筆者は現場で起こっていることのその概念化が非常に上手い。しかも書き方も上手く構造化されていて、頭にすっきり整理された形で入ってくる。経営学者さんが書いた本の多くは、概念化が進み過ぎてリアリティが消え失せ、現実のビジネスマンの役に立たない。逆に、巷のノウハウ本はあまりにも、小手先で、本質議論ではないというところにジレンマを感じる私には、氏のアプローチのフィット感は他の専門家にはない心地よさがあります。
なので、本書は、(私の国語力不足もありますが)ここで引用したり、要約したりしても本書を貫く考え方はなかなか表せないので、是非、通読し、筆者のロジックを追われることをお勧めします。丁寧に第8章には「働く個人はどうするべきなのか」として、本書の議論を整理してありますので、ハウツーに興味のある人はそこだけ覗いても良いかもしれません。
その中でも、一か所、特に膝を打った部分をさわりだけ引用します。
キャリア教育について触れた部分です。
「好きなことと向いていることは違う。仕事そのものを大きく変化している中で、「好きを仕事に」理論で短絡的に推し進める内省過剰で職種目標的なキャリア教育は問題だ。
『就社ではなく就職だ』というまことしやかな流行り言葉も危険である。想定外変化の時代、最初に何の仕事に就くかよりも、どんな会社に入るかのほうが大事だ。後述するが、社会化作用やキャリア自律風土が強い組織なのか弱い組織なのか、キャリア初期にどう成長できるのか、そういう問題のほうがずっと重要で、それはむしろ会社選びなのである。
進学校でも、漫然と偏差値の高い大学を受験するのではなく、将来の目的意識をもった受験をしろというような指導もあるらしい。大学進学後、どんな仕事に就きたいのか、その具体的目標を決めて、そのためにどの大学のどの学部で何を学ぶべきなのか、合理的に目標を設定せよということらしいが、こういうキャリア教育は短絡的な功利性を助長しかねない。
大学生でさえ自分がどんな仕事に就きたいのか、現実的な選択が困難なのに、高校生の段階でできるわけがない。・・・(中略)・・・具体的に目標を絞り込むのが重要なのではなく、漠然とでいいので、ちゃんと勉強しておくことが将来の自分のために重要で、それ次第で人生が変わるという認識が重要なのである。」(p136-137)
漠然と感じていた今のキャリア教育に対する違和感を綺麗に言い当ててくれました。ここは子供に読ませたい部分です。
他にも、私のような40歳代の会社員に向けた、腹落ちする考え方、心がける行動についてのヒントが、いろいろ散りばめられています。
想定が言変化によって生じる予期せぬキャリアチェンジと、専門性の細分化深化、この二つが同時進行するのが、21世紀のキャリア環境の特徴である。・・・想定外変化が起こる時代のキャリアデザインメカニズムとはいかなるものであろうか。P3
企業は、社会は、教育機関は、さらに言えば個人はどう対処すべきなのか。
専門性と普遍性という二大テーマを、自分らしくどう組み合わせてキャリアを切り開いていくかが重要である。専門性を深めなければいけないが、想定外変化が起きても通用するような普遍性の高い成長もしなくてはならない。P6
自分のキャリアの背骨となるテーマや専門性を、今の仕事に関係がなくても生涯追い続ける。
普遍性の高い自身の強みへの気づきがある(p93)・・・40代は専門性だけでなく、普遍性の高い自分の強みに気づくこと、それを「ブランド」にしていくことが重要である。
なので、本書は、(私の国語力不足もありますが)ここで引用したり、要約したりしても本書を貫く考え方はなかなか表せないので、是非、通読し、筆者のロジックを追われることをお勧めします。丁寧に第8章には「働く個人はどうするべきなのか」として、本書の議論を整理してありますので、ハウツーに興味のある人はそこだけ覗いても良いかもしれません。
その中でも、一か所、特に膝を打った部分をさわりだけ引用します。
キャリア教育について触れた部分です。
「好きなことと向いていることは違う。仕事そのものを大きく変化している中で、「好きを仕事に」理論で短絡的に推し進める内省過剰で職種目標的なキャリア教育は問題だ。
『就社ではなく就職だ』というまことしやかな流行り言葉も危険である。想定外変化の時代、最初に何の仕事に就くかよりも、どんな会社に入るかのほうが大事だ。後述するが、社会化作用やキャリア自律風土が強い組織なのか弱い組織なのか、キャリア初期にどう成長できるのか、そういう問題のほうがずっと重要で、それはむしろ会社選びなのである。
進学校でも、漫然と偏差値の高い大学を受験するのではなく、将来の目的意識をもった受験をしろというような指導もあるらしい。大学進学後、どんな仕事に就きたいのか、その具体的目標を決めて、そのためにどの大学のどの学部で何を学ぶべきなのか、合理的に目標を設定せよということらしいが、こういうキャリア教育は短絡的な功利性を助長しかねない。
大学生でさえ自分がどんな仕事に就きたいのか、現実的な選択が困難なのに、高校生の段階でできるわけがない。・・・(中略)・・・具体的に目標を絞り込むのが重要なのではなく、漠然とでいいので、ちゃんと勉強しておくことが将来の自分のために重要で、それ次第で人生が変わるという認識が重要なのである。」(p136-137)
漠然と感じていた今のキャリア教育に対する違和感を綺麗に言い当ててくれました。ここは子供に読ませたい部分です。
他にも、私のような40歳代の会社員に向けた、腹落ちする考え方、心がける行動についてのヒントが、いろいろ散りばめられています。
想定が言変化によって生じる予期せぬキャリアチェンジと、専門性の細分化深化、この二つが同時進行するのが、21世紀のキャリア環境の特徴である。・・・想定外変化が起こる時代のキャリアデザインメカニズムとはいかなるものであろうか。P3
企業は、社会は、教育機関は、さらに言えば個人はどう対処すべきなのか。
専門性と普遍性という二大テーマを、自分らしくどう組み合わせてキャリアを切り開いていくかが重要である。専門性を深めなければいけないが、想定外変化が起きても通用するような普遍性の高い成長もしなくてはならない。P6
自分のキャリアの背骨となるテーマや専門性を、今の仕事に関係がなくても生涯追い続ける。
普遍性の高い自身の強みへの気づきがある(p93)・・・40代は専門性だけでなく、普遍性の高い自分の強みに気づくこと、それを「ブランド」にしていくことが重要である。