(随分遅れましたが、1月前のコンサートの感想をば)
チェコフィルを生で聴くのは今回が3回目。毎回、素朴で重心の低いアンサンブルに魅了されます。しかも、今回はスメタナの『わが祖国』。直球ど真ん中のプログラムに、ワクワク気分でNHKホールへ足を運びました。
『わが祖国』を全曲通して聴くのは初めてでしたが、きっとこんな演奏はなかなか聴けるものではないと確信させられる1時間15分あまりでした。ビエロフラーヴェクさんは、いつもながら丁寧に、装飾なく音楽をそのまのを聴かせるような指揮ぶりです。そして、倍管で揃えた大編成のオケが目一杯に応えます。N響のような機能的で精緻なアンサンブルとは異なりますが、「そんなものは我々の目指すところではない」と言わんばかり。まるで、楽員の一人一人のDNAにこの曲が埋め込まれているような演奏です。
有名な第2曲ヴルタヴァ(モルダウ)を過ぎたあたりから、どんどんオケが熱を帯びてくるのが、3階席からも良く見てとれました。ステージ前方にメンバーを寄せての配置で、大きな生音がNHKホール一杯に響き、器の大きさを感じない程。聴きながら、ボヘミアの風景が脳裏に浮かび、匂いが漂ってきます。
終演後は熱狂的な拍手。ロンドン響びいきの私としては、やや悔しいものの、先月のロンドン響の時よりも拍手の大きさはチェコフィルが大きかった。アンコールは、「ドヴォルザークのスラブ作品72 第一」。大団円での終演となりました。
11月4日 NHKホール
出演:
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
イルジー・ビエロフラーヴェク 指揮
曲目:
スメタナ/「わが祖国」
Czech Philharmonic
Jiří Bělohlávek, Conductor
SMETANA / Má Vlast