今年9月に開かれたミュンヘン国際音楽コンクールのピアノ三重奏部門で第1位を獲得した葵トリオの凱旋リサイタル。「葵」という名称は、ヴァイオリンの小川響子、チェロの伊東裕、ピアノの秋元孝介のそれぞれの名字の頭文字からとられている。花言葉の「大望、豊かな実り」への共感をこめているそうだ。
プログラムは、以下順次触れるように、堂々たるもの。いずれもコンクールで演奏した曲だそうだ。コンクールは、録音審査、1次予選、2次予選、セミファイナル、ファイナルと続き、ファイナルに残ったのは3組。その中で葵トリオが優勝し、他の2組は同順位の3位となったそうだ。
1曲目はハイドンのピアノ三重奏曲第27番。真嶋雄大氏のプログラム・ノートによれば、ハイドンはピアノ三重奏曲を「合計45ないし47曲」遺した。第27番は「おそらく1796年に書き上げられたとみられる」。すでにロンドンで成功し、国際的な巨匠になった時期の作品だ。
ピアノ主体の作品で、ヴァイオリンとチェロがオブリガート風に絡む。第3楽章フィナーレの演奏が情熱的に盛り上がった。
2曲目はブラームスのピアノ三重奏曲第1番。わたしの愛してやまない曲だ。久しぶりに聴いたこの曲に胸が締めつけられた。演奏の面では、1曲目のハイドンでもチェロのしっかりした足取りに注目したが、この曲ではチェロの旋律が多いので、まっすぐな感性を感じさせる演奏にさらに引き込まれた。
3曲目はシューベルトのピアノ三重奏曲第2番。第1番も名曲だが、第2番も名曲だ。ともにシューベルト最晩年の作品。2曲目のブラームスとはピアノの音がガラッと変わるのがおもしろかった。重厚で深々としたブラームスの音に対して、みずみずしく淡い色彩感のあるシューベルトの音、といったらよいか。
以上の3曲とも、葵トリオの演奏は、表情豊かなヴァイオリンと(前述したような)まっすぐな感性を感じさせるチェロと、それを支える安定したピアノ、という構成のように感じられた。そのアンサンブルでどの曲も初々しく情熱的に演奏された。
コンクールの課題曲には、アイヴズ、ヘンツェ、リームと(わたしには未知の作曲家だが)シュルンカの作品があったそうだ。それらの現代曲ではどんな演奏をしたのだろう。いずれ機会があったら聴いてみたいと思った。
(2018.12.14.サントリーホール小ホール)
プログラムは、以下順次触れるように、堂々たるもの。いずれもコンクールで演奏した曲だそうだ。コンクールは、録音審査、1次予選、2次予選、セミファイナル、ファイナルと続き、ファイナルに残ったのは3組。その中で葵トリオが優勝し、他の2組は同順位の3位となったそうだ。
1曲目はハイドンのピアノ三重奏曲第27番。真嶋雄大氏のプログラム・ノートによれば、ハイドンはピアノ三重奏曲を「合計45ないし47曲」遺した。第27番は「おそらく1796年に書き上げられたとみられる」。すでにロンドンで成功し、国際的な巨匠になった時期の作品だ。
ピアノ主体の作品で、ヴァイオリンとチェロがオブリガート風に絡む。第3楽章フィナーレの演奏が情熱的に盛り上がった。
2曲目はブラームスのピアノ三重奏曲第1番。わたしの愛してやまない曲だ。久しぶりに聴いたこの曲に胸が締めつけられた。演奏の面では、1曲目のハイドンでもチェロのしっかりした足取りに注目したが、この曲ではチェロの旋律が多いので、まっすぐな感性を感じさせる演奏にさらに引き込まれた。
3曲目はシューベルトのピアノ三重奏曲第2番。第1番も名曲だが、第2番も名曲だ。ともにシューベルト最晩年の作品。2曲目のブラームスとはピアノの音がガラッと変わるのがおもしろかった。重厚で深々としたブラームスの音に対して、みずみずしく淡い色彩感のあるシューベルトの音、といったらよいか。
以上の3曲とも、葵トリオの演奏は、表情豊かなヴァイオリンと(前述したような)まっすぐな感性を感じさせるチェロと、それを支える安定したピアノ、という構成のように感じられた。そのアンサンブルでどの曲も初々しく情熱的に演奏された。
コンクールの課題曲には、アイヴズ、ヘンツェ、リームと(わたしには未知の作曲家だが)シュルンカの作品があったそうだ。それらの現代曲ではどんな演奏をしたのだろう。いずれ機会があったら聴いてみたいと思った。
(2018.12.14.サントリーホール小ホール)