Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

コロナ後のオーケストラ(2)

2020年05月27日 | 音楽
 わたしは在京の5つのオーケストラの定期会員になっている。その定期演奏会が音楽生活の主なフィールドだが、2月下旬以降すべての定期演奏会が中止または延期になっている。今後どうなるか、定期会員としても案じられる。

 最近になっていくつかの動きが出てきた。わたしが触れた報道の範囲内だが、5月14日に業界関係者による「クラシック音楽公演運営推進協議会」が設立された。同協議会では公演再開に向けたロードマップを策定する。とりあえずその仕事は個々のオーケストラの手から離れたわけだ。策定の途中経過は個々のオーケストラにも伝わるだろうから、それに合わせた公演再開の準備をするのだろう。

 もう一つの動きは、超党派の議員でつくる文化芸術振興議員連盟が、5月25日に荻生田文科相に緊急要望書を提出したことだ。(1)約2000ある文化芸術団体・事業団体(オーケストラもその中に入るだろう)への各1500万円の交付をふくむ緊急支援500億円、(2)「文化芸術復興基金」の創設と同基金への国の拠出1000億円を求めるもの。国から満額回答が得られるとは限らない。注目したい。

 「文化芸術復興基金」の構想は1990年に設立された「芸術文化振興基金」と似ているように見える。同基金は国が541億円、民間が146億円、合計687億円の拠出で設立された。当時わたしも側面から多少かかわった。なお、現在、日本芸術文化振興会が「文化芸術復興創造基金」を立ち上げて、5月25日から寄付を募っている。これは国費の拠出を前提としない点で、東日本大震災を受けて2011年に設立された「芸術文化復興支援基金」と似ている。同基金は約1200万円を集めて終わった。

 今後の見通しだが、新型コロナウイルスの第2波、第3波が来ることは確実視されている。では、それはいつ頃か。どの程度か。それはだれにもわからないが、山中伸弥教授の「新型コロナウイルス情報発信」に掲載された川村孝京都大学名誉教授の論考には、「問題は気温の下がる秋です。今までは第一波の前哨戦で、秋が第一波の本番になる可能性があります。」(5月15日)とある。ゾッとする話だ。

 上記の動きは、オーケストラが生き残っていれば、の話だ。2月下旬以降、演奏会が開けずに収入が途絶え、固定費が出続けている今、オーケストラはどうやって生き残るのか。聴衆ができることはカンパをすることくらいだ。それについては、すでに何度か書いたので、もう繰り返さない。ともかく前代未聞の苦境にあるオーケストラにあえてお願いしたいことは、聴衆とのコミュニケーションを絶やさないことだ。ウェブでの動画の配信もいいが、それ以上に聴衆(とくに定期会員)とのきめ細かいコミュニケーションをどうとるか。その濃淡が演奏会の再開後、聴衆の戻り方に影響すると思う。
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