Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

日本フィル山の会コンサート

2014年07月08日 | 音楽
 日本フィルの会員の自主組織「日本フィル山の会」のミニコンサートがあった。山の会は毎年秋に一般向けの「ふれあいコンサート」を開いているが、今回は山の会の会員とその周辺の人たち向けのコンサートだ。出演は日本フィルのクラリネット副首席奏者の芳賀史徳さんと新入団のクラリネット奏者楠木慶さん。

 クラリネット・デュオという編成自体面白いが、曲目も面白かった。C.P.E.バッハ、三善晃、モーツァルト、プーランクの作品。なかでも三善晃とプーランクが面白かった。

 山の会のコンサートでは、プログラムを演奏者に任せている。「わかりやすい曲をやってくれ」とかなんとか、余計なことは一切いわない。それがいいのだ。だから、三善晃やプーランクも入ってくる。演奏者も意欲的になる。それを聴衆も享受できる。

 コンサートが終わった後に懇親会があった。演奏者も参加した。ワインとビール、フランスパンの懇親会。演奏者もスピーチした。山の会の会員や、山の会担当の日本フィルの楽員さん、事務局の方、日本フィルのOB、OGも各々スピーチした。

 これが楽しかった。演奏者2人が一番若くて、ほかの人たちは2人が生まれる前から日本フィルを聴いていた聴衆とか、日本フィルで演奏していた楽員、事務局員だ。そういう古株というか、筋金入りの聴衆と、古参のOB、OGが、ときには‘教育的指導’をふくめながら熱く語った。

 演奏者2人と現役の楽員、事務局員はどう感じたか。「昔と今とでは時代がちがう」と思ったか‥。でも、神妙に聞いてくれた。それでいいのだ。語る方も、時代がちがうことはわかっている。それでも伝えたいことがあるのだ。

 先日、日本フィルの演奏会からの帰りに、電車のなかでプログラムのメンバー表を見ていたら、同行者から「その『団友』って全部わかる?」と訊かれた。メンバー表の下に載っている永年勤続者のことだ。じっくり見たら、全員の顔とパート(あるいは事務局員)がわかった。数えてみたら41人いた。我ながら、ちょっとすごいと思った。

 定期会員になったのは1974年4月。まだ大学生だった。一番安い席だったが、アルバイトの身には思い切った出費だった。それから今まで40年間聴き続けた。

 山の会のコンサートには、わたしよりも古い聴衆が何人も来ていた。そういう古い聴衆がカミングアウトしたような、そんな楽しさがあった。
(2014.7.7.アコスタジオ)
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