Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

アラン・ギルバート/都響

2018年12月20日 | 音楽
 アラン・ギルバート/都響のB定期(「春」のプログラム)を聴いたが、必ずしも満足できなかったので、C定期(「スペイン」のプログラム)も聴きに行った。同プログラムはA定期にもあるので、普通だったらA定期に行くところだが、当日は出張が入っていたので、平日マチネーではあるが、C定期に行った次第。

 C定期に行くのは初めてだった。さすがにシルバー世代が多いと思った。席にすわると、隣の席の人がひっきりなしに鼻をすするので、本当はいけないことだが、後ろの席にそっと移動した。演奏が始まると、今度は一つ空席をはさんだ隣の人が、大いびきをかき始めた。大いびきは1曲目の間中続いた。

 それもご愛敬だと思った。かくいうわたしだって、若者から見たら、同じような世代に見えるだろう。あれこれいえた義理ではない。

 その1曲目だが、曲はリヒャルト・シュトラウスの「ドン・キホーテ」。冒頭、木管の導入に続いて弦が奏する旋律が、アーティキュレーションを細かく切って、ニュアンス豊かに演奏された。思わずB定期で聴いた「春の祭典」の冒頭のファゴットを思い出した。「春の祭典」では、主部に入ったら、そのような細かなニュアンス付けは消えたが、今回はそれがずっと続いた。

 弦の音色も、B定期のときより瑞々しく、艶があった。その時点でわたしのB定期での不満は解消されたが、細部へのこだわりのあまり、全体的な流れが生まれず、胃もたれ感が残った。

 チェロ独奏はターニャ・テツラフ。3階席のわたしには、時にチェロの音がオーケストラに埋もれ、よく聴こえないことがあった。フィナーレでのチェロ独奏は(オーケストラが薄いこともあり)しみじみとした味があった。この部分はだれが演奏しても聴かせどころかもしれないが、ターニャの演奏はその中でも印象深いものの一つだった。

 プログラム後半は名曲コンサートのようだった。まずビゼーの「カルメン」抜粋。前奏曲が目も覚めるように鮮やかに始まった。以下、第4幕への間奏曲(アラゴネーズ)や第3幕への間奏曲など、元々オーケストラだけで演奏される曲の場合はよいのだが、ハバネラや闘牛士の歌など、声楽が入る場合のトランペットなどでの代用は、居心地が悪かった。

 最後はリムスキー=コルサコフの「スペイン奇想曲」。これはあまり作り込まずに、気楽に演奏された。これはこれでよいのだろう。
(2018.12.18.東京芸術劇場)
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