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時事問題を中心にブログを書く日々です。
イタリアオペラのソプラノで趣味は読書(歴女のハシクレ)です。日本が大好き。

ドイツの難民政策~川口マーン恵美氏、クライン孝子氏

2015年11月07日 | 政治

★ 想像もしなかったほどの難民が押し寄せ、ドイツは・・・。
ドイツ在住の川口マーン恵美氏の報告。


ヨーロッパの「静かな崩壊」が始まった!~難民問題でドイツはギブアップ寸前。
じわじわと広がる排斥運動が、EUの理念を侵食する

現代ビジネス 11月6日(金)7時1分配信

受け入れ側の疲労は限界に達している

 現在、ドイツに続々と到着している難民は、オーストリアからドイツのバイエルン州に入る。オーストリアが、スロベニアから自国に到着した難民を、せっせとバスで運んでくるのだ。

 国境には公式の通過地点が5ヵ所定められており、9月と10月だけで、到着した難民は31万8000人。つまり人口1260万人のバイエルン州には、2ヵ月間、毎日平均5000人がやって来た勘定になる。

 受け入れ側の警察、役人、ボランティアは、文字通り休みなしだ。難民の身分証明書をスキャンし、指紋を登録し、健康チェックをし、食事を与え、仮眠所で休息させているうちに、次のバスが到着する。

 ベッドが足りなくなると、数時間仮眠した人たちを起こして、チャーターしたバスに乗せ、他州に振り分ける。世話をする人たちは、難民が到着すれば、どんなにくたびれていても放っておくわけにはいかない。

 オーストリアからのバスは、しばしば深夜に、それも予告なしに、何百人もの難民を国境に置いていった。そして、このやり方がドイツとオーストリアの間に緊張をもたらし、10月末、デ・メジエール内相が「了解できない」と強く非難した。

 それに対してオーストリアのミクルライトナー内相は「ドイツは、難民を他のEU国に戻さないと宣言した唯一のEU国だ。それによって、難民の数が爆発的に増えた」と反論。問題がここまで混乱したのは、ドイツのせいだと言わんばかりだった。

 ただ、口には出さなくても、そう感じている国は、実は他にも多い。

 しかし、国境で難民の怒涛の中に身を置いている警官や役人やボランティアにしてみれば、このような責任の擦りつけあいは机上の空論でしかない。

 深夜の寒さの中、戸外で何時間も待たせれば、赤ん坊や年寄りは弱る。下手をすると死んでしまうかもしれない。だから、クタクタになってようやく帰宅した職員のところに、「また500人到着した。すぐに出動して欲しい」というようなSOSが入ることも珍しくないらしい。彼らの疲労は限界に達している。

ダブリン協定を壊したメルケル首相の「人道主義」

 EUの難民政策を定めているダブリン協定によれば、本来、難民はEU圏に入ったら、その最初の国で難民申請をしなければならない。そして、その最初の国が登録やら衣食住の世話など、初期対応を引き受けることになっている。

 もちろん、不公平な協定だ。しかし、この協定ができた頃は、まさかアフリカ人が地中海をボロ船で渡って来るとか、アラブ人がギリシャからバルカン半島を北上して来るなどとは、誰も想像もしていなかったのだ。

 しかし事情は変わり、現実として、イタリア、ギリシャ、ハンガリーといったEUの外壁になっている国に、想像を絶するほどたくさんの難民が溜まってしまった。そこで、その惨状を見かねたドイツのメルケル首相が、「ハンガリーから出られなくなっている難民を引き受ける」といったのが9月の初めだ。

 また、今までの規則では、難民が他のEU国を通過して来た場合、その国に差し戻してよいという決まりだったが、ドイツはこのとき、難民を追い返すこともしないと宣言した。

 これにより、メルケル首相は「人道的」であると賞賛され、ドイツ人自身も束の間ではあったが、自分たちの寛大さに酔った。そして、これは同時に、ダブリン協定の終焉をも意味した。

 ダブリン協定はどのみち無理がある。だから、それを壊したドイツが、より良い難民対応策を生み出せれば問題はなかった。しかし現実には、そうはならなかった。

 難民で窒息しそうになっていた国々は、「ドイツが受け入れてくれるなら、これ幸い」とばかりに自分たちの国に入ってくる難民をどんどんドイツに移送し始めた。もとより難民もドイツに行きたいのだから願ったり叶ったりで、難民の数は爆発的に増えた。

