とっても興味深い本だった。著者が自ら実践している「40代で働き方を選びなおすことで、楽しく「自分のためのオリジナルな人生」を生きよう」という提案である。
発想がとてもユニークだし、目から鱗が落ちるような指摘もある。例えば、「年とってからマチュピチュ遺跡に行くのは難しい」とか「長生きリスク」など、生命保険的ライフプランにはない指摘がある。65歳年金支給の時代を迎えて、どう自分のキャリアを作って行くのかを否が応でも考えなくてはいけないが、キャリアプランも大事だがその前にライフプランそのものを考える必要があるようだ。
だが、多くの人には本書を実践に移すのは極めて難しいだろう。一番の違和感ははたして、世の多くの人が著者が言うような働き方の変更が40歳代で可能なのだろうかということだ。本書はこうした生き方そのものを変えていくべきと言っているのかもしれないが、40歳代と言えば、家庭があり子供が学齢期の人も多いだろう。一番お金がかかる時でもあり、リスクを取りにくい時期でもある。かあちゃん、子供をリスクに晒し、家族の大反対を押し切って自分の楽しみに生きるような生き方はちょっと現実的とは思えない。
だから本書は自分のライフプランを見直す一つの視点として活用するのが効果的だと思う。筆者も「机上の検討でいいから、一度は考えてみよう!」と言っている。部分部分では即使えるアドバイスがあるし、自分が当たり前だと思っていた人生観、生活観にゆらぎを与えてもらえる。非現実的だが考えの幅を広げるのには役に立つ。