Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

「スケーエン デンマークの芸術家村」展

2017年04月04日 | 美術
 「スケーエン デンマークの芸術家村」展が開かれている。わたしはデンマークの北欧的な風土が好きなので、何度か訪れたことがあるが、せいぜいコペンハーゲンかオーデンセまで。スケーエンは訪れたことがない。そこではどんな芸術家村が生まれたのか。

 1870年代、まだ鉄道が敷設されず、交通不便な場所だったスケーエンを、その手付かずの自然に惹かれた画家たちが訪れるようになった。1880年代に入ると、かなりの画家が集まるようになり、ついには居を定める画家も出てきた。こうして芸術家村が形成された。それは1900年代の初めまで続いた。

 今ではスケーエンはリゾート地として知られている。スケーエン美術館にはスケーエンに集った画家たち(以下「スケーエン派」)の作品が展示されている。本展はそのスケーエン美術館の収蔵品で構成されている。

 スケーエン派の中心的な画家は、ミカエル・アンカー(1849‐1927)とペーダー・セヴェリン・クロヤー(1851‐1909)だった。本展もその二人の作品が中心になっている。余談になるが、スケーエン美術館には二人の銅像が建っている。

 会場に入ると、漁師たちを描いた絵が並んでいる。アンカーの作品は「ボートを漕ぎ出す漁師たち」。荒れた海にボートを漕ぎ出す漁師たちと、それを見守る家族や村人たちを描いた作品。漁村の厳しい生活が感じられる。一方、クロヤーの作品は「スケーエンの南海岸で漁網を引く漁師たち」。雲が低く垂れこめた北欧の空の描写がリアルだ。

 上記の2作品が男性を描いた作品であるのに対して、女性を描いた作品は、アンカーでは「海辺の散歩」。夏の明るい日差しがあふれる海辺を5人の女性が散歩している。白を基調とした美しい作品。一方、クロヤーは「ばら」。チラシ(↑)に使われている作品だが、その美しさは実物でないと分からない類のものだ。

 クロヤーには新婚時代の妻マリーを描いた「マリー・クロヤーの肖像」もある。マリーは独身時代にコペンハーゲンで一番美しいといわれた女性。16歳年上のクロヤーと結婚した。やがてクロヤーは精神を患う。マリーはスウェーデンの作曲家アルヴェーンと恋に落ちる。マリーは1905年に離婚。1912年にアルヴェーンと再婚した。

 アルヴェーンは「スウェーデン狂詩曲第1番『夏至の徹夜祭』」で知られる作曲家だ。思いがけない名前の登場に驚く‥。
(2017.3.28.国立西洋美術館)

(※)本展の主催者の東京新聞の記事

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