 ドイツが自分の蒔いた種でパニックに陥るまでに、長い時間はかからなかった。慌ててオーストリア国境で入国審査を始めたが、しかし、難民の流入はもう止められなかった。

 難民の輸送を斡旋する犯罪組織が勢いづき、ゴムボートはひっきりなしにトルコからギリシャへ難民を運び、そこからドイツへと続く道が難民街道となった。これまで難民で混乱していた国は限定的だったが、以来、多くの国が当事国になってしまった。


EUは静かに崩壊に向かっている

 11月2日、国連のUNHCR(難民高等弁務官事務所)が発表したところによると、地中海経由でEUに入った難民の数は10月だけで21万8000人で、去年一年分よりも多かった。そしてUNHCRも、この極端な増加を「ドイツの寛大な難民政策のせい」と理由付けた。ちなみにドイツでの難民申請数は、10月までにすでに80万人を超えた。

 難民の波に音を上げたハンガリーは、セルビアとクロアチアとの国境に柵を作り、先月、ついに全国境を閉じた。オルバン首相曰く、「ハンガリーは傍観者となった」。ハンガリーを経由できなくなった難民はルートを変更し、セルビアからクロアチア、スロベニア経由でオーストリアへと向かった。

 すると、今度はスロベニア、クロアチアがお手上げ状態となった。流入を防ごうにも、あまりの人数にその手だてがない。入ってきた難民のケアをしつつ、無事通り抜けさせるだけでも大変なことだ。

 夜の気温は零下すれすれで、すでに死者も出ている。まさに惨状である。クロアチアは今週、難民が仮眠するための暖房付きテント群を突貫工事で作った。

 その難民がたどり着くのがオーストリアだ。オーストリアはすでに多くの難民を受け入れているが、ここに現在、スロベニアから、毎日6500~7000人の難民が到着する。しかし、これ以上、難民が増え続けると国内の治安が保てなくなるとして、ここへ来て、スロベニアとの国境に柵を作ることを検討し始めた。

 もし、オーストリアが入国者を制限すれば、スロベニアもこれ以上難民が自国に入らないよう、軍隊を動員してでもクロアチアとの国境を防衛することになるだろう。

 一つ国境が閉じれば、連鎖反応で難民街道はさらに悲惨なことになる。オーストリアのファイマン首相はすでに、「EUの静かな崩壊」に言及している。
.

このままではドイツ全体が共倒れになってしまう

 難民問題で意見統一ができないのはEUの国々だけではない。ドイツ政府は現在3党連立だが、ここでも三つ巴の対立だ。


 メルケル首相(CDU)は依然として、政治難民の受け入れ数に上限は作らないと言い張っているが、このままではドイツ全体が共倒れになってしまうと、姉妹党CSUが警鐘を鳴らしている。

 CSUはバイエルン州が根城で、難民で一番大きな困難を背負いこんでいるので、その発言には現実味がある。そのうえ、CSUの意見に賛同する政治家が、メルケル氏のCDUの中にもたくさんいる。

 11月1日、両党は8時間の協議の上、①オーストリアとドイツの国境のところにトランジットゾーンを作り、そこで難民資格のない人間を選り分ける、②選り分けた人たちを早急に強制送還する、③ドイツが難民として受け入れる人たちの家族の呼び寄せを2年間凍結する、という3点で合意を見た。

 ところが、このトランジットゾーンのアイデアに、もう一つの連立党であるSPDが猛反対をしているからややこしい。

 SPDの主張は、トランジットゾーンは擬似刑務所であり、そんなものを作れば、不法入国に拍車がかかるだけだ、というもの。ただ、SPDのこの攻撃は、"CDUとCSUの言うことには何が何でも反対"といういつもの悪い癖が出ているだけのようにも見える。

 不法入国者は、SPDが心配するまでもなく、確かに多い。連邦警察の発表では、オーストリアとドイツの国境で、10月26日の1日だけで、1万1154人の密入国者が摘発されたという。

これが21世紀のEUの現実なのか

 ドイツの内憂は他にもある。国内で台頭する難民排斥の気運だ。


 今年になって、難民の宿舎が放火される事件が340件以上あり、最近は、難民が襲撃されて病院に担ぎ込まれるという事件も複数起こっている。多くの国民は、増え続ける難民に不安を覚えており、メルケル首相の無制限受け入れの方針から、徐々に距離を取り始めている。

