ戦争の旗印にでき、そのなかで自らの正当性を強調できたことだったといえます。

国際政治学の草分けとも称される、英国のエドワード・ハレット・カーは、その金字塔的な著作『危機の二十年』(1939)において、国際政治の一般的パターンとして、「思想を目的にあわせる」ことを描いています。

「…ビスマルクは、1857年に、フランス外相ワレンスキーが彼を批評したつぎの言葉を書き留めている。
普遍的な正義の言葉で自国の利益を包みかくすことが外交官の仕事である、と。
さらに近くは、チャーチル氏が下院でつぎのように述べている。
『イギリスの再軍備と対外政策にとっての道徳的基盤が存在しなければならない』と。…少し検討しただけでも、原理が政策から導き出されるのであって、政策が原理から出てくるのではないことはわかるはずである。…(第一次世界大戦中の)1917年に、ウィルソン(米大統領)は対独開戦の政治方針を決定した。
そして彼はこの政策を、正当性という外衣でうまくつつんでおしすすめた。(戦争の違法化を定めた不戦条約が採択された)1928年、ブリアン(仏外相)は、フランスに有利な平和の解決をかく乱する試みが正義の名において行われることをおそれた。
そして、彼は、ウィルソンに劣らず、自己の政策に適合する道徳的言いまわしを難なく見出したのであった。
このような原理の相違とされるものを、倫理的な立場から論議することは見当違いであろう。
これらの原理は、それぞれの条件に対処するために立てられたそれぞれの国家政策を反映しているだけだからである」(カー, 『危機の二十年』, 岩波書店, 1996年, pp.144-145)。

つまり、自由、平和、正義といった道義や価値観が、その実現のための政策を生み出すというより、実際の国際政治においては、各国政府が何らかの政策を実施する際に、それらの道義や価値観でもってコーティングするのが、(その良し悪しはおいたとして)国際政治の一般的な在りようだというのです。

この観点から今回のデモを振り返れば、少なくとも先ほど述べた中東、アフリカ各国の行動パターンは、少なからずこれに合致するといえるでしょう。
同様の観点から、今回ロシアのラブロフ外相が参加していたことも理解できます。
言うまでもなく、ロシアはこの数年来、欧米諸国と敵対することが多く、またやはり国境なき記者団から「困難な状況」と評価されています。
そのロシアから、さすがにプーチン大統領は参加しませんでしたが、その懐刀の一人といえるラブロフ外相が参加したことは、注目されます。この背景には、やはり国内の北カフカスなどでイスラーム過激派が台頭しているだけでなく、この数ヵ月来の原油価格下落で経済が疲弊し、欧米諸国と多少なりとも関係を改善する必要に迫られていることがあるでしょう。

ただし、先述のように、ほとんどのフランスの一般市民はともかく、ホスト国であるフランス政府をはじめ、欧米諸国政府もこれら各国が自らの事情で参加したことは承知しているはずです。
つまり、欧米諸国政府の首脳の場合、もちろん国内で反テロや「表現の自由」を求める世論が湧き上がるなかで、当然のごとくそれに反応した側面もあるにせよ、そこにはやはり、反テロとともに報道の自由や表現の自由といった「普遍的な価値観」をアピールするデモに、「政策的な必要性」に基づいて参加するというアプローチと無縁ではなかったといえます。

「テロを抑制すること」そのものには誰しも異論がないとしても、その進め方をめぐって各国の間には温度差や方針の違いもあります。
例えば、イラクからシリアにかけての領域で勢力をもつイスラーム国を掃討するとしても、米国が「テロ支援国家」と位置付けるシリアのアサド政権をどのように処遇するのか。
欧米諸国はアサド政権と対立する「シリア国民連合」を支援していますが、歴史的に同政権と関係の深いロシアは、「内政不干渉」を盾にこの動きに抵抗してきました。
そのうえでロシアやアサド政権は、「スンニ派諸国がシリアに流入したテロリストを支援し、欧米諸国がこれを黙認している」と批判してきました。
先述のように、スンニ派諸国がシリア内戦に関与し、それが少なくとも結果的にはイスラーム国の台頭につながったこと自体は、もはや否定できません。対テロ戦争のなかで、各国はそれぞれの利害を抱えて行動しているのです。

