サムライJapanを率いてワールドベースボールクラシック(WBC)優勝に導いた栗山英樹さんの本です。2019年発刊ですから、日本ハムファイターズ監督時の著作です。WBC優勝直後に地元図書館で予約したら、似たような人がたくさんいたのか30名を超える待ち行列で、廻って来るのに半年かかりました。今年5月には、WBC優勝を受け、『栗山ノート2』も発刊されています。
栗山さんは小学生の頃から野球ノートを書いていたそうです。監督になってからは、「監督として、仲間として、人間として、チーム内でどのようにふるまえばいいのか。野球ノートをつけることと、読書の旅を並行していくと、野球を野球の常識だけで読み解くべきではない、という思いに辿り着きました。」ということで、野球ノートでのアウトプットと読書によるインプットの相互作用で自分自身を高めっていったようです。
栗山さん自身が相当の読書家です。「私の野球ノートは、「『四書五経』などの古典や経営者の著作から抜きだした言葉で埋め尽くされているいます。・・・もはや野球ノートというよりも、人生ノートと言ったほうがいいかもしれません。」
本書は、その野球ノートにある(であろう)古典の名言を引きながら、栗山さんの生き様、考え、経験が記されています。
栗山さんの誠実で謙虚な人間性や前向きな行動力に触れることができたのが最大の収穫でした。言葉にすると、謙虚、自省的、信頼、無私、・・・といったところですが、知行合一を地で行く素晴らしい方ですね。本のコンテンツそのものよりも、栗山氏の人格に触れる感覚です。
書籍の内容自体は道徳の教科書っぽい所もあり、人により好き嫌いは分かれるかと思います。私はどちらかというと苦手なスタイルでした。あまりにも立派できちんとしているので、読み物としては毒が無くて物足りなく感じるところもあります。
まあ、読者というのは、際限なくわがままで勝手なものですね。
目次
序章 ノートの言葉たちが勇気と希望をくれる
第1章 泰然と
第2章 逆境に
第3章 ためらわず
第4章 信じ抜く
第5章 ともに