Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

高関健/東京シティ・フィル

2019年03月17日 | 音楽
 読響、日本フィル、東京シティ・フィルの定期が続いた。読響は「グレの歌」、日本フィルはルトスワフスキの交響曲第3番と、それぞれ注目の定期だったが、東京シティ・フィルはコダーイとバルトークのハンガリー・プロを組んで、注目度では負けず劣らずだった。

 指揮の高関健がプレ・トークで語っていたが、プログラムはまずバルトークのピアノ協奏曲第2番を決めたそうだ。その前後に何をやるかということで、コダーイを選んだと。結果的にハンガリー・プロになったわけだが、それをハンガリー大使館が注目して、日本・ハンガリー外交関係開設150周年として「後援をいただいた」。プレ・トークではハンガリー大使も登壇して、流暢な日本語で挨拶した。

 1曲目はコダーイの「ガランタ舞曲」。全体的に音が硬く、アンサンブルに余裕がなかったが、その中ではクラリネットの表情豊かなソロが光った。だれだろう?当団のクラリネットの首席は海外研修中なので(それはフルートの首席もそうだが)、今回はエキストラが入っていたが、その人は在京の某オーケストラの首席に似ていた。

 2曲目はバルトークのピアノ協奏曲第2番。ピアノ独奏は小山実稚恵。そのパワフルな演奏には度肝を抜かれた。パワフルと、今は上品な言葉を使ったが、実感としては、とどまるところを知らない馬力に押された、といったほうがいい。もちろんそれは第1楽章と第3楽章、そして第2楽章の中間部のことで、第2楽章の両端部はリリカルな美しさがあった。でも、その途中で緊張する箇所では凄みのある音が鳴った。

 それにしても、この曲の演奏は、ピアニストだけではなく、オーケストラにとっても、大変な挑戦であることが実感された。小山実稚恵と東京シティ・フィルと高関健とが(多少語弊はあるが)寄ってたかってこの曲と格闘している様子が、壮絶でもあり、また聴衆のわたしには楽しくもあった。

 当然アンコールはないだろうと思っていたら、バルトークの「ルーマニア民俗舞曲」から第1番が演奏された。小山実稚恵のプロ根性に感心した。

 3曲目はコダーイの「ハンガリー民謡「孔雀が飛んだ」による変奏曲」。この曲では練り上げられたアンサンブルが展開した。高関健が東京シティ・フィルと培ってきた演奏の精度が実を結んだ好例だ。

 当日はコントラバスが舞台正面の最後方に(打楽器の後ろに)配置された。そのため、視覚的な助けもあって、コントラバスの動きがよくわかり、思わぬ効果があった。
(2019.3.16.東京オペラシティ)

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2 コメント

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Unknown (Eno)
2019-03-18 07:22:48
シティファン様
ありがとうございます。やはり読響の金子さんでしたか。そうかな、とは思いましたが、自信がありませんでした。うまいですね。とても柔軟性があると思います。フルートの1番を吹いていた方は、たしか2月も出ていたと思いますが、この方もうまいですね。
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Unknown (シティファン)
2019-03-17 20:55:57
クラは読響、金子氏だった様です。ガランタのソロ、良かったですね。
孔雀のフルートは、三名ともどなたか分かりませんでした。
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