その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

新国立オペラ ワーグナー「タンホイザー」(指揮 アレホ・ペレス ,演 出 ハンス=ペーター・レーマン)

2023-02-09 07:30:23 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

2019年の新国立オペラで同じ演出で見ています。今回は後半になるにつれて舞台がグーっと盛り上がった印象で、最後は満足度の高い公演となりました。

中でも歌手・合唱陣の活躍が目立っていました。特に、私には題名役のステファン・グールド、ヴォルフラム役のデイヴィッド・スタウト、そして合唱陣の活躍が刺さりました。

グールドははまり役なうえに声量、声質ともにずば抜けていました。彼を新国で過去に3度聞いていて、毎回印象深いのですが、今回も素晴らしかったです。ノーマークだったのに、感動したのはスタウト。安定した美声で演技も上手。3幕のソロやグールドとのやり取りは舞台の緊張感が凄まじく、4階席から食い入るように見ていました。そして、合唱団はいつもながらハイレベルなのですが、今回の巡礼者たちの合唱は物語の特に大事なパーツであることもあり、その活躍が引き立っていました。クライマックスはもう涙モノ。日本人歌手陣も舞台をしっかり締めるヘルマン役の妻屋さんや牧童役の前川さんをはじめとして、いい仕事してました。

ピットには東響が入ってましたが、指揮者の芸風なのかオケの演奏のせいなのかわかりませんが、序曲からなんか私の好みと合わず。ワーグナーならではの緊張感やスケール感が足りなく、緩い演奏に聴こえてしまいました。2年前に聴いたヴァイグレ/読響の繊細さとスケール感がミックスされた素晴らしい演奏がまだ耳の記憶に残っていたこともあったかもしれません。ただ、2幕以降は調子を上げて、引き締まった感じでしたので満足です。

過去も観ているはずの演出なのですが、記憶には殆ど残っておらず、新鮮な気分で楽しめました。比較的オーソドックスで特に奇をてらったところが無いからでしょう。照明の色合い・使い方が、夫々の世界観を表すように上手く活用されていて、効果的でした。

1幕に挟まれるバレエも美しく、1粒で2度おいしい感があっていいですね。

今年のオペラはじめ。幸先良いスタートとなりました。2月以降「フォルスタッフ」、「アイーダ」と観劇予定で、こちらも楽しみ(本当は「ホフマン物語」が一番の好みなのですが、スケジュールが合わず今回は断念。)

 

リヒャルト・ワーグナー
タンホイザー
Tannhäuser / Richard Wagner

全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉
公演期間:2023年1月28日[土]~2月11日[土・祝]
予定上演時間:約4時間5分(第1幕75分 休憩25分 第2幕65分 休憩25分 第3幕55分)

スタッフ
【指 揮】アレホ・ペレス
【演 出】ハンス=ペーター・レーマン
【美術・衣裳】オラフ・ツォンベック
【照 明】立田雄士
【振 付】メメット・バルカン
【再演演出】澤田康子
【舞台監督】髙橋尚史

キャスト
【領主ヘルマン】妻屋秀和
【タンホイザー】ステファン・グールド
【ヴォルフラム】デイヴィッド・スタウト
【ヴァルター】鈴木 准
【ビーテロルフ】青山 貴
【ハインリヒ】今尾 滋
【ラインマル】後藤春馬
【エリーザベト】サビーナ・ツヴィラク
【ヴェーヌス】エグレ・シドラウスカイテ
【牧童】前川依子
【4人の小姓】和田しほり/込山由貴子/花房英里子/長澤美希

【合唱指揮】三澤洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団
【バレエ】東京シティ・バレエ団
【管弦楽】東京交響楽団
【協 力】日本ワーグナー協会

 

2022/2023 SEASON

Music by Richard WAGNER
Opera in 3 Acts
Sung in German with English and Japanese surtitles
OPERA PALACE
28 Jan - 11 Feb, 2023 ( 5 Performances )

CREATIVE TEAM
Conductor: Alejo PÉREZ
Production: Hans-Peter LEHMANN
Set and Costume Design: Olaf ZOMBECK
Lighting Design: TATSUTA Yuji
Choreographer: Mehmet BALKAN

CAST
Hermann: TSUMAYA Hidekazu
Tannhäuser: Stephen GOULD
Wolfram von Eschenbach: David STOUT
Walther von der Vogelweide: SUZUKI Jun
Biterolf: AOYAMA Takashi
Heinrich der Schreiber: IMAO Shigeru
Reinmar von Zweter: GOTO Kazuma
Elisabeth: Sabina CVILAK
Venus: Eglė ŠIDLAUSKAITĖ
Ein junger Hirt: MAEKAWA Yoriko
Vier Edelknaben: WADA Shihori, KOMIYAMA Yukiko, HANAFUSA Eriko, NAGASAWA Miki

Chorus: New National Theatre Chorus
Ballet: Tokyo City Ballet
Orchestra: Tokyo Symphony Orchestra

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