 難民問題の解決策は、EUレベルでも、各国レベルでも、何も決まっていない。その目処さえない。しかし、現実として、今、難民が凍えている。だから、まずは、彼らが寒さをしのげる場所を作るのが最優先事項だろう。本格的な冬はこれからだ。

 難民救済は、冬将軍の到来との競争となりつつある。これが21世紀のEUの現実なのである。

  川口マーン惠美




★ また別の角度からドイツ在住45年、ノンフィクション作家のクライン孝子氏の話をyoutubeで聴く。

【言いたい放談】敗戦国・日本とドイツ、戦後70年でなぜ差が付いたのか[桜H27/11/6]



★ 私もこの本を買った。いろんな方面から知りたいと思った。
そしてこの本は世界大戦の前後の欧州・ロシアとのことを詳しく書かれていて、なかなか読みごたえがあった。
「ドイツに比べ日本は遅れている」ということで多くの異論・反論もあるが、それは脇において詳しく知りたい。

コメント (2)
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北野幸伯氏~南シナ海は序章、アメリカは2つの「戦争」を中国にしかける。

2015年11月07日 | 政治

★ 北野幸伯氏のメールマガジン、毎回読みごたえがあります。

南シナ海作戦はほんの序章。アメリカは2つの「戦争」を中国にしかける

中国による南シナ海埋め立て問題を事実上2年間無視していた米国が、なぜここに来て「航行の自由作戦」を開始したのでしょうか。メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』によると、そこにはあの「AIIB事件」が深く関わっているといいます。

AIIB事件がなかったら、米中南沙対立もなかったの??

読者のSさまから、こんな質問をいただきました。


もし件のAIIB事件が起こらなかったら、南シナ海の行方というか…。

中国の人工島建設は完成して、人民解放軍の基地になってしまったのでしょうか?

AIIB事件が起らなかった時、米国はどうするつもりだったのでしょうか?

皆さんご存知のように、今年3月に「AIIB事件」が起こった時、「アメリカは、必ず中国に逆襲する」と書きました。

メルマガでは長すぎるので、ダイヤモンドオンラインさんに、「どうやって逆襲するのか?」その方法も書きました。

● リベンジ~AIIBで中国に追いつめられた米国の逆襲

で、半年経って、まさに書いたとおりになっている。そこでSさまは、疑問に思われた。「でも、AIIB事件がなかったら、どうなっていたのだろう??」と。今回は、これを考えてみましょう。

AIIB事件前の状況1~シリア戦争ドタキャン

世界情勢を知る最重要ポイントは2つです。

1.長く見る
つまり、過去までさかのぼって見ること。

2.広く見る

つまり、「世界的視点」で見ること。たとえば、ウクライナ情勢を見るときも、シリア情勢を見るときも、必ず大国群の意図と動きを見ること。というわけで、AIIB事件が起こる前の世界情勢を見てみましょう。

アメリカには、戦略上「重要な地域」が3つあります。すなわち、
•欧州
•アジア
•中東

で、アメリカが「どの地域を最重要視するか?」は、情勢によって変わるのです。

2013年、アメリカの目は、明らかに「中東」にむいていました。具体的には、シリアの反米アサド政権を打倒すること。2013年8月、オバマは、「アサド軍が化学兵器を使ったので、シリアを攻撃する!」と宣言しました。国連報告によると、化学兵器使っていたのは「反アサド」の方だったのですが、ここでは詳しく触れません。証拠に興味がある方は、こちらをご一読ください。

● ロシアは絶対悪なのか。シリア空爆の驚くべき「裏側」
2013年9月、オバマは「シリア戦争」をドタキャンして、世界を驚かせました。プーチンの仲介で、アサドは、「化学兵器破棄」に同意。そして、アメリカは、アサドのバックにいるイランとの和解にも動きはじめました(2015年7月、核開発問題で歴史的合意に至る)。

こうして、オバマは「シリア攻撃」を断念し、イランとの和解に動きはじめた。これは一体なんなのでしょうか? なぜアメリカにとって「中東」は大事だったのか? ここに原油と天然ガスが集中しているからです。

