その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

初・ナマ小栗旬/ 彩の国 シェイクスピアシリーズ 『ジョン王』(翻訳:松岡和子/演出:吉田鋼太郎)

2023-02-25 08:29:11 | ミュージカル、演劇

小栗旬さん目当てでした。昨年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で主人公北条(小四郎)義時役でとっても印象的だったためです。日本史上とっても重要であるがキャラが分かりにくい義時の、青年期から晩年に至るまでの成長を見事に演じきってました。恥ずかしながら、私には名前こそ知っていましたが、小栗旬を主役として見たのはこのテレビドラマが初めてでした。そんな彼がシェイクピア劇を演じると知り、舞台ではどう演じるのか、埼玉・浦和に遠征しました。

演出と主人公のジョン王役は吉田鋼太郎氏。小栗さんは準主役と言える私生児フィリップ役で出演。物語は台本にもなっている松岡和子さんの訳本を事前に読んでおきました。

小栗さん、吉田さんはもちろんのこと、各役者さん達の熱演は素晴らしく、完成度の高い公演でした。シェイクスピアによるこの歴史劇の重み、面白さが浮きあがっていました。支配層の権力欲・名誉欲、家・家族の愛、人のご都合主義、そして支配層のご都合で右往左往し、虐げられる非支配者層たち。今も昔も変わらぬ人間社会の有り様です。演出では、劇の冒頭と最後に現代に空間・時間を持って来ていて、過去と現代との連続性を意識させるつくりになっていたのも説得感があります。

リアル小栗さんを初めて見た感想は、身体の切れが実に良いですね。演技も流石、堂々としていて華がある。第2幕の最後の権力者たちの私利私欲を嘲るモノローグには胸を打たれました。

シェイクスピア劇として少々驚いたのは、重要場面で役者さんのソロでの歌が入りました。それも日本のポップミュージック(私が知らなない、聴いたことのない音楽もありましたので、全て日本のものからは自信ないです)。「え、これってミュージカル?」と最初は仰天だったのですが、キーシーンに歌が挿まれます(全編で5曲ぐらいだった記憶)。皆さん(含む、吉田さん・小栗さん)しっかり歌われるし、劇効果を高めているのも確かなのですが、私自身は歌、要るかなあと感じたところはありました。(そういえば、蜷川「マクベス」ではクラシック音楽が挿入されていたことを思い出しました。あれも不要と思ったけど)

いずれにせよ、私にとってはシェイクピア劇を小栗旬とセットで観られたという非常に満足感の高い舞台でありました。(どうでもいい話ですが、観客の女性比率が7割以上(しかも若い)で、クラシック音楽コンサートやオペラとは全く違う観客層で、浦和という地域性もありかなりアウエイ感満載でした)。

 

日時 2023年2月17日(金)18:30 上演時間 約3時間(一幕 80分/休憩20分/二幕 80分)。
会場 埼玉会館 大ホール
作 W. シェイクスピア 翻訳 松岡和子
上演台本・演出 吉田鋼太郎(彩の国シェイクスピア・シリーズ芸術監督)
出演 小栗 旬 中村京蔵 玉置玲央 白石隼也 高橋 努 植本純米 櫻井章喜 間宮啓行 廣田高志 塚本幸男 飯田邦博 坪内 守 水口テツ 鈴木彰紀 堀 源起 阿部丈二 山本直寛 續木淳平 大西達之介 松本こうせい 酒井禅功/佐藤 凌(Wキャスト) 五味川竜馬 吉田鋼太郎
演奏:サミエル 武田圭司 熊谷太輔/渡辺庸介
<Wキャストスケジュール(子役)>
酒井禅功・・・18日 マチネ、19日、22日、24日
佐藤 凌 ・・・17日、18日 ソワレ、21日、23日

コメント
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