鈴鹿市議会議員 中西だいすけの活動日誌

鈴鹿市議会議員として年齢も含め5期目のベテランになりました。日々の活動や感じたこと、議会での動きなどをつづります。

木材の活用

2014年08月06日 15時14分11秒 | Weblog
今回は木材の活用という観点から、これからの学校校舎建て替えや大規模改修について書きたいと思います。


この写真は、新しく建設されている平田野中学校の教室の様子です。窓は南向き、黒板の後ろや吹き抜けになっている上部の壁には木材なのですが、おそらくシナベニヤという素材が使われていると思います。

対してこちらは先だって宮崎県綾町に視察に行った際、せっかくなのであわせて見学させていただいた新築の綾中学校の教室です。

電子黒板が設置されたり、生徒さんの机があったりとその部分の違いはありますが、木材という観点で違いを見ると、教室の壁に使われている素材がシナベニヤではなくて杉材が使われていることがわかります。

2枚の写真から比較するとこれだけのことなのですが、この違いは施設全体の違いになって現れています。
綾町は林業が盛んな町だったということもあり地元産の杉材が多用され木造の校舎という印象が強いのですが、一方、平田野中学校の校舎などに使われている木材は、ほとんどがシナベニヤやパイン材で、ごく限られた場所に杉材が使われているという状況です。「木材」を使っているという意味では同じという考えをする方もいるのでしょうが、質感などその違いは大きいと私は感じます。

別の観点から考えます。シナベニヤやパイン材の産地はどこかといえば、学校のある地域から遠く離れた土地、もしかすれば外国産ではないでしょうか。逆に杉材はどうでしょう。国内産であったり、県内産でまかなうことができる材料ではないでしょうか。ということは、子供たちの教育の中に持続的な社会への貢献という考えがあるのなら、後者を選ぶことこそが求められる価値観だと思います。

たしかに材料としてのコストはかかるでしょう。しかし、その材料を選択するために知恵を活用することが、まちには求められていると思います。実際に綾町では地元産材を活用するために、従来の学校建設の考えにとらわれない形で設計をし、この教室のある校舎はその他建設物としていると聞きました。実際に廊下なども含めて非常に魅力的でした。

鈴鹿ではどうか。
市内で林業が盛んというわけではなく、また森林があるわけではありません。だからなのか、地元産材の利用ということに意識が低い部分があるように思います。それが新しく建設された学校での木材使用に表れていると思います。
しかし、少し観点を広げると、三重県内では美杉などでの杉、尾鷲ヒノキといった形で豊富な林業資源があります。その資源を鈴鹿市のような自治体で学校などの公共施設に活用することは、今の時代に求められる考えだと思います。特に生徒が日常過ごす空間である教室にこそ、杉やヒノキを活用すべきでしょう。

使い方の課題にしても、たとえば校長室では片方の壁はシナベニヤなのに片方が杉材というような使い方があり、そもそものデザインとしてどうなのか?と疑問を感じる部分がありました。また、屋内運動場(体育館)の壁面に無節のヒノキ材を使っているのに、教室がそうでないなどのアンバランスも感じます。この辺りは設計段階での考え方に大きな課題があると思います。

三重県では公共施設への県産材の利用促進の考えが示されていますが、本当の意味で推進するためには、企画・設計段階で木材利用という考えだけでとらえるのではなく、そのことにより自分の自治体だけでなく他の自治体も含めた持続的な社会の形成という意識の軸を持つことが必要だと思います。

今後、単純にコストだけで考えることなく、またヨーロッパなどでは高層建築にも木材が利用されているなどの実態を踏まえながら、学校などの教育施設を中心に、建て替えや大規模改修また長寿命化といった公共施設マネジメントの取り組みを鈴鹿市でも進めるべきだと思います。その際には、学校規模の検討と都市のあり方から考えた適正な配置などの検討といった大きな課題も避けて通れないと考えるところです。





コメント
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