ところが、シェール革命で、アメリカは、原油生産でも天然ガス生産でも世界一になってしまった。自国の埋蔵量も、十分あることがわかってきた(シェール革命前は、「2016年頃アメリカの原油は枯渇する」といわれていた)。それで、中東の重要度が下がってしまったのです。

これが、アメリカのシリア放置、イランとの和解の本


南シナ海作戦はほんの序章。アメリカは2つの「戦争」を中国にしかける

AIIB事件前の状況2~ウクライナ問題とイスラム国

さて、シリア戦争ドタキャンの2か月後、今度は欧州ウクライナが騒がしくなってきました。親ロシア・ヤヌコビッチ大統領に反対する大規模デモが起こった。2014年2月、革命が起こり、ヤヌコビッチは失脚します。

これ、「陰謀論」でもなんでもなく、アメリカがオーガナイズしたのです。なんといっても、「オバマさん自身」が認めていますから。
証拠はこちら。

● オバマ大統領 ウクライナでの国家クーデターへの米当局の関与ついに認める
動画はこちら。 (★ youtubeでないので貼れません)

● Brokered it & broke it: Obama on Kiev deal that paved path to bloodshed
2014年3月、ロシアはクリミアを併合。これで、アメリカの最重要ポイントは欧州にシフト。最大の敵はプーチン・ロシアになりました。

しかし、「ロシア憎し」の情熱も長つづきしませんでした。同年8月、アメリカは「イスラム国」への空爆を開始しています。
以後、アメリカの視線はプーチン・ロシアとイスラム国をいったり来たりしていました。

AIIB事件の衝撃

アメリカの「戦略重要地域」は、欧州、中東、アジアである。しかし、2013~14年の動きを見ると、アメリカは中東と欧州(ウクライナ)で戦っている。アジアには視線がむいていないことがわかります。

ところが、2015年3月、すべてを一変させる「AIIB事件」が起こった。

毎回書いていますが、親米国家群、具体的にはイギリス、ドイツ、フランス、イタリア、イスラエル、オーストラリア、韓国などなどが、中国主導「AIIB」への参加を決めた。しかも、アメリカが「入らないよう」要求していたにも関わらずです。

「親米国家群が、アメリカのいうことではなく中国のいうことを聞く!!!!!!」

これはつまり、「アメリカではなく中国が覇権国家になりつつあること」を示していました。
「AIIB事件」で、アメリカの「主敵」は、「プーチン・ロシア」「イスラム国」から、中国にかわったのです。

【参考】AIIB進撃の中国に、アメリカが宿敵・ロシアと和解する可能性が浮上

4月末、安倍総理の「希望の同盟」演説で、「日本は味方」であることを確信したアメリカ。5月から、中国の「南シナ海埋め立て問題」をバッシングしはじめました。

これ因果関係が重要です。

「AIIB事件(原因)があったから、南シナ海埋め立てをバッシングしはじめた(結果)」

決して、「中国が国際法を無視しているから、バッシングを開始した」のではない。
それが証拠に、中国は、「2013年」から埋め立てを開始しています。
アメリカは、事実上2年間、中国の動きを無視していた。
つまり、「AIIB事件」で衝撃を受けたアメリカが、「南シナ海埋め立て問題」を「口実」にして「中国バッシング」を開始した。


こういう「因果関係」です。

「AIIB事件」がなかったら?

さて、Sさまからの質問に戻ります。


もし件のAIIB事件が起こらなかったら、南シナ海の行方というか…。

中国の人工島建設は完成して、人民解放軍の基地になってしまったのでしょうか?

AIIB事件が起らなかった時、米国はどうするつもりだったのでしょうか?

ここまで2013~15年の動きを見てきましたが、「AIIB事件」が起こるまで、アメリカは「南シナ海」の状況にあまり関心をもっていませんでした。ということは、「AIIB事件」がなければ、2013~14年の状況がしばらくつづいていたことでしょう。
つまり、アメリカは、プーチン、イスラム国との戦いをつづけていた。

しかし、アメリカが、巨大化する中国の脅威に、永遠に気づかないということもあり得ないでしょう。
「AIIB事件」ではない他の事件で、「ええ!? 中国ヤバいじゃん!」と気づいたはずです。
その時、やはり「南シナ海埋め立て」は、問題になっていたはずです。

要するに、「はやいか、遅いかの違い」ということですね。
日本にとっては、「AIIB事件で、アメリカがはやめに気づいてくれてよかった!」ということなのですが。

アメリカは、「表面上」何も変えることができないが…

もう一度、Sさまの質問を。


もし件のAIIB事件が起こらなかったら、南シナ海の行方というか…。

中国の人工島建設は完成して、人民解放軍の基地になってしまったのでしょうか?

