(2週間遅れの演奏会感想です)
若手日本人指揮者としては、世界的に活躍しているである山田和樹さんが登壇です。
冒頭のマーラーの「花の章」。こうしたソフトで雅な音楽は、N響の弦の美しさが引き立ちます。心地よくてあやうく寝落ちするところを何とか踏みとどまりました。
シュトラウスの「最後の4つの歌」。私の中では2009年5月にベルリンで、アバド、ベルリンフィル、メゾがキルヒシュラーガーで聴いた感動的な舞台が今でも脳裏に焼きついています。
今回、佐々木さんのソプラノも厳かで美しかったです。ただ、舞台奥のP席だと歌曲はつらいですね。歌手の背中を見ながら前に向かって進む歌声を後ろから追いかけるように聴くのは、(P席に)慣れてないこともあり難しいです。デリケートなニュアンスまで感じ取るのは私にはハードル高かったです。しょうがないですね。
後半のベートーヴェン第3番。熱量高い聴きごたえある演奏でした。第1楽章はテンポよくサクサク進みますが、それでいてオーケストラからは厚みあるふくよか音が奏でられます。第2楽章もオーボエをはじめ管楽器の調べが美しい。ただ意外にさらっと流れてしまい、個人的にはもう少し感情的な重みが欲しいところがありました。第3,4楽章は畳みかける切れの良い演奏がダイナミックにホールに響きます。一気呵成でフィナーレに向かう指揮者とオーケストラの真剣勝負が見ごたえ、聴きごたえ満点でした。
初めて前から山田さんの指揮姿を拝見しましたが、自信をもってリードする姿が印象的ですね。多くの実演に接したわけではないですが、往年の小澤征爾さんにも少々似ているような気もします。ドイツを拠点に活動されているようですが、これからも定期的に登壇を期待したいです。
第1947回 定期公演 Bプログラム
2021年12月16日(木)開演 7:00pm
サントリーホール
指揮:山田和樹※
ソプラノ:佐々木典子※
※当初出演予定のディマ・スロボデニューク(指揮)、ホーカン・ハーデンベルガー(トランペット)から変更。
マーラー/花の章※
R. シュトラウス/4つの最後の歌※
ベートーヴェン/交響曲 第3番 変ホ長調 作品55「英雄」※
※出演者変更に伴い上記曲目に変更。
No. 1947 Subscription (Program B)
Wednesday, December 15, 2021 7:00p.m.
Suntory Hall
Kazuki Yamada, conductor
Noriko Sasaki, soprano
Mahler / "Blumine" movement*
R. Strauss / 4 Letzte Lieder*
Beethoven / Symphony No. 3 E-flat Major Op. 55 "Eroica"*
*Artists and program have been changed from initially scheduled Dima Slobodeniouk (Cond.) and Håkan Hardenberger (Trumpet).