その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ウィーン旅行 (その7) ウィーン国立歌劇場で『ローエングリン (LOHENGRIN)』を観る

2010-06-08 22:14:01 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 2010年5月30日

 ウィーン最後の夜は、ウィーン国立歌劇場でワーグナーオペラ。

 今日は3階席だけど、舞台の正面。これで€65は安い!


 劇場の写真をもう少しアップ。







 ワーグナーのオペラは、相変わらずの麻薬劇。聴く人をホールに閉じ込め、強烈な音楽と舞台にさらし、完全に神経麻痺にさせる魔力を持っている。

 しかし、今日はなにより演出が最悪だった。許しがたい、悪趣味。なぜエルザは失明しているのか?舞台においてある黄色いおもちゃのトラックは何か?黄色の蛍光色のセンスはなんだ!ヘンゼルとグレーテルのような粗末な家も変だ。最後の囚われの弟の救出シーンは何物?2001年宇宙の旅かと思った。あまりにも酷い演出。歌も演奏も良いのに演出が台無しにしてくれた。残念

 歌手、演奏はさすがウイーン国立オペラ。高い水準だと思うが、いくつか気になる点はあった。ローエングリーン役のペーター・ザイフェルトは柔らかい綺麗なテノールだったが後半やや息切れ気味。エルザ役のソイレ・イソコスキはエルザとしてはちょっとベテラン過ぎかな。歌はきれいなところはあったが、全般に本調子で無かったような気がする。一方で、悪役が良かった。魔女役は悪者ぶりを見事に演じていたし、歌の迫力もすごかった。エルザを凌ぐ存在感だった、ブラボー。







 管弦楽は綺麗な音楽だ。金管の鳴りが素晴らしい。エルザの入場のところで、冒頭のフルートが少しふらついていたように聴こえたのが残念だったが、あとは素晴らしい。最後で挨拶に出た指揮者レイフ・セーゲルスタムが凄い白髪・白ひげの仙人のようなおじいさんでびっくりした。

 総合点で昨日のほうが良かったが、拍手は今日のほうが大きかった。何度も呼び返していた。確かに演出以外は良かったと思う。


30. Mai 2010

LOHENGRIN
(28. Aufführung in dieser Inszenierung)

Dirigent: Leif Segerstam
Inszenierung: Barrie Kosky
Bühnenbild: Klaus Grünberg
Kostüme: Alfred Mayerhofer
Choreinstudierung: Thomas Lang

Heinrich der Vogler: Ain Anger
Lohengrin: Peter Seiffert
Elsa von Brabant: Soile Isokoski
Friedrich von Telramund: Wolfgang Koch
Ortrud: Waltraud Meier
Heerrufer: Markus Eiche
1. Edler:
2. Edler:
3. Edler:
4. Edler:
1. Edelknabe:
2. Edelknabe:
3. Edelknabe:
4. Edelknabe:
1. Kammerfrau:
2. Kammerfrau:
3. Kammerfrau:
4. Kammerfrau:

Beginn: 17.30



(付録)
 実は、オペラの前にもう一度楽友協会に行って、ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団(Tonkünstler-Orchester Niederösterreich)の演奏会で、シューマンの交響曲第1番も聴いてきました。後半に「春の祭典」があるのだけど、オペラに間に合わない恐れがあるので、前半のみ。


Sonntag, 30. May 2010
16:00 - Großer Saal
End: approx. 17:45

Artists:
Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
Andrés Orozco-Estrada, Dirigent


Program:
Robert Schumann
Symphonie Nr. 1 B - Dur, op. 38 ("Frühlingssymphonie")

-------- Break --------

Igor Strawinsky
"Le Sacre du Printemps". Bilder aus dem heidnischen Rußland in 2 Teilen für Orchester ("Das Frühlingsopfer")

≪関連記事≫
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オペラ ホーランド パーク (Opera Holland Park) 『カルメン』

2010-06-08 07:19:35 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 ロンドンの西のケンジントンズ・ガーデンズから、更に西に5分程歩いたところにホーランド・パークという公園があり、6月から8月の上旬まで、その公園内でテントを張ってオペラをやっています。初めてそこに出かけました。

 ホーランド・パークは名前こそ良く聞きますが、初めて訪れます。ハイドパークなどに比べれば規模は小さいですが、東京から来た身には、ここにもこんな美しい公園があるのかと、ため息が出ます。


 会場は季節限定とはいえ、とても立派なものでした。開演30分前にはテラスでワインを飲みながら談笑する人が沢山いて、お祭り的な楽しい雰囲気に満ちています。ホールの中も座席数は1000近くはあると思われる立派なものですが、ステージは近く、オーケストラも目の前で、とてもアットホームな雰囲気がします。一応、テントで天井は覆われていますが、サイドは解放されていますので、開演されても小鳥の鳴き声や子供たちの遊び声が遠巻きに聴こえてくる長閑な雰囲気です。

(正面入り口)


(テラスで歓談する人たち)


(テント内の観客席)


 公演の方も、十分楽しめるものでした。カルメン役のHannah Pedleyは野性味のある美人ではまり役。色気たっぷりで、歌もなかなか良かったです。ホセ役のMark Panuccioのテノールは甘く柔らかでいいが、雰囲気がとっちゃん坊やでちょっとイメージが違うかな。目立ったのはミハイレのJulia Sporsen。ソプラノが高音の伸びが素晴らしかったです。カーテンコールの拍手も一番でした。プロダクションも奇をてらわず正統派。指揮のMatthew Wilはメリハリがきいた指揮ぶりで、演奏も十分に満足できるものでした。西洋音楽は西洋の音楽だから当たり前なのかもしれないが、改めて層の厚さに驚きます。機会があれば他の演目も観てみたいと思います。


(左から2番目がカルメンのミハイレのJulia Sporsen、指揮のMatthew Wilを挟んで、ホセ役のMark Panuccio)




(ミハイレのJulia Sporsen)


(子供たち)




June 4, 2010

Conductor Matthew Willis
Director Jonathan Munby
Designer Emma Wee
Choreographer Lynne Page
Lighting Designer Colin Grenfell


Carmen Hannah Pedley
Don José Mark Panuccio
Escamillo David Stephenson
Micaela Julia Sporsen
Frasquita Stephanie Bodsworth
Mercédès Alexandra Tiffin
Zuniga Paul Reeves
Moralès John Lofthouse
Dancairo Stefan Holmström
Remendado Andrew Glover


コメント (2)
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