AIIB事件が起らなかった時、米国はどうするつもりだったのでしょうか?

この、「中国の人工島建設は完成して、人民解放軍の基地になってしまったのでしょうか?」ですが。米海軍が動いたにも関わらず、中国は「人工島建設」をやめないと思います。

ウォールストリートジャーナル10月28日に、「南シナ海の米中緊迫、5つのポイント」という記事がありました。その5番目のポイントは、以下のようになっています。


5.この作戦で実際に何かが変わるのか



ほとんど変わらない。



中国が造成した7つの小島が存在しなくなるわけではなく、この海域で中国がますます民間・軍事的存在感を示すのは避けられないようだ。



米国は重要な原則とみえるものを示したが、このささやかな抗議行為では、中国が南シナ海における基地ネットワークの構築・維持という目的を最終的にあきらめることはないだろう。

まさに、その通りでしょう。そして、アメリカも、「今回の威嚇で『人工島建設』を断念させよう」とは思っていないはずです。

しかし、私たちは、「米中覇権争奪戦」が「はじまったこと」をはっきり自覚しておく必要があります。
そして、「核兵器大国」同士の争いにおいて、「軍隊同士の戦闘」は「戦争のほんの一部」でしかないのです。
2014年の「米ロ対立」を見ればわかります。

•情報戦=プーチンを悪魔化する

「プーチンはヒトラーの再来だ!」
「プーチンは世界の孤児だ!」

など、脳みそに残る言葉を100万回繰り返し、信じさせる。

•経済戦=日欧米による経済制裁

そして、実際の戦闘は、「代理戦争」でした。つまりアメリカの利益を代表するウクライナ軍と、ロシアの利益を代表するウクライナ東部「親ロシア派」の戦い。米中の争いも、両国軍が大戦争をするような事態は、最終段階まで起こらないでしょう(孫子もいってますが、「戦わずに勝つ」のが一番いいのです)。

アメリカは、別の手段をメインに中国をつぶしていくはずです。

具体的には、
•情報戦=中国を悪魔化する
•経済戦=中国経済を崩壊させる

です。

結局アメリカは、「中国の一党独裁体制を崩壊させ、民主化させること」を目指すことでしょう。

「AIIB事件」まで、アメリカの支配層は、「中国はアメリカの作った世界秩序の中にとどまる」と信じていました。しかし、「AIIB」は、明らかに「アメリカの世界秩序の『外』に新たな国際金融機関をつくること」ですから、「裏切り」に激怒しているのです。

アメリカより日本の「自覚のなさ」が心配

それより私が心配なのは、「米中関係が最悪になっている」中、日本政府が中国との関係改善に動いていることです。

安倍談話、最後の方にこうあります。


我が国は、自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持し、その価値を共有する国々と手を携えて、「積極的平和主義」の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献してまいります。

「その価値を共有する国々と手を携えて」とあります。

これは、アメリカとか欧州、オーストラリア、インドなどのことをいっているのでしょう?


今、価値を共有するアメリカは、共産党の一党独裁で、人権も言論の自由もない中国と戦っています。
そんな中日本は、「価値をまったく共有しない国」と関係を改善している。なにやってるんでしょうね。

日本政府は、「みんなと仲良くしなきゃね」ということなのでしょう。

しかし、アメリカは、「安倍の『希望の同盟』演説も、『談話』も口だけ。
日本は米中を戦わせて「漁夫の利」を得ようとしている狡猾な国だ!」と疑うことでしょう。

韓国みたいな「二股外交」はやめて、是非「希望の同盟演説」「談話」が「ウソでないこと」を証明してほしいと思います。

image by: Everett Collection / Shutterstock.com


『ロシア政治経済ジャーナル』
著者/北野幸伯

★ 今回の安倍総理の中韓との会はどんな利点があったのでしょうか。
  チャイナは習近平の出席でなく、李国強だったし、習近平は台湾の馬総統とかたい握手をしている。
  日本にも鳩山というルーピーがいますが・・・


コメント (3)
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