三菱一号館美術館で開催中のプラド美術館展に行ってきました。『ラス・メニーナス』(女官たち)など名だたる大作揃いのプラド美術館から小さな作品を選んで展示するという本企画に、少々、不安を覚えるところはありました。確かに、言葉悪く言えば、玉石混合のところもあるかとは感じましたが、ヒエロニムス・ボスの作品など珍品もあり、楽しめました。
ヒエロニムス・ボス《愚者の石の除去》 油彩、板 1500-10年頃 48.5×34.5cm
私的には本展時の中ではかなり大きな作品であるバルトロメ・エステバン・ムリーリョの《ロザリオの聖母》が、一番のお気に入り。安定した構図に置かれた聖母とイエスの神々しい姿には、胸打たれ立ちすくんでしまいます。ポスターにあるアントン・ラファエル・メングス作の《マリア・ルイサ・デ・パルマ》の姿も、ポスターの印象よりもずっと眼光鋭く高貴な威厳を感じるものでした。
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ 《ロザリオの聖母》1650-1655年頃 166×125cm
この季節、丸の内界隈は夕方からライトアップされて神秘的でさえあります。落ち着いた雰囲気の美術館で贅沢なひと時を過ごし、界隈の賑やかながらも大人の雰囲気の中を散策するのも、上野とはちょっと違った美術館体験で、お勧めです。
《美術館3階通路からの眺め》