困難な状況に陥ったなかで、何らかの「大義」によって自らの立場を正当化する者が、全体をリードすることは、珍しくありません。
9.11後に「反テロ」とセットになった「正義」を掲げて国際状況を一変させた米国は、その象徴です。
これに鑑みれば、今回の大規模なデモは、冒頭にあげたフランスの政治評論家がいうように、仮に一般のフランス市民が普遍的な価値観を信じて街頭に出ていたとしても、フランス政府あるいは欧米諸国政府からすれば、「言論や表現の自由」とセットになった「反テロ」を掲げることで、自らの政策を進めやすい状況にする、一大デモンストレーションとなったといえるでしょう。
少なくとも、史上空前の規模のデモの最前列を歩いていた各国首脳たちが、その後から歩いていた人たちと、必ずしも同じ感覚でなかったことだけは、確かなのです。(以上)

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★ 私はこの方の文をはじめて見ましたので、くわしいことはわかりませんが、資料としてお知らせします。


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宮崎正弘氏のメルマガより~イスラム過激派はなにを誤算したか

2015年01月15日 | 政治

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015)1月15日(木曜日)
   通巻第4442号  
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 イスラム過激派はなにを誤算したか
   ついに日和見フランスが空母をシリア、イラクのIS空爆に派遣

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 パリの風刺漫画週刊誌「シャルリーエブド」編集部を襲ったイスラム過激派。「アラビア半島のアルカィーダ」が犯行声明を出した。
同調するイスラム過激グループは個別的にナイジェリアで、イエーメンで、ソマリアで残忍性を伴う自爆テロ、誘拐、破壊活動を拡大競争中だ。誘拐した女性等は性奴隷か、自爆テロ実行者に仕立てている。

 フランスの反応は激越だった。
 ナチス占領のパリ解放以来、フランスで100万人をこえるデモ行進や政治集会はなかった。テロ直後、フランス全土で合計370万人が抗議集会と行進に参加した。

 フランス議会は97年ぶりに国歌を歌った。民族、宗教をこえてフランスが団結をみせようとしたのだ。ワインをのんで革命を語るサロン・マルキストを含めて。
 オランド大統領は主力空母「シャルル・ドゴール」の艦上へおもむき、中東海域への空母の派遣を決める。IS(イスラム国)拠点への空爆強化である。

 そしていま、フランスで大統領選挙が行われるとすれば、保守復調の波に乗ったサルコジ前大統領の復活・復権は難しくなり、マリーネ・ルペン率いる「国民戦線」が勝利するだろうと言われる。
ルペンは外国人労働者排斥、フランス愛国主義を訴える。

 ドイツでも保守の新勢力が台頭した。予測外の事態である。
 ドイツではナチスを連想する一切の図書も、宣伝も禁止されているため民族排外主義的な政治風土は育たないとされた。

ドレスデンに誕生したのは「西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者」(PEGIDA)。日本のマスコミも、これを「ペギーダ」と伝えた。

毎週、ドレスデンで集会とデモを繰り返している。ペキーダは直截にイスラム教徒を攻撃せず「憎悪を拡大する宗教家」に反対していると訴えている。
そしてペギーダは、「私たちこそ国民だ」を唱える。
メルケル政権への揶揄である。(メルケルは東ドイツ出身で、当時の東独民主化運動は「私たちこそ国民だ」だった)。

 911テロは米国をして「アフガニスタン」「イラク戦争」への引き金を引いた。アメリカ国民は熱狂的に復讐に燃えた。各地で星条旗が高々と掲げられた。

 パリ編集部へのテロはフランスの空母派遣、国会での国歌斉唱という愛国への急傾斜をもたらした。欧州全土に保守政治運動の嵐が吹き始めた。オランダで、イタリアで、ハンガリーで。
 
 中国の反日暴動は日本に安倍政権を奇跡的に誕生させた。政局を逆転させ、日本の街頭に日の丸が林立するようになった。朝日新聞は過去の出鱈目報道を謝罪した。
防衛力増強に反対の声はあがらず、戦後七十年忘れられてきた国民精神の復活への兆しが見られる。

 南シナ海での中国の侵略的横暴は、アジア諸国を「反中」で団結させた。
 こうした動への反動が、つぎの政治を想定外の方向へ走らせる。
 
   ◎◎◎◇◇  □◎◎◇◇

★ 次は「太平天国」について・・・興味ありましたのでこのまま載せます。

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 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1186回】  
  ――「我國萬世一統。所以冠萬國也」(日比野13)
  「贅肬録」「没鼻筆語」(東方学術協会『文久二年上海日記』全国書房 昭和21年) 

