故宮博物館
台湾の地下鉄は安くて清潔で使いやすく、
随分と利用しました。
車両には必ず「博愛座」というPrioritySeat(優先席)があります。
日本では残念ながら、これが有効に使われていないことも見受けられるようですが
台湾では、しっかりと活きていました。
若者が座っていても、高齢の人が来るとサッと譲るのです。
気持ちよいほどに。
2日目の午後3時過ぎ、我々は九扮に向かいました。
ここは台北からバスで1時間ほどの、かつては金鉱があって栄えた所です。
戦後閉山した後はすっかり寂れたが、古き良き時代の雰囲気が残り、
映画「非情城市」や「千と千尋の神隠し」のモデルとなった街として知られ、
今は有名な観光スポットとなっているようです。
台北の中心から長距離バスに乗り込んだ時、
バスはほぼ満席状態で、あと数席しか残っていませんでした。
前の方の優先席が並んで二席、後ろの方に離れて一席ずつ。
九扮の街並み
どうしよう、と私は一瞬考えたのです。
とりあえずその時には立っている高齢者はいなかった。
途中で高齢者が乗ってきたら代わらなければいけないけど
これは高速道路を走る長距離バスだから、もしかしたら目的地まで
ノンストップかもしれない。
そうしたら空いている優先席に座ってもいいのではないか。
そう思って、後ろの方に離れて座った方がいいのじゃないかという夫を押し切って
優先席に二人で座ったのでした。
そうしたら市内を走り出したバス、次々に止まるではありませんか…
いよいよ高齢者が乗り込んできたので
我々は後方の離れた席にと移ったのでした。
あそこで移らなければ、かなりの距離を立っていなければならなかった。
事実、優先席を譲って途中から立っていた若者も何人かいましたから。
台湾のバスは、道が悪いのか車が悪いのかかなり揺れるし、
その前にも散々歩き廻っていたので、座れなければかなり辛いところでした。
例えば若者がのうのうと優先席に座っていたら
それを許さない、という雰囲気が周りにあるのです。
事実、地下鉄の優先席で眠りこけていて、隣の熟年女性に肩をつつかれる
若者の姿も目撃しました。
逆に言えば、そういう風潮がなくなったからこそ、
日本では席を譲らない若者、車内で平気で化粧する女性が出てきてしまったのではないか。
昔は日本もそうではなかった筈なのに
どうして変わってしまったのだろう…?