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展示品のレベルの高く、構成もよく練られた興味深い日本美術展でした。「美の家系図を見るようです」というコピーで宣伝していましたが、奈良時代から現代に至るまで、日本美術の流れ、共通する趣き、変化の過程が楽しめます。
個人的に印象的だったのは3点。
一つは、会場に入って仏像通りとでも呼べるぐらい、左右に立ち並ぶ様々な仏像。仏教伝来とともに中国からやってきた仏師たちが、石を削って仏像にするつもりが、日本には良い石が見つからなかったので、木で彫り始めたのが日本の木造仏像の始まりとのことでした。気品あふれる木造仏像に打たれます。
二点目は、今年3月に「俵屋宗達」の小説を読んで、宗達の作品を見たいものだと思っていたのですが、図らずも宗達の絵に遭遇できました。奇抜なデザイン、発想と繊細な絵柄が印象的でした。
三つは菱川師宣の「見返り美人図」。実物を見るのは初めてで、作品全体から発せられる色気、香りに見惚れます。
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《菱川師宣「見返り美人図》
国宝・重要文化財含めて約130点が展示されてますが、どの作品にも日本人の繊細な感性が表れており、見応えたっぷりです。
2018年4月13日(金) ~5月27日(日)
【構成】
第1章 祈りをつなぐ
第2章 巨匠のつながり(雪舟、宗達、若冲)
第3章 古典文学につながる(伊勢物語、源氏物語)
第4章 つながるモチーフ/イメージ(山水、花鳥、人物、古今)