  ▽
学校制度、私塾での教育内容、官吏の職務規定、度量衡制度、関羽信仰の実態など多岐にわたって質問しているが、やはり最も強い関心を寄せていたのは太平天国の動向だった。
すでに英仏両国は共に5000人の兵を上海に駐屯させ、さらなる増強を目指していた。一問一答形式で筆談の概容を示す。なお原文では太平天国を「長毛」「賊」「長毛賊」と記しているが、ここでは一律に太平天国としておく。

●太平天国軍が恐れるのは英仏のどちらか⇒双方を恐れるが可動式の大砲を持つフランスをより恐れる。彼らは勇ましい宣伝をしているが、上海進攻は出来ない。彼らが悪逆非道をなせば、百姓(じんみん)は力を合わせて撃退する。

●太平天国の指導者とその性格は⇒忠王と英王の2人。前者の性格は「笑裡蔵刀」、後者は項羽のように「拙燥」。(ということは忠王の残忍冷血に対し、英王は短慮激情タイプといったところだろう)

●彼らの出自と混乱醸成の原因は⇒彼らの前身は「小醜(チンピラ)」で無礼者だ。食糧強奪を企てたが県知事に阻止されため、「蟻(無知蒙昧な輩)」を煽り、各所で火を放ち、悪事の限りを尽くした。各地の人民は大いに被害を被ったが、逃げ延びることができなかった人民は酷使され、少女は汚され、富める者は財産を巻き上がられた。中国は広く人民も多い。だから被害は広がった。(ここに示された太平天国の説明からして、なにやら太平天国が毛沢東の共産党に重なってくるようだ。であればこそ、共産党史観では太平天国は「乱」ではなく「農民革命」ということになるわけだ)

●指導者は明の末裔か⇒違う。広西の石炭鉱山の出身で「大明朱氏之苗裔」にあらず。

●賊の害には実に憎むべきものがある。彼らは人肉を喰らっているとのことだが、その罪は許し難い。

●賊は猖獗を極め十省にも及んでいる。上海から十里離れたら悉く賊といった情況にあるにもかかわらず、なぜ討伐の兵を出さないのか⇒我が「中土(ちゅうごく)」は武事(いくさごと)を廃してから久しい。

●「地廣人衆」だから「武将強卒激烈之人」がいないわけはないのに、賊の勢いが盛んだということは、適材を選べないからか⇒現下の役人の関心事は戦での論功ではなく、「財帛(カネ)」だ。文武両道の有為の士は退けられる。(ということは役人――現在でいうなら幹部の関心事が専ら「財帛」にあったとしても何らの不思議はないということになる。伝統だからだ)

●英仏の兵士を借りて太平天国軍を防ごうとする意図は⇒彼らと共に守るだけだ。

●太平天国の頭目は誰か⇒楊秀清と洪秀全で2人は天王を補翼している。逃亡者の言では2人の間に「太平天国天王之位」と書かれた神位が置かれ、7日に1回の礼拝がある。(太平天国のキリスト教と儒教を混ぜ合わせた教義に拠れば最高神は「天王」となり、週一回の礼拝となるわけだ。なお原文では楊秀清について「瞽目占卜の出身。すでに死亡。洪秀全の嫉妬から殺された」と注記)

●太平天国に奪われた地域の民は何をしているのか⇒太平天国の勢力圏と貿易をする際は、フランス兵に守ってもらう。上海人の場合も、また同じだ。

 ●最も安全な地方は⇒広東・四川・雲南だが、最も安全は東洋で親友の5家族も去年移住した。東洋には唐人会館があり,我が国貿易関係者の多い。英国人も出掛けて行っているし、東洋という地名は憧れだ。(東洋とは、日本)
《QED》   
     ▽


宮崎正弘のコメント)この資料は初めて読みますが、じつに迫真の記録で貴重ですね。結局、「太平天国」は英国の傭兵の火力で鎮圧され、曽国藩は、内乱鎮圧将軍として評価されていますが、あれもご都合主義解釈の結果でしょう。

ちなみに天草四郎の反乱も、徳川軍の初動では動きが鈍く、司令官は戦死。逆に切支丹伴天連側にやられ(天草から熊本にかけて失業した武士が伴天連側に混入したため戦闘のプロが多かったからだが)、選手交代で乗り込んだ松平定信のしっかりした戦術と、最後は外国船の洋上からの砲撃で幕府軍が戦捷への突破口を開いた。

 南京の「故旧」を覗くと、洪秀全の巨大なレリーフ、銅像、そして玉座が飾られ、共産党が農民暴動という評価を改竄し、革命前段階の「英雄」扱いですね。
広州市郊外・花都の生誕地にも立派な洪秀全記念館が建っていました。
 宮崎の「洪秀全記念館訪問紀」は下記に。
 http://miyazaki.xii.jp/travels/index.html(「広州」をクリック。後段に)


