ウォーキング途中、信号待ちで停まった横の車から、ロックやJポップではなく、さくらと一郎の「昭和枯れすすき」が流れてきた。
運転席を見ると、私より上の世代の白髪の老人だ。
懐かしい曲に思わず頬が緩んだ。
そこで名句が浮かんだので、ここに記しておこう。
食卓に秋刀魚が載った年金日
「お、今日は奮発したな」
食卓には秋刀魚の塩焼きと味噌汁、白菜の漬け物が載っている。
「おとうさん、サンマ好きだったでしょう。スーパーの特売で安かったの」
「今年はサンマは不漁で、高いらしいな。たまには贅沢もいいか」
「土用の丑のうなぎや夏のハモも我慢してくれたから、今日は年金も入ったし、サンマくらいはね」
開け放った窓から涼しい秋風が舞い込む。
年金生活者のつつましい夕餉のひと時だ。
定年退職後に再就職しようと思った私に、女房は言った。
「40年以上も朝から晩まで働き詰めだったのに、再就職なんてもってのほか。どうぞゆっくり休んでくださいな。夫婦ふたりだけなら年金でなんとかやっていけるわよ」
その言葉に甘えて、去年から引きこもり年金生活だ。
年老いた私たち夫婦の人生の秋はゆっくりと流れてゆく。
そんな想像をしてみる。
現実はそんな甘いものじゃない。
「毎日家の中でゴロゴロして。働きに出たらどうなの」
引きこもり年金生活を決め込んだ私に、臭い、汚い、鬱陶しいと、朝から家内の怒声が飛ぶ。
「年金だけで今後暮らしていけると思ってるの? 病気になったらたちまち生活破綻するわよ」
家内は終日内職の在宅校正をやっている。
当初は家事の合間にという言い訳をしていたのが、今では仕事の邪魔だから、静かにして、どっか行って、ご飯は適当に食べてと言う始末だ。
それにもめげずに、家内の愚痴や小言は右の耳から左の耳へ聞き流し、私はノンストレスの引きこもり年金生活を続けている。
運転席を見ると、私より上の世代の白髪の老人だ。
懐かしい曲に思わず頬が緩んだ。
そこで名句が浮かんだので、ここに記しておこう。
食卓に秋刀魚が載った年金日
「お、今日は奮発したな」
食卓には秋刀魚の塩焼きと味噌汁、白菜の漬け物が載っている。
「おとうさん、サンマ好きだったでしょう。スーパーの特売で安かったの」
「今年はサンマは不漁で、高いらしいな。たまには贅沢もいいか」
「土用の丑のうなぎや夏のハモも我慢してくれたから、今日は年金も入ったし、サンマくらいはね」
開け放った窓から涼しい秋風が舞い込む。
年金生活者のつつましい夕餉のひと時だ。
定年退職後に再就職しようと思った私に、女房は言った。
「40年以上も朝から晩まで働き詰めだったのに、再就職なんてもってのほか。どうぞゆっくり休んでくださいな。夫婦ふたりだけなら年金でなんとかやっていけるわよ」
その言葉に甘えて、去年から引きこもり年金生活だ。
年老いた私たち夫婦の人生の秋はゆっくりと流れてゆく。
そんな想像をしてみる。
現実はそんな甘いものじゃない。
「毎日家の中でゴロゴロして。働きに出たらどうなの」
引きこもり年金生活を決め込んだ私に、臭い、汚い、鬱陶しいと、朝から家内の怒声が飛ぶ。
「年金だけで今後暮らしていけると思ってるの? 病気になったらたちまち生活破綻するわよ」
家内は終日内職の在宅校正をやっている。
当初は家事の合間にという言い訳をしていたのが、今では仕事の邪魔だから、静かにして、どっか行って、ご飯は適当に食べてと言う始末だ。
それにもめげずに、家内の愚痴や小言は右の耳から左の耳へ聞き流し、私はノンストレスの引きこもり年金生活を続けている。
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