その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

BBCスコティッシュ交響楽団/ マーラー交響曲第2番 (エディンバラ インターナショナル フェスティバル)

2011-08-28 23:49:43 | コンサート (in 欧州)
クリスマス前最後の連休を利用して、フリンジ・フェスティバルとインターナショナル・フェスティバルの2つが開催中のエディンバラへ来ている。今夜は、そのインターナショナル・フェスティバルのプログラムである、ドナルド・ラニクルズ指揮BBCスコティッシュ交響楽団(BBCSSO)演奏によるマーラー交響曲第2番を聴きに出かけた。

素晴らしい熱演だった。この曲は、今月、プロムスでドゥダメル指揮、シモン・ボリバル交響楽団で聞いたばかりなのだが、シモン・ボルバル響が若者らしい真摯な情熱に溢れた演奏だったのに対して、今夜は対照的に、成熟した大人の情熱が感じられる演奏だった。

全曲を通じてドナルド・ラニクルズの強烈なリーダーシップが印象的だった。剛と柔、明と暗を明確に浮き上がらせた指揮ぶりで、劇的な音楽つくりだった。特に盛り上げどころでの体全体を使った炸裂の指揮ぶりはすさまじく、狂気すら感じるほど。楽団もよく応え、情熱的な演奏を聴かせてくれた。失礼ながら、知名度ではロンドンのオーケストラに遥かに劣るスコットランドのオーケストラからこんな演奏が聴けるとは思いもしなかった。

独唱、合唱も素晴らしかった。特にMeagan Miller (ミーガン・ミラー)のソプラノはホールを貫く美声。メゾのKaren Cargill (カレン・カーギル)も良かったが、ちょっとこのロールには声が太すぎやしないかと思った。コーラスは、かなり平均年齢が高そうな合唱団だが、ホール一杯に響く音は天からの声だった。

また、アッシャーホールの音響の良さには驚かされた。1914年完成のこのホールは、ロンドンにある現代型ホールと違い、アムステルダムのコセントへボウに少し似た、歴史的香りがするホールである。舞台正面後方にオルガンが備えられ、独特の風格を感じさせるが、音響の方も素晴らしかった。オケの音、コーラスの声がバランスよく反響する。

残念だったのは、僕でもわかる金管のミスが数回、それも大事なところ(例えば第4楽章の合唱が復活の賛美を歌う直前のファンファーレのパート)で出てこと。気合を入れて聴く、聴き所であるだけに、聴く方もかなりずっこけた。正直、きっと指揮者的には切腹を申し渡したくなるミスが幾つかあったに違いない。

しかし、そうした個人のミスを十分補って余りある全体として充実した演奏だった。わざわざエジンバラまで来た甲斐があったと心底思った。会場も凄い拍手だった。

写真は戻りしだいアップします。

29 August 2011, 20:00
Usher Hall

BBC Scottish Symphony Orchestra
Donald Runnicles Conductor

Meagan Miller Soprano
Karen Cargill Mezzo soprano

Edinburgh Festival Chorus
Christopher Bell Chorus Master
コメント (2)
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