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外務省のすすめる「ジャパン・ハウス」について~長尾たかし議員の動画 ・ 古森義久記者の提案

2015年01月15日 | 政治
★ 長尾議員の動画を見たが「ジャパン・ハウス」のこと、私はよくわからないが、問題は別のところにあるように思えるのだが・・・。
日本のロビー活動の拠点、それならばある程度の話が通じる国に建てるのがやりやすいと思う。
長尾議員は外務省がすすめる「ジャパン・ハウス」について懐疑的で、それを建てるなら「親日国」でなく「反日国」の中韓にすべきと言っている。
しかし冷静に考えてそれは無理だろう。
「孔子学院」もその正体がとっくにばれていて、カナダやアメリカでは拒否されるようになってきている。
日本のために頑張ってほしいが、三宅先生の「厳しい実践」に基づいた話がなつかしい・・・・・。


【長尾たかし】戦略的対外発信、今の外務省に任せられるのか?
[桜H27/1/14]



★ 一方、ジャーナリスト古森義久氏の記事によると


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42597
このサイトで順番にページを進めてご覧になってください。

古森氏は日本政府が毅然たる態度をとってこなかったことを、極めて強く批判しながら、こんな提案をしています。



まずは、主に米国に対して歴史問題と領土問題に関する正しい情報を発信するのが最優先課題である。

国連への対応も、この具体案を応用できるだろう。ワシントンを拠点に長年この種の課題に関わり考察してきた経緯を基に、いくつかの案を提示してみよう。

(1)日本政府としての公式見解を再整備して声明の形で対外発表する。――慰安婦問題、戦争行動、尖閣、竹島など日本側だけで決定的な見解を総括できない部分はそのままにして、簡潔な英文で継続的に声明を発表する。

(2)米国に対して国政レベルで日本の主張を改めて発信する。――議員や民間有識者に、直接、個別に訴える。

(3)米国の大手ニュースメディアに恒常的に働きかける。――日本側の主張を寄稿、投稿する。米側ジャーナリストに情報を提供してアプローチする。

(4)日本の歴史や領土についてのシンポジウムを開催する。――米国の大手研究機関との共催、あるいは日本側の組織単独での主催。

(5)米側大手の広報企業、ロビー企業を利用する。――上記の活動や行事を実行するうえで必要に応じて米側のプロを利用。

(6)日本側の専門家を米欧などへ派遣する。――日本の主張を正確に表明できる日本代表を米国のシンポジウムへ派遣、米側の専門家や議員、政府高官へのブリーフィングの実施、など。

(7)日本側の主張を新たな調査報告書として発信する。――従来の研究も、新規調査も、その結果を対外用の英文文書として体系的、継続的に提供。

(8)日本側の主張のインターネット発信を体系的に整備し、拡大する。――日本の歴史や領土に関する主張を外国の議員や識者へ恒常的に発信。

(9)米国の日本研究学界への新たなアプローチを試みる。――米国の日本研究者に垣間見える政治的偏向を踏まえて、中期的、長期的な新対策を組み立てる。

(10)外務省の対外発信の現状を分析する。――大使館や領事館の人材、施設が、日本の政治的な対外発信のためにどう使われているのかを整理。米国内の日本政府管轄の情報文化センターの使用状況の把握など。

 以上、私個人がワシントンでの活動を踏まえて考えつく具体策を、まずは10件ほど挙げてみた。外務省には、このような提案と日本のソフト文化普及策とを比較して、ぜひとも再考を促したい次第である。(以上、古森記者)


【参考・・・外務省サイトより】
「ジャパン・ハウス(仮称)」に関する意見交換会
平成26年12月3日

 今般,外務省は,新たに「ジャパン・ハウス(仮称)」を世界主要都市に創設することを検討しています。

 この事業は,本年6月に閣議決定された「骨太の方針」において,「戦略的対外発信については、真に日本の「正しい姿」や多様な魅力の発信に向けて、海外の広報文化外交拠点の創設を検討するとともに、官民の知的拠点も活用し、広報文化外交や日本語教育の推進などにより、その取組を強化する。」と明記されたこと等,戦略的対外発信強化の必要性の高まりを受け,我が国の政策・立場に対する理解を促進させ,以て親日派・知日派の裾野を拡大させるべく,主要国における「オールジャパン」の発信拠点の創設を目指しています。現在,平成27年度予算において,ロンドン,ロサンゼルス,サンパウロの三都市における発信拠点創設のための予算を要求しています。


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