Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

クラングフォルム・ウィーン「室内楽プログラム」

2022年08月24日 | 音楽
 サントリーホール サマーフェスティバル2022。クラングフォルム・ウィーンの演奏会の第二夜は9人の現存の作曲家の小品を集めたもの。

 演奏順に記すと、1曲目はゲオルク・フリードリヒ・ハース(1953‐)の「光のなかへ」(2007)。短い曲だ。戸惑う。2曲目はサルヴァトーレ・シャリーノ(1947‐)の「夜の果て」(1979)。チェロ独奏。震えるような弱音で終始する。いかにもシャリーノらしい神経質な曲だ。じつは当初はホルンの独奏曲「アジタート・カンタービレ」が予定されていたが、ホルン奏者が口内炎になったとのことで、「夜の果て」に変更された(それに伴い曲順も一部変更された)。この曲を聴けてよかった。

 3曲目はレベッカ・サンダース(1967‐)の「行きつ戻りつ」(2010)。距離を置いて向き合うヴァイオリン奏者とオーボエ奏者の緊張をはらんだ対話。相手の音を聴き、その音を敷衍するように音を重ね、相手はその音をまた敷衍する。わたしには未知の作曲家だったが、その音の世界に惹きこまれた。

 4曲目はオルガ・ノイヴィルト(1968‐)の「夜と氷のなかで」(2006/07)。ファゴットとアコーディオンのデュオ。わたしが勝手に題名から想像した曲想とはちがって、動きのある曲だった。5曲目はエンノ・ポッペ(1969‐)の「汗」(2010)。独奏チェロがタラーっと流れる汗のような音型を繰り返し、バス・クラリネットとバス・フルートが憂鬱なハーモニーをつける。ユーモラスな曲だ。

 6曲目はフリードリヒ・チェルハ(1926‐)の「4つのパラフレーズ」(2011)。オーボエ、チェロ、ピアノの三重奏。第4曲にはヨハン・シュトラウスのお馴染みの音楽が引用される。聴衆サービスの一曲か。7曲目はジョルジュ・アペルギス(1945‐)の「夜のない日」(2020)。コントラフォルテというコントラファゴットの改良楽器(2001年開発)のための曲。

 8曲目はベルンハルト・ラング(1957‐)の「シュリフト3」(1997)。アコーディオンの独奏曲。細かく動き回る音の敏捷性。ポップなビート感。演奏も良かったにちがいない。9曲目はベアート・フラー(1954‐)の「ピアノ四重奏曲」(2020)。ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの伝統的な編成のピアノ四重奏曲だが、音楽は激烈で、アットランダムに音が飛び交い、ピチカートが鋭く打ち込まれる。息をのんだ。

 以上、演奏者の名前は省略したが、1990年以来とか1993年以来とかのベテラン・メンバーが多かった。若くて腕利きのメンバーだけではなく、ベテラン・メンバーも多いことがクラングフォルム・ウィーンの特徴かもしれない。
(2022.8.23.サントリーホール小ホール)

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