その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

昨日の公演をTVで復習 (ドゥダメル指揮シモン・ボリバル交響楽団、マーラー交響曲第2番)

2011-08-06 23:22:01 | コンサート (in 欧州)
 夕食を終えてTVをつけたら、何とBBCで昨夜のプロムス感動公演(ドゥダメル指揮シモン・ボリバル交響楽団 マーラー交響曲第2番)の放送が始まったところだった。TVで見ることで、「生はこんなんじゃなかった」と昨日の感動が覚めたらかえって興ざめなので、見続けるか、どうか一瞬迷ったが、そのまま最後まで見た。そして、今、昨夜の感動を更に膨らませている自分がここに居る。(昨夜の公演の感想はこちら→)

 昨夜は分からなかった幾つかの発見があった。第2,3楽章の前半は、スローテンポで危うく居眠りそうだったのだが、きっと昨夜の自分は寝ぼけていたに違いない。今日、TVで聴いたら、素晴らしく豊潤かつ繊細な演奏だった。ぐーっと惹きこまれるようにTVにかぶりついてしまった。いったい、昨日の自分は何を聴いていたのだろう?

 また、「メゾのアンナ・ラーションはちょっと声量がパワー不足」などと思ったのも、自分がボケていたに違いない。もともと声量を張りあげるようなパートでもないし、その歌声はまさに天上から天使が呼びかけているような歌声だった。TVでもこんなに感動するものだと自分で自分のことを驚いた。

(メゾソプラノ アンナ・ラーション)


 それにしても、今の撮影技術や音響技術は素晴らしいものだ。第5楽章で、天井桟敷のギャラリー席から届いた金管群の響きは、まさにホール全体を宇宙として静かにこだまする音を、BBCの絶妙のカメラワークと合わさり見事に再現していた。



 逆に、TVの限界として思ったところもある。私が夜空に響く尺玉花火のあとの余韻を思い起こさせた第1楽章、第3楽章後半等のパーカッション軍を中心とした爆発的な響きの余韻は、流石に再現されていなかった。

(昨日も今日もこのパーカッションの一撃、一撃にしびれた)


 また、オーケストラメンバーの演奏姿が、自分が感じた以上に大人の整然とした演奏姿に映っていたのが意外だった。実際は、弦にしても、同じところを演奏しているのか?と思うほど、人によって演奏姿勢やアクションが違っていた。そして、それが各々凄まじい熱意と迫力の身体表現であり、一つの塊としてまとまって目に入ってくると、欧州のメジャーオーケストラの整然とした演奏姿とは全く異なる迫力を生んでいたのである。だが、TVで見ると恐らく画面が一部しか映せないためだと思うのだが、どうもおとなしく映ってしまう。ちょっと、残念だった。

(オケの若者たち)








 まあ、いずれにせよ、昨夜自分はこんな凄いコンサートの場に居合わすことができたのだということを再確認できたのは幸運だった。昨日のナマも凄かったが、今日のテレビも凄かった。

(若大将ドゥダメル)


(ソプラノのミア・パーソン)


(イギリス・ナショナル・ユース合唱団の人たち)


(全体風景)




 2011年8月6日
コメント
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