バルトークの「中国の不思議な役人」聴きたさに、頑張って発売日に争奪戦に参戦して何とかゲットしたこの日のチケットです。お目当てのバルトークだけでなく、東欧の民族性あふれるコダーイの舞曲、フランスを代表する作曲家によるサン・サーンスの交響曲第3番と、3曲を通じての隠れテーマがあるのかどうかはわかりませんが、個性の異なった音楽を組み合わされた面白いプログラミングにも魅かれました。
どれも素晴らしい演奏でしたが、中でも私的に一番はやっぱりバルトークの「役人」。変化に富み、緊張感あふれる音楽は生演奏ならではの醍醐味を味わえます。デュトアさんの変幻自在の指揮に、N響が食らいついていくといった様子で、緊張感は音楽だけでなく舞台からも伝わってきました。演奏中の厳しい団員さんの表情と演奏後のホッとしたような一瞬緩んだ団員さんの表情の対照も興味深かった。
サン・サーンスの交響曲第3番もあのダイナミックレンジを体感できるのは生演奏ならではでしょう。第1楽章第2部の美しさや、第2楽章第2部の壮大で力強い旋律やパイプオルガンの宗教的な響きを堪能しました。この曲なんぞは、まさにデュトアさんの一丁目一番地と言った感じですね。一曲目のコダーイの舞曲はクラリネットを初め管楽器の音の美しさが印象的。
今回はRAエリアでコントラバスパートの奥。デュトアさんの指揮ぶり、表情、コンサートマスターのマロさんの表情もはっきりと見ることができ、いつものNHKホール3階席からとは全く異なる近さと角度。生音がダイレクトに体にぶつかってくるのと、サントリーホールの豊かな響き、楽員さんの緊張感までが手に取るようにわかるような距離感が組み合わさって、音楽を感じるインパクトが強烈。同じN響でも会場、ポジションによってこうも違うのかと、いつものA,Cプロの席のコスト・パフォーマンスには十分満足しながらも、かなりショックでした。
この日が、私にとっては今年の演奏会納め。最後12月をデュトアさん3連発で締めるという実に充実した1年でありました。
第1825回 定期公演 Bプログラム
2015年12月17日
サントリーホール
指揮:シャルル・デュトワ
コダーイ/ガランタ舞曲
バルトーク/組曲「中国の不思議な役人」
サン・サーンス/交響曲 第3番 ハ短調 作品78
No.1825 Subscription (Program B)
Suntory Hall
Kodály / Dances from Galanta
Bartók / “The miraculous mandarin”, suite
Saint-Saëns / Symphony No.3 c minor op.78
Charles Dutoit, conductor