Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

日本フィル山の会「ふれあいコンサート」

2014年10月10日 | 音楽
 日本フィル山の会の「ふれあいコンサート」。今回で30回目。今回のメイン奏者はクラリネットの芳賀史徳さん。共演はヴァイオリンの坪井きららさんとピアノの外山啓介さん。外山さんはソリストで活躍中のあの外山さんだ。

 3人はともに芸大出身で外山さん>芳賀さん>坪井さんの順で1年違いだそうだ。芸大では顔を見たことがある程度だったが、外山さんと坪井さんはドイツに、芳賀さんはフランスに留学した頃から、連絡を取り合うようになったそうだ。外山さんはトークの中で「芸大時代からお互いに知ってはいたが、仕事を一緒にするのは初めて」と語っていた。

 若い奏者たちの気の合ったアンサンブルだ。聴いている方まで温かい気分になる、そんな気持ちのいいコンサートだった。しかもプログラム、演奏とも手抜きは一切なし。若い意欲を一杯に詰め込んだプログラムと演奏だった。

 そのプログラムだが、ゲーゼ(デンマークの作曲家。ニールセンを指導したことで知られている)の「幻想小曲集」、ドビュッシーの「第1狂詩曲」、ワーグナー(リスト編曲)の「イゾルデの愛の死」(これはピアノ独奏)そしてプーランクの「クラリネット・ソナタ」(プログラムノ―トで初演がベニー・グッドマンとレナード・バーンスタインだったことを知った)。以上が前半。

 後半ではヴァイオリンが加わって、ミヨーの「クラリネット、ヴァイオリンとピアノのための組曲」とバルトークの「コントラスツ」。

 これはもう(なんといったらよいか)感涙にむせぶような、一流の奏者でなければ組めない本格的なプログラムだ。こういうプログラムを市民コンサートで組むところがすごい(演奏者も主催者もともに)。

 演奏もプログラムに負けないものだった。やはり外山さんの存在が大きい。ソリストでやっているだけあって、思い切りがいい。随所でくさびを打ち込むように強いアクセントを入れてくる。抒情的な部分も表情豊かだ。それに他の2人が反応する。結果、演奏のレベルが高まる。その過程が楽しかった。

 こういうプログラムを組み、そして吹き切った芳賀さんも、もちろん、たいしたものだ。坪井さんも優秀そうだ。また聴く機会があれば――。

 コンサート終了後は、近くの居酒屋で、恒例の懇親会があった。出演者3人も参加。3人とも社会人としての常識をわきまえた人たちだ。ますます好感を持った。
(2014.10.9.ミューザ川崎・市民交流室)
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